AWC 『二人のしっちゃん』その3  スティール


        
#2124/5495 長編
★タイトル (RJM     )  93/ 6/11  22:55  (182)
『二人のしっちゃん』その3  スティール
★内容

 しっちゃんは、おかあさんとやつが、がっこうにいったあと、ひとりで、ちょう
しょくのパンを、ぱくぱく、たべました。しっちゃんは、ぱくぱく、たべながら、
かんがえました。しっちゃんは、(まいあさ、じゃんけんをして、かてば、がっこ
うにいかなくても、いいんなら、らくだな)と、おもいました。そう、おもう、しっ
ちゃんのこころは、わくわくして、しっちゃんのからだは、そらに、うきそうでし
た。しっちゃんは、みぎてと、ひだりてを、うえに、あげて、『バンザ〜イ!』と、
いいました。

 しっちゃんは、うきうきして、エフエムラジオをつけました。ラジオからは、ちょ
うど、『チャッ、チャッ、チャカ、チャカ、ウゥ〜、マンボォ!』と、いうのが、
やっていました。しっちゃんは、おんがくのおもしろさに、うひょうひょ、わらい
ながら、いっしょに、おどりました。
 そうやって、おどっているうちに、おかあさんが、おうちに、かえってきました。
おかあさんは、しっちゃんに、『しっちゃん、ウゥ〜、マンボ! おどってるのぉ
〜』と、いいながら、いっしょに、おどりはじめました。しっちゃんと、おかあさ
んは、うひょうひょ、わらいながら、いっしょに、おどりました。ふたりとも、あ
せがでてきて、ようふくが、びしょびしょになりました。しっちゃんは、(これで、
おかあさんも、すこしは、やせるだろう)と、おもいました。
 おんがくがおわったら、おかあさんは、やっぱり、たいじゅうけいに、のりまし
た。おかあさんは、たいじゅうけいから、おりると、しっちゃんに『しっちゃん、
もうひとりの、しっちゃん、がっこうに、つれていったわよ』と、いいました。しっ
ちゃんは、(おかあさんは、きげんが、いいみたいだな。きっと、たいじゅうが、
へったんだな)と、こころのなかで、おもいました。
 そのひの、ひるは、とても、てんきがよかったので、おかあさんといっしょに、
かいものにいきました。かいものに、いくまえに、しっちゃんと、おかあさんは、
うみのすなはまが、ついている、こうえんに、いきました。うみが、みえる、こう
えんです。そこに、いったら、ふつうのひ、だというのに、かっぷるという、ふた
りぐみが、きていました。かっぷるのやつらが、やねのついた、やすみやというと
ころで、やすんでいたので、しっちゃんと、おかあさんは、ふたりで、アイスクリ
ームをたべながら、じ〜っと、かんさつしていました。
 それから、デパートにいって、おかあさんと、ふたりで、しょくじをしました。
しっちゃんは、おこさまランチをたべました。おいしかったです。おかあさんが、
かいものをしているあいだに、しっちゃんは、ほんやさんで、たちよみを、いっぱ
い、しました。ふつうのひで、すいていたので、とっても、たちよみをしやかった
です。かいものから、おうちにかえってきたら、もう、やつが、がっこうから、か
えってくるじかんになっていました。しっちゃんは、やつのことを、おもいだして、
こころのなかで、(やつ、がっこうで、だいじょうぶ、だったかな?)と、しんぱ
いになりました。
 しっちゃんが、しんぱいしながら、おほんを、よんでいると、やつが、かえって
きました。しっちゃんと、おかあさんは、やつに、ききました。
『がっこう、だいじょうぶだった?』
 そうしたら、やつは、にかっ、と、わらって、いいました。
『だいじょうぶ、いつもどおりだったよ〜』
 しっちゃんは、(こいつ、ちょっと、なまいきだなぁ〜)と、おもいました。

 それから、おかあさんは、おそうじをはじめたので、しっちゃんと、やつも、て
つだわされました。おかあさんは、
『ふたりいると、すこしは、やくにたつわねぇ〜』と、いいました。

 そのあと、おかあさんは、ゆうごはんのしたくと、おせんたくをはじめました。
おかあさんは、しっちゃんと、やつに、『ふたりで、テレビげーむ、でもしてたらぁ
〜』と、いいました。
 ふたりとも、『えぇ〜、こいつとぉ〜』と、いいあったんだけど、でも、やつが、
あそびあいてが、いなくて、かわいそうかも、しれないので、あそんで、あげるこ
とにしました。やつも、そう、おもったようです。
 ふたりで、やる、たいせんげーむを、ふたりで、しました。ふたりとも、かんが
えることも、げーむのへたさも、おなじくらいなので、なかなか、おもしろかった
です。
 そうしているうちに、おねえちゃんが、かえってきて、3にんで、げーむをして、
あそびました。おねえちゃんも、もう、びびっていなかったようです。

 よるになって、4にんで、ゆうしょくをたべました。テレビで、ドラエモンがやっ
てたので、やつと、ふたりで、『あ〜っ』と、くちをあけて、テレビをみました。
ドラエモンが、おわってから、おかあさんがいいました。
『あしたは、もうひとりのほうの、しっちゃんが、がっこうにいってね。ふたりで、
かわりばんこに、がっこうにいこうね』

 しっちゃんは、うれしくなって、めがあつくなって、(なんて、しあわせなんだ
ろう)と、おもいつつ、『わぁ〜い! かわりばんこ! かわりばんこ!』と、さ
けんでいました。となりのやつも、おなじことを、さけんでいたようです。
 ゆうしょくがおわってから、みんなで、テレビをみました。とっても、おもしろ
かったです。

 そうしているうちに、また、ねるじかんが、きました。しっちゃんは、ほんとう
は、おかあしゃんと、いっしょに、ねたいんだけど、でも、やつが、いるので、ミ
エをはってしまいました。
 しっちゃんは、『しっちゃん、もう、おとなだから、ひとりで、ねるさ〜』と、
いいました。
 そうしたら、もうひとりの、しっちゃんは、『しっちゃん、だったら、おかあしゃ
んと、いっしょに、ねるさぁ〜』と、いいました。しっちゃんは、(しまった)と、
おもいました。でも、いちど、ミエをはってしまったら、となりのおくさまのよう
に、なかなか、ミエをはるのを、やめることは、できません。しっちゃんは、なき
しょうな、かおになったけれど、でも、がまんしました。でも、ちょっと、くやし
かったです。やつが、にくたらしく、なりました。
 しっちゃんは、やつといっしょに、パジャマをきているときに、やつに、『おま
えなんか、きえちゃえば、いいんだ』と、いいました。しっちゃんは、やつといっ
しょに、はをみがいているときも、やつに、『おまえなんか、きえちゃえば、いい
んだ』と、いいました。やつは、あまんえんぼうで、あまったれです。しっちゃん
は、やつが、きらいに、なりました。
 しっちゃんは、じぶんのへやに、おかあさんと、やつと、3にんで、いきました。
しっちゃんは、まだ、むくれたままでした。しっちゃんは、むくれたまま、よこに
なりました。しっちゃんは、また、5びょうくらいで、ねてしまったみたいでした。






 あさ、しっちゃんは、いつものように、おかあさんに、おこされました。
『しっちゃん、がっこうに、おくれるよぉ〜!』という、おかあさんのこえが、き
こえました。
 しっちゃんが、『はっ』、と、めをあけたら、しっちゃんは、じぶんのへやで、
ねていました。しっちゃんは、なぜか、きょうは、はっきりと、おきれました。で
も、めは、まだ、ちょっと、ねぼけていたようです。
 しっちゃんは、やつのことが、きになりました。
『しょうだ! やつは、どうしたのかな? やっぱり、おかあさんといっしょに、
ねたのかな』と、しっちゃんは、おもいました。
 しっちゃんは、いっぷんくらい、かけて、おきあがって、そのまま、ドタッ、ド
タッ、と、おとをたてて、ゆっくりと、あるきました。しっちゃんは、ろうかにで
て、それから、おかあさんの、おへやにいきました。おふとんには、もう、おかあ
さんも、やつも、だれもいません。
 しっちゃんは、しょうがないので、かいだんをおりて、したに、いきました。リ
ビングルームに、いったら、おかあさんと、おねえちゃんは、いたけど、やつがい
ません。
 しっちゃんは、おかあさんのいる、テーブルのところにいきながら、『あれっ、
やつ、どこにいったの?』と、おかあさんに、ききました。

 おかあさんは『やつ?』と、しっちゃんに、いいました。
 そのとき、しっちゃんは、とっても、いやな、よかんが、しました。しっちゃん
は、からだが、さむくなって、ぶるぶると、ふるえました。
 それから、しっちゃんは、いっしょうけんけい、やつをさがしました。おかあさ
んのたたみのへや、しっちゃんのへや、おねえちゃんのへや、ピアノのへや、もの
おきルーム、おトイレのなか、おふろのなか、おしいれのなかまで、しっちゃんは、
ぜんぶ、さがしました。それでも、やつは、いません。(やつは、どこにいったん
だろう)と、しっちゃんは、おもいました。
 しっちゃんは、おかあさんにきけば、なにか、わかるかもしれないと、おもって、
リビングに、もういちど、いきました。
『やつは、どこにいったの?』と、しっちゃんは、おかあさんに、ききました。
 おかあさんは、『やつって、だれのこと』と、ふしぎそうなかおで、しっちゃん
にききました。しっちゃんは、なきそうになりながら、おかあさんに、
『もうひとりの、しっちゃんは、どこにいったの? この、おうちのどこにも、い
ないよぉ〜』と、いいました。
 おかあさんは、しっちゃんのかおを、じ〜っと、みて、『しっちゃん、また、ね
ぼけたんじゃない?』と、いいました。
 しっちゃんは、『え〜っ、そうかなぁ〜、でも、たしかに、やつ、いたんだよぉ
〜!』と、おかあさんに、いいました。
 しっちゃんは、あさごはんをたべながら、おかあさんに、『やつ』のことを、は
なしました。やつに、はじめて、あったときのこと、やつとけんかしたこと、やつ
が、しっちゃんのかわりに、がっこうにいったこと、それを、ぜんぶ、ぜんぶ、お
かあさんに、はなしました。
 おかあさんは、しっちゃんに、
『じゃあ、しっちゃんが、がっこうにいっているあいだに、おかあさんが、もうひ
とりの、しっちゃんを、さがしておいて、あげるから、しっちゃんは、あんしんし
て、がっこうに、いきなさい』と、いいました。
 しっちゃんは、すこし、かんがえてから、やっぱり、そうすることにして、『う
ん、わかった』と、おかあさんに、いいました。

 しっちゃんは、がっこうにいくとちゅうも、がっこうにいってからも、がっこう
にいるあいだも、がっこうから、かえってくるときも、ずっと、やつのことを、し
んぱいしていました。しっちゃんは、(やつ、どうしたのかな? もう、いなくなっ
ちゃったのかな)とか、(やつがいなくなったら、ちょっと、さびしいな)と、お
もいました。
 しっちゃんは、がっこうがおわると、きょうしつから、ダーッ、はしりでて、いっ
しょうけんめい、おうちに、はしりました。やつが、どうなったか、しんぱいだっ
たので、おうちにむかって、いつものように、みちくさをしないで、おしっこがち
びりそうになっているみたいに、おうちに、いそいで、かえりました。おうちにつ
いてから、おトイレにはいって、ひとやすみしたあと、しっちゃんは、おかあさん
のところにいって、ききました。
『おかあさん! おかあさん! やつ、みつかった? やつ、かえってきた?』
 おかあさんは、
『おかあさんも、おそうじ、しながら、おうちのなかも、おもてのものおきも、ぜ
んぶ、さがしたけれど、でも、もうひとりの、しっちゃんなんか、いなかったわよ』
と、しっちゃんにいいました。おかあさんの、そのことばをきいて、しっちゃんは、
とても、かなしくなりました。しっちゃんのめからは、なみだが、ポロポロと、こ
ぼれおちました。
 しっちゃんは、
『やつ、いなくなっちゃった』と、おかあさんにいって、それから、しっちゃんは、
『わぁ〜! わぁ〜!』と、なきました。

 しっちゃんが、『わぁ! わぁ!』と、とても、ないたので、おかあさんは、しっ
ちゃんをだきしめて、くれました。
 おかあさんは、しっちゃんに、いいました。『きっと、しっちゃんの、おかあさ
んといっしょに、ねたいという、きもちが、しっちゃんのからだをはなれて、もう
ひとりのしっちゃんに、かわったのよ』

 しっちゃんは、なきながら、(しょうかもしれない)と、おもいました。









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