#2121/5495 長編
★タイトル (RJM ) 93/ 6/11 22:38 (151)
『二人のしっちゃん』その1 スティール
★内容
こんにちは、みなさん、あたしは、しっちゃんという、こどもです。うちでも、
がっこうのみんなからも、しっちゃんと、よばれています。それから、しっちゃん
は、じぶんでも、じぶんのことを、しっちゃんと、よんでいます。
しっちゃんは、がっこうがあるひは、あさ、おきて、ねぼけながら、がっこうに、
いきます。がっこうがないひは、がっこうに、いきません。
うちにいるときは、おほんをよんだり、テレビをみたり、まんがをみたり、テレ
ビげーむをしたり、します。でも、あそんでばかりいると、おかあさんに、しから
れて、おしりぺんぺんされてしまうので、たまに、べんきょうも、します。でも、
ほとんど、あそんでいることも、おおいです。
しっちゃんは、あさ、おきるのが、あまり、とくいではありません。いっつも、
しにそうに、なりながら、おきます。
しっちゃんが、かっている、ネコのジョバンニは、そのなまえのとおり、オスの
ネコです。でも、ふつうのネコよりも、すこし、きょうぼうなネコみたいです。しっ
ちゃんは、いつも、ネコに、おそわれて、ないてばかりいます。
おかあさんとか、おねえちゃんは、ネコのジョバンニに、おそわれません。だか
ら、しっちゃんは、とても、くやしいです。
と、こんなふうに、しっちゃんは、まいにち、しあわせにくらしていたのですが、
あるひ、しっちゃんに、たいへんなことがおこりました。
しっちゃんは、きょう、がっこうから、かえってきて、おそろしいことを、おか
あさんに、いいわたされて、しまいました。おもわず、なみだをだして、ないてし
まうようなことです。
きょう、がっこうから、かえってきて、おやつを、ぱくぱく、たべていたら、お
かあさんが、しっちゃんに、いいました。
『しっちゃんも、おおきくなったから、おかあさんといっしょに、ねるのをやめて、
ひとりで、ねようね』
しっちゃんは、おどろきました。こころのなかで(そんなの、やだ! やだ!
やだ!)と、おもいました。しっちゃんは、めのまえが、まっくらになって、とて
も、かなしくなりました。
しっちゃんは、ジュースをのんでいた、おかあさんに、いいました。
『え〜、うそでしょ〜。しっちゃん、やだ! やだ! やだ!』と、しっちゃんは、
いいました。
『でも、おねえちゃんは、しっちゃんよりも、もっと、わかいころに、もう、ひと
りで、ねていたのよ』と、おかあさんは、いいました。
しっちゃんは、またまた、かなしくなって、くちのなかで、ぱくぱくしていた、
おかしを、おなかのなかに、いそいで、のみこんでから、せきをたって、おかあさ
んのよこに、いきました。しっちゃんは、まっすぐたって、くちをしっかりと、と
じて、なきながら、おかあさんに、いいました。
『でも、しっちゃん、やだもぅ〜ん! おかあさんといっしょに、ねるもぅ〜ん!』
おかあさんは、それをきいたら、めをおおきくあけて、くちをおさえながら、い
そいで、キッチンにいって、プーっと、くちのなかのものを、ふきだしました。
おかあさんの、そのようすを、みた、しっちゃんは、おもわず、うひょうひょ、
わらってしまいした。おかあさんは、むせながら、『しっちゃん、わらってないで、
たまには、おべんきょうでも、しなさい!』と、しっちゃんに、いいました。
しっちゃんは、このまま、したにいると、また、おかあさんに、『しっちゃん、
じふんの、おへやで、ひとりで、ねなさい!』と、いわれそうなので、すぐに、に
かいに、いきました。しっちゃんは、(これで、きょうも、いっしょにねれるな)
と、おもいました。
というわけで、しっちゃんは、にかいで、おほんをよみながら、そのことを、す
ぐ、わすれてしまいました。いちじかんほどで、おねえちゃんが、かえってきまし
た。きょうの、おねえちゃんは、とても、きげんがよかったので、ふたりで、テレ
ビげーむをして、あそびました。とっても、たのしかったです。
そうしているうちに、よるが、きました。ちょうど七じころに、しっちゃんと、
おかあさんと、おねえちゃんとで、ゆうごはんをたべました。しっちゃんは、もう、
ひるまのことなど、わすれてしまって、テレビを、みていました。
そうしたら、いつのまにか、2かいにいっていた、おかあさんが、したに、おり
てきました。そして、おかあさんは、しっちゃんに、いいました。
『しっちゃん、いま、しっちゃんの、おへやの、ベッドに、おふとんを、しいてき
たからね。きょうから、きちんと、ひとりで、ねるのよ』
しっちゃんは、おどろきました。そして、すぐに、2かいの、じぶんの、おへや
の、ようすを、みに、いきました。じぶんの、おへやに、はいった、しっちゃんは、
おもわず、こえを、だしました。
『おおっ! おおぉ〜!』
しっちゃんの、おへやの、しっちゃんの、ベッドに、ぴかぴかの、おふとんが、
ひかれています。しっちゃんのあとを、つけてきた、おかあさんは、いいました。
『きのう、デパートにいったら、こどもようの、おふとんが、バーゲンで、うって
いたのよぉ〜』
しっちゃんは、おふとんのまえに、たったまま、うごけません。しっちゃんは、
じぶんが、おもったことを、いいました。
『どうせ、かうんなら、ドラエモンのに、してほしかったのにぃ〜』
それをきいた、おかあさんは、すぐ、こたえて、くれました。
『じゃあ、あした、ドラエモンのえを、ぬいつけて、あげるね!』
しっちゃんは、よろこんで、
『え〜っ、ほんとぅ〜っ! わぁ〜! うれしぃ〜なぁ〜!』と、いいました。
こうして、よく、わからないうちに、しっちゃんは、ひとりで、ねることに、な
りました。しっちゃんは、ねるまでのあいだ、きんちょうしました。
(だいじょうぶかな、おばけとか、でたりしないかな。おしっことか、ちびったり、
しないかな)
そうおもうと、かえって、のどが、かわいてきて、オレンジ・ジュースや、ぎゅ
うにゅうや、みずを、がぶがぶ、のんでしまいました。そうしたら、おねえちゃん
が、
『しっちゃん! そんなに、がぶがぶ、のんだら、おねしょ、しちゃうよぉ〜』
と、しっちゃんに、いいました。
しっちゃんは、(あっ! しょうだ!)と、おもいました。でも、もう、ておく
れです。しっちゃんは、(いゃ〜、まいったな〜)と、おもいました。
もう、しょろしょろ、ねるじかんです。しっちゃんは、パジャマにきがえました。
でも、てが、プルプル、ふるえていました。はを、みがくときも、こころは、うわ
のそらで、しっちゃんは、びびっていました。もしかしたら、おばけとか、でてき
て、『うわぁ〜』とか、いって、びびったりしないかな、だいじょうぶかな、と、
しっちゃんは、とっても、しんぱいに、なりました。
いよいよ、2かいにいくじかんです。しっちゃんは、おかあさんといっしょに、
かいだんをのぼりました。いつもなら、『うひょうひょ』わらいながら、かいだん
を、のぼるのに、きょうは、いちだん、いちだん、のぼるのも、ゆっくりです。
しっちゃんと、おかあさんは、しっちゃんの、おへやに、はいりました。へやの
あかりが、とても、あかるく、ついていました。
しっちゃんは、(いま、ないて、たのめば、ゆるしてもらえるかも、しれない)
と、おもいました。でも、そこまで、するのは、ちょっと、はずかしいので、でき
そうもありません。しっちゃんは、おかあさんに、ききました。
『おかあさん、ひとりで、ねて、さびしいんじゃないの?』
おかあさんは、こたえました。
『ぜ〜ん、ぜ〜ん』
しっちゃんは、いいました。
『また〜、おかあしゃん、しょんなこといって、ほんとうは、おしっこ、ちびりそ
うなくらい、こわいんでしょ〜』
おかあさんは、なぜだか、わからないけれど、わらいながら、いいました。
『しっちゃんのほうこそ、こわいんじゃないのぉ〜』
しっちゃんは、すぐ、いいかえしました。
『そんなことないよ! しっちゃん、こわくないもん』
しっちゃんは、おもいきって、ふとんに、ころがりこみました。でも、しっちゃ
んは、ほんのちょっとだけ、びびっていました。
おかあさんは、
『だいじょうぶよぉ〜、しっちゃん、いっつも、5びょうくらいで、ねちゃうじゃ
ない』と、いいました。しっちゃんは、
『え〜、しょんなことないよぉ〜』
と、いいました。おかあさんは、
『じゃあ、よこになって、めをつぶってみたらぁ〜』
と、いいました。
しっちゃんは、
『ぜったいに、そんなことないよぉ〜』
と、いいながら、よこになりました。なぜだか、わからないけれど、それから、ど
うなったのか、ぜんぜん、おぼえていません。どうやら、おかあしゃんのいうとお
り、ねむってしまったようです。