AWC 『紅茶が大好きなロビンのお話』後編 スティール


        
#2116/5495 長編
★タイトル (RJM     )  93/ 6/ 7  19:58  (177)
『紅茶が大好きなロビンのお話』後編 スティール
★内容

『紅茶が大好きで、おちゃめな耳長ウサギのロビンのお話し』そのに


 その日から、耳長ウサギのロビンの、わくわくしながらの毎日が始まりました。ク
リスマス・パーティーを準備する、わくわくした日々です。
 クリスマス・ツリーの準備は、いつものように、お父さん耳長ウサギのピーターに
頼みました。お父さん耳長ウサギのピーターは、クリスマス・パーティーのために、
気前よく、クリスマス・ツリー用の、新しいモミの木を、お店に注文してれました。
耳長ウサギのロビンは、大喜びしてしまいした。
 お母さん耳長ウサギのアンヌは、クリスマス・パーティーのための料理を、とても、
豪華にしてくれると、約束してくれました。耳長ウサギのロビンのために特大ニンジ
ンの丸焼き、山猫のプッチーのために特別なマタタビ、テンのドリーのにために、い
ろいろな種類の木の実を用意してくれると、お母さん耳長ウサギのアンヌは、言って
くれました。
 耳長ウサギのロビンは、また、大喜びしてしまいました。あと、残された仕事は、
飲み物の準備だけです。もちろん、その中には、紅茶の準備も含まれています。
 耳長ウサギのロビンは、お父さん耳長ウサギのピーターと、お母さん耳長ウサギの
アンヌに、特別、高級な紅茶と、そのほかの飲み物を買ってくれるようにと、ねだり
ました。もちろん、お父さん耳長ウサギのピーターと、お母さん耳長ウサギのアンヌ
は、買ってくれると、約束してくれました。耳長ウサギのロビンは、あたりを、ピョ
ンピョンと跳びはねて、『わぁ〜い! うれしいなぁ〜!』と、うひょうひょ笑いな
がら、またまた、大喜びしてしまいました。

 そうして、準備しているうちに、耳長ウサギのロビンが、待ちに待っていた、クリ
スマス・イブの日が近づいてきました。
 耳長ウサギのロビンは、毎日、毎日、準備に忙しく走りまわっています。クリスマ
ス・イブの一週間前には、クリスマス・ツリーが届きました。耳長ウサギのロビンは、
お父さん耳長ウサギのピーターといっしょに、わくわくしながら、リビングの真ん中
に、クリスマス・ツリーを立てました。そのあと、耳長ウサギのロビンは、お母さん
耳長ウサギのアンヌといっしょに、クリスマス・ツリーのかざりつけをしました。耳
長ウサギのロビンは、かざりつけが終わったあとも、クリスマス・ツリーをじっと見
つめて、それから、お母さん耳長ウサギのアンヌに
『もうちょっと、かざりつけが派手なほうがいいのになぁ〜』と、言いました。
 お母さん耳長ウサギのアンヌは、耳長ウサギのロビンの言葉を聞いて、にっこり笑っ
て、うなずいてくれたのでした。

 クリスマス・イブの五日前には、特大ニンジンと、特別なマタタビが届きました。
いろいろな種類の木の実は、毎週のように、日曜日に、三人で、森にハイキングに行っ
て、とったきたものが、物置にたくさん詰まっていました。毎週のように、日曜日に、
ハイキングに出かけたのは、もちろん、耳長ウサギのロビンが、お父さん耳長ウサギ
のピーターと、お母さん耳長ウサギのアンヌにねだったからでした。
 耳長ウサギのロビンは、あつまった食べ物を見て、とても満足して、いつまでも、
いつまでも、ニコニコと笑っていました。

 クリスマス・イブの三日前には、耳長ウサギのロビンが、一番首を長くして待って
いた、高級な紅茶が届きました。耳長ウサギのロビンは跳び上がって、『わぁ〜い!』
と言って、喜びました。それから、耳長ウサギのロビンは、お母さん耳長ウサギのア
ンヌといっしょに、紅茶のフタを、ほんの少しだけ、そぉ〜と、開けました。耳長ウ
サギのロビンは、はなをくんくんさせて、紅茶の葉っぱのにおいを少しだけ、かぎま
した。やっぱり、ちょっと、普通の紅茶とは、ちがう、高級なにおいがしました。
 耳長ウサギのロビンは、とても、しあわせな気分になって、(クリスマス・イブに、
この高級な葉っぱで、紅茶をいれたら、どんなに、しあわせなんだろう)と、心の中
で、思いました。

 クリスマス・イブの二日前には、学校も、冬休みに入りました。耳長ウサギのロビ
ンも、いつものように、山猫のプッチーとテンのドリーといっしょに、ダーッと走っ
て、おうちに帰ってきました。
 おうちに帰ってきて、おやつを食べたあと、すぐに、耳長ウサギのロビンは、クリ
スマス・パーティーの準備に取りかかりました。耳長ウサギのロビンは、とてもとて
も、わくわくしながら、いっしょうけんめい、クリスマス・パーティーの準備をしま
した。耳長ウサギのロビンは、お母さん耳長ウサギのアンヌの、おそうじやお買物の
お手伝いをしました。

 そうして、耳長ウサギのロビンが、わくわくしているうちに、あっというまに、ク
リスマス・イブの日が、来てしまいました。その日の朝、耳長ウサギのロビンが起き
て、窓の外を見てみると、なにか白い小さいものが、チラチラしていました。お母さ
ん耳長ウサギのアンヌは、言いました。
『ロビンがいい子にしていたから、きっと、神様が、雪をふらしてくれたのね』
 耳長ウサギのロビンは、雪を見て、なみだが出そうになるくらい、感動しました。

 耳長ウサギのロビンは、
『しょおかなぁ? でも、しょうかもしれないね』と、お母さん耳長ウサギのアンヌ
に言いました。

 でも、その雪は、一日中、降り続きました。しんしんと、しんしんと、ゆっくり、
ゆっくりと、降り続きました。降り積もった雪のおかげで、ピョオトル村は、大雪に
なってしまいました。
 そのうえ、ピョオトル村では、雪だけでなく、とても、寒い風もふきました。村の
泉も、凍ってしまい、川も凍ってしまいました。
 耳長ウサギのロビンのおうちでも、水道管が凍って、お水が出なくなってしまいま
した。耳長ウサギのロビンは、とても困ってしまって、泣きそうになりました。おう
ちに残っているお水は、二日前に、泉でくんできた、古いお水くらいしかありません。

 今晩は、耳長ウサギのロビンのおうちで、山猫プッチーとテンのドリーを招いて、
クリスマス・イブのパ−ティーを開くことになっています。耳長ウサギのロビンは、
そのパーティーに来てくれた、お客さまに、紅茶を出すのを、楽しみにしていました。
でも、良いお水がなければ、おいしい紅茶を入れることができません。耳長ウサギの
ロビンは、『どうしたらいいんだろう、どうしたらいいんだろう』と、頭をかかえて、
困ってしまいました。
 耳長ウサギのロビンは、お父さん耳長ウサギのピーターと、お母さん耳長ウサギの
アンヌに、なんとかしてくれるようにと、泣きながら、頼みました。でも、お父さん
耳長ウサギのピーターも、お母さん耳長ウサギも、何もしてあげることができません。
できることといえば、耳長ウサギのロビンをなぐさめるということだけでした。
 耳長ウサギのロビンは、どうしようもないので、あきらめて、二日前のお水で、が
まんして、紅茶をつくろうと、思いました。こうして、おそとで、雪がしんしんと降
り積もるなか、耳長ウサギのロビンと、お父さん耳長ウサギのピーターと、お母さん
耳長ウサギのアンヌは、クリスマス・パーティーの準備をしました。
 クリスマス・パーティーの準備が終わったころには、もう日が暮れて、薄暗くなっ
ていました。お父さん耳長ウサギのピーターと、お母さん耳長ウサギのアンヌは、耳
長ウサギのロビンを残して、出かけるかどうか、迷いました。お母さん耳長ウサギの
アンヌは、耳長ウサギのロビンに、
『ロビン、一人で、だいじょうぶ?』
と、聞きました。耳長ウサギのロビンは、
『うん、だいじょうぶ!』
と、答えました。お父さん耳長ウサギのピーターも、耳長ウサギのロビンに、
『本当に、だいじょうぶか?』
と、聞きました。耳長ウサギのロビンは、
『うん、だいじょうぶだよ! 安心して、行ってきて!』
と、答えました。
 こうして、お父さん耳長ウサギのピーターと、お母さん耳長ウサギのアンヌは、大
人たちのクリスマス・パーティーに、出かけました。

 耳長ウサギのロビンは、一人で、だんろの前に座って、お客さまが来るのを待ちま
した。あと三十分くらいで、山猫のプッチーと、テンのドリーが、クリスマス・パー
ティーに来てくれるはずです。
 本当なら、ここで、わくわくしながら、待っているはずなのでずか、耳長ウサギの
ロビンの心には、お水のことが、まだ、気になって、残っていました。
 約束の時間が、だんだんと、迫ってきます。耳長ウサギのロビンは、なんとなく、
窓の外を見ました。窓の外では、相変わらず、雪が、しんしんと降っていました。耳
長ウサギのロビンは、降っている雪のことを、憎たらしく、思いました。そして、耳
長ウサギのロビンは、『憎たらしい、雪のやつめ!』と、つぶやきました。
 そのとき、耳長ウサギのロビンの頭の中で、何かが、ひらめきました。耳長ウサギ
のロビンは、急いで、ヤカンを持って、おうちの外に出ました。そして、ヤカンの中
に、いま降ったばかりの新しい雪を詰め込みました。耳長ウサギのロビンは、雪の詰
まったヤカンを、そぉ〜と、そぉ〜と、持って、おうちに帰りました。耳長ウサギの
ロビンは、雪の詰まったヤカンを、キッチンに持っていき、火をつけて、お湯をわか
しました。ヤカンの雪がとけているあいだも、耳長ウサギのロビンは、何度も、何度
も、いま降ったばかりの新しい雪を、集めに行きました。
 ヤカンの雪がとけて、お水になり、そして、ふつふつと蒸気があがる、お湯になっ
たころ、お客さまの、山猫のプッチ−と、テンのドリーがやって来ました。耳長ウサ
ギのロビンは、大喜びで、山猫のプッチーと、テンのドリーを歓迎しました。耳長ウ
サギのロビンは、二人を、食事でいっぱいになっているテーブルのところまで、案内
しました。
 山猫のプッチーは、耳長ウサギのロビンに、『あ〜、さむい、さむい。こんなとき
には、ロビンがつくってくれた紅茶を、まず、一番に、のみたいな』と、言いました。

 テンのドリーも、耳長ウサギのロビンに、『さむい、さむい、わたしも、こんなと
きには、ロビンの紅茶がのみたいわ』と、言いました。
 耳長ウサギのロビンは、二人の言葉に、とても、喜びました。でも、心の中では、
(雪でつくったお湯で、だいじょうぶかな?)と、心配していました。耳長ウサギは、
すぐに、キッチンに行って、紅茶づくりにとりかかりました。
 耳長ウサギのロビンは、ヤカンのお湯を、とくに、そお〜と、そお〜と、ポットに
いれました。もちろん、ポットの中には、特別、高級な紅茶の葉が入っています。耳
長ウサギは、そのポットを両手で持って、ゆっくりと、ゆっくりと、リビングにむか
いました。
 耳長ウサギのロビンは、二人のお客さまの前に、カップを置いて、その中に、紅茶
をそそぎこみました。山猫のプッチーと、テンのドリーは、まちかねたようすで、カッ
プを手に取り、紅茶をのみました。
 耳長ウサギのロビンは、(雪でつくった、紅茶で、だいじょうぶかな? おいしい
かな)と心配で、お客さまの顔色を、はらはらしながら、うかがっていました。する
と、山猫のプッチーは、
『いやぁ、今日の紅茶は、とびっきり、うまい!』と、言ってくれました。
 テンのドリーも、
『今日の紅茶は、いままでの紅茶のうちでも、特別に、とっても、おいしいわ』と、
言ってくれました。
 耳長ウサギのロビンは、ホッと、胸をなで下ろしました。そして、とても、喜んで、
うひょうひょと、笑いました。

 そのとき、入り口のドアがあいて、お父さん耳長ウサギのピーターと、お母さん耳
長ウサギのアンヌが帰っていました。
 お父さん耳長ウサギのピーターは、耳長ウサギのロビンに、言いました。
『雪がひどく降ったんで、大人たちのクリスマス・パーティーは、中止になったよ』

 耳長ウサギのロビンは、入り口の二人のところに、走っていって、言いました。
『お父さん、お母さん、あの雪は、やっぱり、神様の贈り物だったんだよ』
 お母さん耳長ウサギのアンヌは、にっこり笑って、
『あら、それは、よかったわね』と、言いました。
 こうして、耳長ウサギのロビンのクリスマス・パーティーの人数は、五人にふえま
した。お父さん耳長ウサギのピーターと、お母さん耳長ウサギのアンヌと、耳長ウサ
ギのロビンと、山猫のプッチーと、テンのドリーは、料理やのみものをいっぱい乗せ
たテーブルをかこんで、クリスマス・パーティーは、楽しく、わいわい騒ぎながら、
夜遅くまで、続いたのでした。
                                                              __
 めでたし、めでたし。                   |@@|
                                                            |<>|
                                レミントン・スティール     ̄ ̄




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