AWC 『紅茶が大好きなロビンのお話』前編 スティール


        
#2115/5495 長編
★タイトル (RJM     )  93/ 6/ 7  19:50  (102)
『紅茶が大好きなロビンのお話』前編 スティール
★内容

『紅茶が大好きで、おちゃめな耳長ウサギのロビンのお話し』そのいち


 むかし、むかし、あるところに、動物たちが、たくさん住んでいる、ピョオトル村
という、小さな、小さな、とても、小さな村がありました。その村は、緑と自然に囲
まれた、とても美しい、とても、のどかなところでした。ピョオトル村の住人は、さ
まざまな種類の、たくさんの動物たちでした。ピョオトル村の動物たちは、みんな、
心優しく、みんなが、お互いに助け合って、とても、仲良しにして、暮らしていまし
た。
 その村に住んでいる動物たちの中の一人に、ロビンという、耳長ウサギがいました。
きょうの物語の主人公は、この、ロビンという耳長ウサギです。

 耳長ウサギのロビンは、ピョオトル村の住人ですが、まだまだ、子供の耳長ウサギ
です。耳長ウサギのロビンは、お父さん耳長ウサギのピーターと、お母さん耳長ウサ
ギのアンヌと、土の中に掘ったおうちに住んでいました。ウサギという動物は、おう
ちを、土の中につくるのが好きなので、たいていのウサギは、土の中に、おうちをつ
くります。耳長ウサギのロビンのおうちも、そういうおうちの中のひとつでした。
 耳長ウサギのロビンは、まだまだ、子供なので、ピョオトル村にある学校に通って
いました。
 耳長ウサギのロビンは、学校がある日には、朝早くから、お母さん耳長ウサギのア
ンヌに起こされて、寝ぼけながら、朝食のニンジンをかじります。それから、お父さ
ん耳長ウサギのピーターと二人で、二本足で、トボトボと、学校に行きます。でも、
学校が終わって、帰ってくるときには、お友だちといっしょに、四本足で、元気に、
ダーッと走って、おうちに帰ってきます。

 耳長ウサギのロビンには、毎日、かならずしている、とても大好きなことがありま
した。それは、毎日だいだい決まった時間に、かならず、紅茶をいれて、のむという
ことでした。雨が、ざあざあと降った日も、雪が、しんしんと降った日も、太陽が、
じりじりと照りつけた日も、風が、びゅうびゅうと吹いた日も、どこかへ用事があっ
て出かけていた日も、耳長ウサギのロビンは、紅茶を飲むのを、決して、決して、忘
れることはありませんでした。
 夕食が終わったあとにも、耳長ウサギのロビンは、お父さん耳長ウサギのピーター
と、お母さん耳長ウサギのアンヌのために、紅茶をいれてあげます。もちろん、じぶ
んの分をいれるのも、忘れたりしません。
 お父さん耳長ウサギのピーターは、耳長ウサギのロビンのいれた紅茶を、おいしそ
うにのみながら、耳長ウサギのロビンに、その日にあったいろいろなことのお話しを
聞いてくれます。
 お母さん耳長ウサギのアンヌは、耳長ウサギのロビンのいれた紅茶をのみほしてか
ら、『今日の紅茶は、とってもおいしい』と、ほめてながら、耳長ウサギのロビンに、
おやつとして、ニンジンをくれるのでした。

 耳長ウサギのロビンは、一人で紅茶を飲むのも好きでしたが、お客さまといっしょ
に、紅茶を飲むのも好きでした。だから、紅茶の時間に、お客さまが見えたときなど
は、耳長ウサギのロビンは、とても、大喜びしました。
 そんな耳長ウサギのロビンは、今年も、自分のお誕生日の九月十五日に、お友だち
を呼んで、お誕生パーティーをひらきました。今年も、いつものように、山猫のプッ
チーと、テンのドリーを、お友だちとして、まねきました。そして、今年も、いつも
のように、お父さん耳長ウサギのピーターと、お母さん耳長ウサギのアンヌが、お誕
生日パーティーのお手伝いをしてくれました。
 耳長ウサギのロビンは、まず、手伝ってくれたお父さん、お母さんに、『お父さん、
お母さん、今日は、お手伝いをしてくれて、ありがとう』と、言いました。
 耳長ウサギのロビンは、つぎに、ロビンのおうちに来てくれた山猫のプッチーと、
テンのドリーに、
『それから、山猫のプッチーさんと、テンのドリーさんも、わざわざ、パーティーに
来ていただいて、ありがとう。これから、誕生日に集まってくれたみんなのために、
いつものように、紅茶をいれたいと思います』と、言いました。
 集まったみんなは、耳長ウサギのロビンのあいさつを聞いて、『わぁ〜!』と言っ
て、パチパチと拍手をしました。耳長ウサギのロビンは、みんなの拍手にてれながら、
顔を赤くしました。そして、『えへへへへ』と、てれたまま、耳長ウサギのロビンは、
一人で、紅茶をつくりに、キッチンに行きました。
 この日のために、お父さん耳長ウサギが特別に用意してくれた、紅茶の葉っぱの中
から、五人分の紅茶用の分を取り出して、ポットにいれました。それから、ヤカンの
中のお湯をポットに注ぎます。ヤカンの中のお湯は、お母さん耳長ウサギのアンヌが、
町外れの泉から、特別にくんできてくれたお水を、わかしたものでした。
 こうして、特別の紅茶の葉っぱと、特別のお水からわかしたお湯で、紅茶ができま
した。耳長ウサギのロビンは、紅茶の入ったポットと、五人分のカップを、キッチン
から、みんなのいるリビングに運びました。
 リビングでは、ちょうど、お母さん耳長ウサギのアンヌが、お誕生日用のケーキを、
五つに切っているところでした。耳長ウサギのロビンは、まず、お客さまの山猫プッ
チーと、テンのドリーの前にカップを置いて、そのカップに、紅茶を注意深く、そぉ
〜と、そぉ〜と、いれました。
 山猫のプッチーと、テンのドリーは、耳長ウサギのロビンがいれた、紅茶のにおい
をかいでから、ゆっくりと、ゆっくりと、紅茶をのみました。耳長ウサギのロビンは、
二人が紅茶をのむのを、(紅茶、おいしいかな? どうかな?)と、心の中でわくわ
くしながら、見ていました。
 山猫のプッチーは、紅茶をのみほして、紅茶をおかわりしながら、
『いやぁ〜、今日の紅茶は、とっても、うまい!』と、言いました。
 テンのドリーも、紅茶をのみほして、紅茶をおかわりしながら、
『今日の紅茶は、とっても、おいしいわ』
と、言いました。
 耳長ウサギのロビンは、山猫のプッチーと、テンのドリーの、二人の言葉に、とて
も喜びました。そして、耳長ウサギのロビンは、上機嫌のまま、次は、お父さん耳長
ウサギのピーターと、お母さん耳長ウサギのアンヌのカップに、大急ぎで、紅茶をい
れました。
 耳長ウサギのロビンは、最後に、自分のカップに、紅茶をいれおわると、急いで、
カップを持ち上げて、紅茶をのんでみました。特別の葉っぱと、特別のお水で、いれ
た紅茶は、やっぱり、なんとなく、いつもとはちがう、おいしい味がします。耳長ウ
サギのロビンは、心の中で(今日の紅茶は、特別に、おいしい)と、思うのでした。

 と、そのとき、お父さん耳長ウサギのピーターが、毎年の、お誕生パーティーとは、
ちがうことを言いました。
『ロビンは、今年も、また、誕生日をむかえて、また一才、大人になった。ロビンも、
もう、大きくなったのだから、今年のクリスマスにも、子供たちだけで、クリスマス・
パーティーをひらいたらどうだろう。お父さんと、お母さんは、そのあいだ、大人た
ちのクリスマス・パーティーに出ているから』
 それを聞いた、ほかのみんなは、とても驚きました。でも、耳長ウサギのロビンも、
山猫のプッチーも、テンのドリーも、みんなで、手を取り合って、『わぁ〜、すごい
なぁ〜!』と言いながら、大喜びました。お母さん耳長ウサギのアンヌも、みんなの、
その様子を見て、ニコニコと、笑っていました。
 このようにして、今年も、耳長ウサギのロビンの、お誕生日は、とても、楽しいま
まで、終わったのでした。




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