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★タイトル (NKE ) 97/ 6/29 0:22 ( 32)
「告白・6」M,D
★内容
それでも男子生徒は、スキーやカンジキを履いて元気に登校するのですが、低学年の児
童や女子生徒の多くは、この寄宿舎での生活をやむなしとしておりました。
その年の冬、新任ということもあってか、私は校長より「寄宿舎で生徒の生活を管理
するように」と命を受けました。
この寄宿舎というのは、学校から一キロ足らずの至って閑散とした所にポツンと建って
おりました。
裏はK山の裾野がすぐの所まで迫っており、僅かばかりの裏庭は数基の墓石がたってい
る寂しい所でした。
二階建ての長屋の様な建物、二階は四畳半の部屋が廊下をはさんで四つづつ、これが生
徒達の部屋です。
一階は六畳の管理人室、そして二十畳近い台所兼食堂、その後ろが便所と物置それから
温泉を引いた浴場になっておりました。
ここも以前は十七、八名位の児童が寝起きし、相部屋も辞さない賑わいを見せていたそ
うですが、過疎化が年々進みつつある現在、僅か四人の生徒を収容するにとどまってお
りました。
朝と晩に賄いのおばさんが食事を作りに来る以外は、すべて自分達でやらなければなり
ません。
便所、風呂、廊下に食堂等、公共の場所は当番で清掃に当たります。
先生はただ口で指導するだけで、皆素直に従ってくれるものだから、至って楽な仕事で
ありました。
そして週末の午後ともなると、子供達はめいめい遠く離れた実家へと急ぐのです。
楽しい家庭の一時も束の間、翌日の昼には奥深い雪をかき分け、寄宿舎へと向かうので
す。
一月も半ば過ぎのある土曜日、用務員のEさんから連絡がありました。
「先生、寄宿舎にZから来でる子めら(子供)いっかよ、・・・今駐在さんがら電話あ
って、何でもZとK原の間が、大雪雪崩で危なぐって通れねぇらしいがら・・・・」
Zからは確か典子という六年生の生徒が来ていた筈でした。
「先生、悪りぃげんじょ、典子は今日帰れねぇべがら、寄宿舎で預がってくんつぇ(下
さい)」
三時間目の授業が終了した放課後、典子を呼んで先の件を伝えました。
「・・・・そうゆう訳だから、家さ帰るのは無理だ・・・むぞせい(可哀相だ)げんじ
ょ(けれど)今日のところは寄宿舎さ泊まれ、な、いいが」