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★タイトル (NKE ) 97/ 6/29 0:18 ( 32)
「告白・5」M,D
★内容
私はあの重苦しい生活から開放された喜びに、精神の健康も次第に回復してまいりまし
た。
校庭の至るところにまだ残雪が灰色の姿をとどめている中、私は新年度の始業式に出席
すべく、校門をくぐりました。
校長先生のご紹介の後、やや緊張の面持ちで壇上に昇と、素朴で純真そのものの瞳が一
斉に注がれました。
この学校では、五学年を担任することになりました。
五年生といっても、一クラスしかない上、総勢二十八人の小所帯でした。
初めは緊張のため大分固くなっていた子供達も次第に打ち解けてまいりました。
話しは前後しますが、この町に来て初めに驚かされたことは、混浴の共同温泉風呂があ
るという事でした。
あまりにも無名でしたが、ここはれっきとした温泉町なのです。
各家庭では自宅に温泉を引く経済的余裕がないので、旅館を経営している家を除けば、
ほとんどの人がこの共同浴場(土地の人は村湯とよんでいた)を利用しておりました。
ですから老若男女がここを訪れては、何の羞恥心もなく人前で裸体をさらしているので
す。
特に年頃の若い娘が股を大きく開いて身体を洗う様は、とても淫靡で目のやり場に困る
くらいでした。
そういう訳で、下宿に戻ると決まって今見てきた光景を回想しながら、抑圧されてきた
欲望を一人吐き出していたのでした。
田舎の子は、都会の子にない良いものをいっぱい持っておりました。
私は土地の子から、色々な自然の遊びを教わりました。
従順で素直なのは生徒に限らず、土地の人の誰もが私に対してとても親切でした。
かなり保守的ではありましたが、田舎特有の排他的なところがなく、先生とか駐在巡査
、役所の職員等々、所謂公職にある者をことのほか重鎮扱いし、一目も二目もおいてお
りました。
ここは、農業と林業そして僅かな旅館業を除けばこれといった産業もないひなびた寒村
でした。
その上、人口密度が極めて低く、生徒の中には六キロもある道のりを歩いて登校する者
や、十キロ近く離れた山奥から一時間余りかけてバス通学する生徒もおりました。
これらの児童は、大人の背丈にも及ぶ大雪に閉ざされる十二月から二月の間、学校の近
くの寄宿舎で生活します。