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新選組異聞 蒼き疾風<第二回> BY 野原向日葵
★内容
新選組異聞
蒼き疾風 <第二回>
第一章 (二)
「これはこれは、清河さま」
その夜、深川料亭『水月』に一人の武士が姿を見せた。その名を清河八郎と云う。
「さぁ、こちらへ」
「女将、席を外せ」
「わかりました」
清河は、膳の前に腰を下ろすと既に先に来ていた男に向かって口を開いた。
「あの方からの指示は・・・?」
「殿は、一刻も早い将軍家上洛をお望みだ」
「それももうすぐだ。安堵されよとお伝え願いたい」
「伝えよう。だが、清河どの、御油断召されるな。我らの計画、万が一漏れるとなら
ば、我らだけではなく、京の殿の御身が危ないと云う事を」
「承知した。しかし、その御仁、どのようなお方なのだ」
清河は、以前からの疑問を問いただそうとした。
「京の殿」、それ以外、清河は知らない。
さて一方___、牛込の試衛館道場。
「おい、総司」
「何ですか?永倉さん」
稽古を終え、井戸端にやって来た沖田総司を、永倉新八が呼び止める。
「お前は、やっぱりあの二人についていくのか?」
「はぁ…?」
「幕府の浪士隊の話しだ」
「ああ、その事ですか」
「ま、近藤先生は行くとして、問題は師範代だな。何しろ、決定権は土方さんだから
な」
「行きますよ」
「えっ」
「さっき、近藤先生の所に行きましたから、多分そう云うんじゃないかと思います」
総司は、お得意のニッコリ笑顔で答えた。
その近藤勇の部屋で、土方歳三は京へ行く決意を語った。
その意見に、永倉新八・藤堂平助・斎藤一らが従ったのは云う間でもない。
時に文久3年、清河八郎が募った浪士たちは、小石川伝通院に集結した。
「諸君、よくぞ賛同し集ってくれた。我々の役目は、上様上洛を警護すると共に、京
の攘夷派を一掃する事にある」
清河は、声高らかに語った。そんな中で、歳三はあの男と再開した。
(芹沢鴨・・・)
その芹沢は、相変わらず酔っていた。
しかし、その京ではある陰謀が着々と進められていたのである。
「御前、首尾は上々にございます」
「うむ。清河と云う男、役に立ったようじゃな。だが、もう一人使えるものが欲しい
のう。捨て駒は多ければ多いほどいいものじゃ」
「その事につき、既に手を打ってございます」
「ほぅ。その男、使えるのか」
「はい。清河がその男を引き入れる事に・・・」
「それは結構。早く、見たいのう。計画が実行されるのを・・・ククク」
男は、そう云って含み笑いを漏らした。