#4234/7701 連載
★タイトル (ARJ ) 95/ 5/29 19:42 (123)
雑談日記(4)「うち文レス」 みのうら
★内容
この文章は、永山さんの「うち文」3−1から3−16までへのレスとなってお
ります。MSGとしては長すぎるし、ライトノベルに対する持論にもつながってい
るので連載に持ち込んだ次第です。
この道はいつか来た道>
読み進むうちに笑いがこみ上げてきた。いやはや、クラウゼウィッツが出てきた
ときは思わず声を立てて笑ってしまい、家人に不気味がられてしまった。軍事関係
はベトナムやフォークランドも参考になりますよ。
いやいやいや。この道はいつか来た道。あ〜あ、そうだよ〜う。苦悩と歯ぎしり
の花が咲いてる。通った通った、私も昔確かにこの道を通りました。一通り悩んで
、自分なりの解決をひねり出した道だわ。なつかしいなあ。
習作の3作品。実は私も昔、こういう傾向の書いたことあるのです。やっぱ、必
ず通る道なのだなあ。でも違う人が書くとどう変化するのか興味ある。
ちょっと疑問に感じた所を書き出してみます。
★一体ここは地球なのか?
重大な問題です。四季はあるのか?太陽は月はいくつか何色か?一年は何日で一
日は何時間か?そもそも昼と夜があるのか?
地球でないならメートル法は避けたいですし、天動説だってOKだし。ファンタ
ジーなら惑星である必要もなし。お盆の上に世界は存在するのだあ。
逆に地球なら、四季はあるのか?時代はいつか?未来なのか過去なのか。月はい
くつか?太陽の大きさは?星座の配置は?
登場人物は「人間」なのか?その他の動物は?「火星シリーズ」や「スターキン
グ」に出てくる魅力的な非人類は捨てがたいぞ(そりゃスペオペだっつうの)。
未来の火星なら「火星年代記」。過去の地球なら「アヴァロンの霧」。地球に準
じる世界でありながら多種多様の風土・風俗を描き滅び行くドラゴンを描く「ゲド
戦記」こと「アースシー四部作」。
★現代の常識に捕らわれすぎてはいないか?
なぜ、女は戦場に出られないのか?
古来戦場は神聖な場所とされており、大規模な破壊を行う際にはかならず創造の
原動力たる女性を必要とする。創造を行わない男性が破壊及び殺戮を行うのはけが
れた行為であり……
なぜ、飛行機より戦車が先に実用化されてはおかしいのか?
古来空は神聖な場所とされており、人々は鳥を神の使いとあがめていた。空を飛
ぼうなどという神をも恐れぬ行為は(中略)新世紀***年、時の神聖皇帝エルア
ラメイン率いる聖甲虫戦車隊は、聖なる鳥オウムを崇拝する新宗教が作り出した科
学の鳥「ミナイ・19」がまき散らす恐怖の……(以下自主規制)
でたらめをいかに「らしく」見せるか、納得させるか。それもファンタジーの面
白い所であります。
通り過ぎた者として一つご忠告をば。
この道には自縄自縛なる怪物と、理論武装なる地雷がひそんでおります。その上、
通り過ぎた後は立派な「おたく」看板を背負う事となりましょう。私のように。
まあいやしくも創作活動など行うならば、「おたく」看板の一枚や二枚、勲章く
らいに思わねばなりませんが。この道(壁)をいかに切り抜けるかが作品のクォリ
ティに関わって来ますので、ぜひぜひ、気合いを入れてがんばって下さい。
ファンタジーとはなんぞや>
という話をするのが、現在現時点においていかに空しく寂しく砂漠に水を撒くよ
うな作業であるのか……。いや、一般論です、一般論。絶対多数決で言えば、RP
Gファンタジーがファンタジー正統派なのでございましょうな。
でもあれを「地獄の底までファンタジー」と呼んで欲しくないぞな。「地獄の底
までRPG」とか「地獄の底までSNE」とかならともかく。
ファンタジーとはなんぞや。
人によって様々な意見があると思いますが、私は「宗教」だと思っています。
文化、習慣、地理、その他もろもろを合わせて統括しどろどろと融合させるほの
暗い宗教。暗い必要もないか。明るくてもいいが、とにかく宗教。
これが語られないと、私はファンタジーとして面白いと感じません。
エルリックもロード・ダンセイニも読んでいない私に正統派ファンタジーを語る
資格はありませんが、私にとってのファンタジーは宗教です。
魔法を提供するだけのアイテム化した神など論外!
密林に、連なる山々に、深い洞窟に、居酒屋の扉の影に、部屋の暗がりに、魂の
奥に、暗く、じめじめと、深い魂の叫びを食らいつくす神。
……だからといって自作をこのように書けるかというと面白いほど書けないのだ。
山ほど考えたアイデアを没にするほど作品は良くなる……かもしれない>
描(書)きたいこと・書けること・書くことは違う、って話。
こんな事を言うと笑われるかもしれませんが、私はAWCでファンタジーを書い
たつもりは一度しかございません。短編ボードの#172がそれです。他のはなに
かと言いますと、一応全部スペオペのつもりなんだなあ、これが。
「高度な科学は魔法と見分けが付かない」ならぬ、「説明不足のスペオペはファ
ンタジーと見分けが付かない」現象が起きておるのです。
同じ短編ボード#146を例に上げてみましょう。
この作品で描きたかったのは風景。海から吹き上げられる風に髪を撫でられる少
女を描きたかった。
書けること。この直前に司馬遼太郎の「空海の風景」を読んでおります。だから
主人公の名前は真魚。ついでに八代目。でも女の子。
世界観、日本。空海だから四国、それも高知くらい。アイヌっぽい雰囲気もいい
かも知れない。海にすなどる(漁る、って出ないぞATOK!)種族。だとすると
瀬戸内みたいな多島海だな。邪馬台国をモデルに、巫女さん主役の国家はどうだろ
う。そうするとやっぱり第三次世界大戦後の世界で多島海化した元日本列島あたり
を征服する巫女女王とその夫(影薄い)の話だな。過去の建物、倒壊したビルとか
に住んで……
さてこれを全部書こうとすると長編になります。しかもこれに近い設定でもう商
業ベースの作品が発行されているのを発見。その上「銃夢」でも似たような世界観
を使っている。
私が書こうとしているのは短編。書きたいエネルギーも1MSG分しかない。さ
てどうするか。その結果は#146をお読み下さい。
これをオフで無常さんに説明したところ、
「そんな設定わかるかい!」
と笑われたものである。大体真魚と兄熊さえ、「まいお」と「えくま」と読めた
のはたった一人であった。
描きたいシーンを優先して、設定をぶったぎり、読者の想像にゆだねるという乱
暴な技で。#454でも同じような形式を取り、久作さんにご指摘いただいてます
(3−1#7266)。
いいか悪いかは別として、これくらいぶっちぎる奴もいるんだから、もっとざく
ざく切り取って大丈夫ですよ。なんか習作群は、全体的に説明的すぎる感がありま
す。
大体、今まで羅列されているのは単なるアイディアであって、エピソードじゃな
いですよ。アイディアなんかばしばし切り捨てるべきです。10アイディアがあれ
ば、そのうち9は使いものになりません。ならなくてあたりまえ。
両陣営五分五分はよっぽど上手く書かない限り、続き物とみなされるか、みごと
なあらすじ小説が仕上がるでしょう。
100枚ってのは結構誰でも書ける量です。350枚とにかく書いてしまい、出
してしまった方がいい。
那護野帝国はすごい楽しみにしてます。世界観がいい。個性がある。
ところで、「スペースオペラの書き方」読みました?あれファンタジーでも有効
な良書ですよ。続編の「愛しのワンダーランド」はスペオペファンじゃないと泣け
ないので無理に買う必要ないですけど、前者は無理しても買う必要有りです。もち
ろん、推理小説書くにしても有効。全てのエンターティメント作品に有効です。