AWC 掲示板(BBS)最高傑作集54


        
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★タイトル (KCF     )  93/ 5/24  21:46  (196)
掲示板(BBS)最高傑作集54
★内容

(「掲示板(BBS)最高傑作集53」からの続き)

  司会者のお願いにもかかわらず、女達はいっこうに踊り場に来る様子はありま
せんでした。そこで、司会者は、そばにいた2人の女の手を引き、踊り場に強引
に連れてきました。これを見た彼女達の友達らしき女が、踊り場に歩き始めまし
た。すると、残りの女達は全員、ひとり残らず、どーと踊り場にやって来たのp竭ホに
このようなことはしません。西洋人の女だったら、司会者が「ゲームをやるから
来てくれ。」と言ったとき、ゲームに興味があれば他の女のことなど気にせず1
人でも踊り場に行くだろうし、興味がなければ、たとえ自分以外の女が全員踊り
場に行ってしまったとしても自分1人で席に残っているはずです。
 しかし、この特徴は何も日本人女に限ったことではありません。女ほどではな
いにしても、日本人男の中にも同じような不可解な行動をとる人がたくさんいま
す。ですからこれは、日本人の特徴と言ってもいいのかもしれません。

  女が全員、踊り場に集まったところで、司会者の男女がゲームの説明を始めま
した。
「女性の方はみなさん、踊り場に集まりましたね?」
「まだいらしていない方はいませんか?」
「大丈夫のようですね。それではこれからゲームについてお話しいたします。今
から行うゲームは『借り物競争』です。」
「借り物競争は、みなさんはよくご存ですね。」
「みなさん、ちょっとこちらのテーブルに目を向けてください。テーブルの上に
は、たくさんの紙が置かれていますね。女性の方には全員、この中から紙を1枚
選んでいただきます。」
「紙にはどのようなことが書かれているかと申しますと、ある男性の条件が記さ
れています。」
「女性の方には、自分が選んだ紙に書かれた条件を満たす男性を、このパーティ
ーの会場内にいる男性の中から探していただきます。適当な男性が見つかりまし
たら、すぐにその方をこちらに連れてきてください。
「このゲームは5名の女性が5名の男性を連れてきた地点で終了いたします。で
すから、女性の方は大急ぎで紙に書かれた条件を満たす男性を探さなければなり
ません。」
「つまり、早い者勝ちということになります。」
「男性5人が連れてこられましたら、続いてみなさんに、どの女性が条件に一番
適した男性を連れてきたかを審査していただき、優勝者を決めます。」
「優勝者の女性には素敵なプレゼントが用意されていますので、女性のみなさん、
ぜひともがんばってください。」
「女性のみなさん、分かりましたか?」
  女は誰も返事をしませんでした。
「それでは借り物競争、スタート!」
  優勝するとプレゼントがもらえるというので、数人の女は、ゲーム開始と同時
にテーブルの上に置かれた紙を詮索し始めました。そしは、すぐに男の方へ走ってきました。しかしな
がら、ほとんどの女は、既にこのねるとんパーティーに愛想を尽かしてしまって
いたためか、「借り物競争」などまったくやる気がないようで、ただ、ぼけーと
司会者のそばに立っているだけでした。
 やがて、ゲーム開始から1分もたたないうちに司会者が借り物競争の終わりを
宣言しました。
「はい! ここまで!」
「5人の男性がもう連れてこられてしまいました。早いですねえ。」
「それではこれから、みなさんに優勝者の審査をしていただきます。」
「審査方法は、これからお話いたします。みなさん、よーく聞いていてください
ね。」
「まず、女性に連れてこられた5人の男性を、私達がひとりずつ紹介いたします。
次に、彼らを連れてきた5人の女性にひとりずつ、自分の選んだ紙にどういう条
件が書かれていたかを読み上げてもらいます。その時、もしその女性が、紙に書
かれた条件にピッタリの男性を連れてきていたと思える場合は、みなさん、拍手
をしてください。」
「そして、最終的に拍手を一番受けた女性が優勝者となります。」
「非常に簡単ですね。」
「みなさん、よーく考えて拍手をしてくださいね。」
「それでは、女性に連れてこられた男性のみなさん。こちらに一列に並んで下さ
い。」
  5人の男が司会者の横に一列に並びました。彼らは全員、かなり恥ずかしそう
な素振りをしていました。
 司会者にいちばん近い右端の男は、その日のねるとんパーティーに参加した男
の中では、ルックスはまあまあのほうで、E男レベルでした。その男の左隣には
A男がいました。そしてA男の隣にはB男、そのまた隣にはC男が立っていまし
た。つまり、このパーティーで一番かっこいい(ましな)御三家が、司会者の横
に並んだ5人の男達のまん中に陣取っていたのです。そして、列の左端には、他
の4人と比べると容姿の点で完璧に劣るW男級の男が、むっとした表情を浮かべ
ながら立っていました。
  司会者の男が言いました。
「まず最初に、こちらの右端の男性からいきます。この男性を連れてきた女性は
どなたですか?」
 司会者の男はこう言いながら、E男レベルの男を列の一歩前に出させました。
すると、その男のすぐ後ろにいた女がすっと手を上げました。S子レベルの女で
した。司会者の女は、その女にマイクを向けて尋ねました。
「あなたの紙には何と書かれていたのですか? みんなに大きな声で言ってくだ
さい。」
 S子レベルの女が恥ずかしそうに答えました。
「『カラオケがうまそうな男性』です。」
  司会者の女が再び尋ねました。
「『カラオケがうまそうな男性』ですか。でも、どうしてこの男性が、歌がうま
いと思ったのですか?」
「ただ、なんとなく・・・・・・」
 ふざけた女です。「なんとなく」歌がうまいと思われて連れてこられた男はた
まったものではありません。
  司会者の男が言いました。
「そうですか。よくわかりませんが、とりあえず、この男性に歌ってもらいまし
ょう。」
 S子レベルの女に連れてこられた男は驚きと不満の声をあげました。
「えー! それはないよー!」
  司会者の男と女が言いました。
「でも、歌っていただかなければ、この女性が、紙に書かれた条件にピッタリの
男性を連れてきたのかどうか、誰も分かりません。」
「そうですよね、みなさん?」
  誰もうんともすんとも答えませんでした。
  それでも司会者の女は話を続けました。
「これは規則です。」
 E男レベルの男はまだ抵抗して、司会者に聞きました。
「えー! 本当に歌わなくちゃいけないんですか?」
  司会者が答えました。
「はい。本当に歌わなくちゃいけないのです。」
「さあ、何を歌いますか?」
 司会者は、けっこう意地の悪い奴らです。
 E男レベルの男はまだ執ように食い下がりました。
「本当に歌うのですか?」
 司会者の男はにべもなく答えました。
「そうです。本当に歌うのです。」
 E男レベルの男は、とうとう観念したようです。そして、
「マイクありますか?」
と言って司会者にマイクを要求してきました。
  司会者の男は自分のマイクをE男レベルの男に渡しながら言いました。
「あ、とうとうやる気になりましたね。このマイク使ってください。」
  司会者からマイクを受け取ると、その男はこれから歌う歌の曲名を言いました。
「新沼健治の『嫁に来ないか』を歌います。」
 白けきっていた会場からくすくすと笑い声があがりました。
  司会者の女が言いました。
「そうですか。カラオケはありませんが、がんばって歌ってください。それでは、
はい、スタート!」
「よーめにー 来ないかー ぼーくのーところへー」
  会場内が大爆笑に包まれました。
 みんなが大笑いしたのは、ねるとんパーティーで「嫁に来ないか」を歌ったか
らではありません。その男がとんでもない音痴だったからです。
 司会者は、それ以上聞くのが耐えられなかったらしく、歌っている途中でE男
レベルの男からマイクを取り上げて言いました。
「はい、もう結構です。」
「もうみなさん、この男性が、歌がうまいか、うまくないか分かったと思います。」
「それでは、みなさん。この女性が連れてきた男性の歌がうまいと思った方、ど
うぞ拍手をしてください。」
「・・・・・・」
 誰も拍手しませんでした。男の歌がとんでもなく下手なので、みんなが拍手を
しないのは当り前です。でも、この男を「なんとなく」歌がうまいと勝手に思い、
司会者の所に連れてきたS子レベルの女は、彼の歌の上手、下手にかかわらず拍
手をしてあげるべきだと私は思います。
 その女は拍手をしなかったのです。それどころか、誰も拍手をしなかったので
みんなが大爆笑している時、その女は、みんなと一緒になって笑いころげていた
のです。
 とんでもない女です。普通の男なら、このような侮辱を受けたら逆上してその
女を殴り飛ばしてやるのでしょうが、その男は人がいいのか、へらへらと笑って、
ただ恥ずかしがっているだけでした。
 私には到底信じられないことでした。

  司会者の男が言いました。
「それでは次の男性にいきましょう。」
 司会者の男と女は、みんなの笑い者になった男の隣にいたA男のところに来ま
した。
 司会者の女が言いました。
「ハンサムな男性ですね。この方を連れてきた女性はどなたですか?」
「私です。」
 こう言ったのは前のフリータイムでA男とずーと2人きりでいたA子でした。
「あ、あなたですか? あなたの紙には何と書かれていたのですか? 教えてく
ださい。」
 A子は自信満々に答えました。
「『今日のねるとんパーティーで、一番かっこいい男性』です!」
  まったくそのとおりです。何しろ、26人の女の中で、20人くらいの女が
「第1印象カード」で指名したA男なのですから。
  司会者の女が言いました。
「本当にかっこいい男性ですね。」
  A子は逆に質問しました。
「そうですか?」
 A子も相当ふざけた女です。「一番かっこいい男性」として一番人気のA男を
連れてきておいて、司会者の女にかっこいいかどうか問いかけているのです。他
の女達の感情を逆なでしてるとしか思えません。
 司会者の男がみんなに言いました。
「それでは、みなさん。この女性が連れてきた男性が『今日のパーティーで一番
かっこいい男性』だと思う方、どうぞ拍手をしてください。」
「・・・・・・」
 これまた誰も拍手をしませんでした。しかし、ここで誰も拍手をしなかったの
は、先ほどの音痴男の場合と理由がまったく異なります。先ほどの男の場合は、
みんなは本当に歌がうまいと思わなかったから誰も拍手をしなかったのです。し
かし、今回の場合は、ほとんどの女はもちろん、男達ですら、A男が『今日のパ
ーティーで一番かっこいい男性』と思っているはずです。しかし、それにもかか
わらず誰も拍手をしなかったのです。これは明らかに、そのねるとんパーティー
で一番かわいいA子がA男を連れてきたことに対する羨み、あるいは嫉妬です。
 一時期盛り上がりかけた会場内の雰囲気が、再び白けたムードに包まれ始めま
した。
 司会者の男と女が言いました。
「どうしたんですか、みなさん。」
「誰もこの男性が『今日のパーティーで一番かっこいい男性』だと思わないので
すか?」
「そう思った方は拍手してくださいよ。」
「私はそう思いますがね。」
「私もそう思いますよ。」
 司会者の男と女が拍手を始めました。
「パチパチパチ」「パチパチパチ」
 A子も拍手を始めました。
「パチパチパチ」
  他の人は全員、「勝手にやってくれ。」という表情をしていました。

(「掲示板(BBS)最高傑作集55」に続く)







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