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★タイトル (KCF ) 93/ 5/24 21:58 (198)
掲示板(BBS)最高傑作集55
★内容
(「掲示板(BBS)最高傑作集54」からの続き)
司会者の女が言いました。
「拍手していたのはおよそ3人ですね。はっはっは。」
司会者の女は「冗談」を言ったつもりでいるようです。
司会者の男が言いました。
「『およそ』じゃなくて、ピッタリ3人ですよ。はっはっは。」
司会者の男が司会者の女の「冗談」に突っ込みを入れたつもりのようです。
このレベルの低い「冗談」に笑った参加者はもちろんひとりもいませんでした。
司会者の女が言いました。
「そうです、ぴったり3人ですね。それでは次の男性に行きましょう。」
司会者の男と女がB男のところに来て言いました。
「この男性もかっこいい方ですね。どなたがこの男性を連れてきたのですか?」
B子が手を上げました。みんなは、「またかよ。」という呆れた表情をしまし
た。
司会者の女は、そんなことにお構いなくB子に尋ねました。
「あなたの紙には何と書かれていたのですか?」
B子はみんなに申し訳ないという表情をしながら小さな声で、
「『今日のパーティーで一番かっこいい男性』です。」
と答えました。
会場内の雰囲気はすでに白けきっていたので、その時にはさほどの変化はあり
ませんでした。ただ、参加者の中に、司会者にはもう耳を傾けず、一緒に来た友
達とおしゃべりを始める人がちらほらと出始めました。
それでも司会者の男と女は話を続けました。
「あなたの紙も『今日のパーティーで一番かっこいい男性』ですか?」
「なんとなく分かる気がしますね。」
司会者は、まだ懲りずにみんなに向かって言いました。
「それでは、みなさん。この女性が連れてきた男性が『今日のパーティーで一番
かっこいい男性』だと思う人、どうぞ拍手をしてください。」
今度は、B子が1人で拍手をしました。
もうその時には、ほとんどの人は友達同士でおしゃべりを始めており、司会者
の言うことなどまったく聞いていませんでした。
参加者のこの態度には、さすがの司会者もむっとしたのか、大声で叫びました。
「みなさん! 今、みなさんにゲーム大会の優勝者を決めていただいているので
す! 自分達だけでおしゃべりをしていたら、このゲーム大会が非常につまらな
いものになってしまいます!」
このゲーム大会どころか、このねるとんパーティー自体が、ほとんどの人にと
っては既にどうしようもないほどつまらないものになっているというのに、司会
者はよくこんなことを言えたものです。
みんなが相変わらず司会者を無視していると、司会者はついに怒鳴り始めまし
た。
「おしゃべりしないで! こっちを向いてください!」
「お願いします!」
司会者が真剣な声で怒ったため、会場内は一瞬にしてシーンと静まりかえりま
した。
司会者が再び話し始めました。
「みなさん、協力してくれてどうもありがとうございます。それでは審査を続け
ます。」
「今の男性の場合、拍手はおよそひとりでしたね。はっはっは。」
「『およそ』じゃなくて、今のは完全にひとりでしたよ。はっはっは。」
参加者達は司会者を睨みつけていました。
司会者はまだ懲りずに、
「それでは次の人にいきます。」
と言って、今度はC男のところへやって来ました。
「この男性は芸能人に似ていませんか?」
「そうですね。誰かに似ているような気がしますね。誰でしょうかね?」
「分かりませんね。」
司会者の男がC男に尋ねました。
「あなたは、芸能人の誰かに似ていると言われたことがありませんか?」
「ええ、○○××に似ているとよく言われます。」(私は芸能界に疎いので、C
男が似ていると言った芸能人を私はその時知らなかったし、今ではC男が何と言
ったか覚えていない。)
「わっはっはっは! わっはっはっは! 似てる、似てる!」
白けきっていた会場から再び笑いが起こりました。司会者の男女は笑いながら
言いました。
「わっはっは、似てますよ。」
「わっはっは、本当に似てますねえ。」
C男は苦笑いしました。
続いて、司会者の男はC男にも同じ質問をしてきました。
「それで、どなたがこの男性を連れてきたのですか?」
参加者全員の予想通り、さっきのフリータイムの時間中ずーと2人きりでC男
と話をしていた女が名乗りでました。
「私です。」
C男が芸能人に似ているのでちょっとばかし盛り上がった会場が、再び白けた
状態に戻りました。よせばいいのに、司会者の男は、例によってその女に尋ねま
した。
「あなたの紙には何と書かれていたのですか?」
これまた、パーティー会場にいるすべての人々の予想通り、その女は答えまし
た。
「『今日のパーティーで一番かっこいい男性』です。」
会場内からは再び雑談が聞こえ始めました。司会者は、もう駄目だと思ったの
か、それともやっと懲りたのか、今度はみんなにおしゃべりをやめるよう注意し
ませんでした。
C男の審査の時も、結局、拍手をしたのはC男を連れてきた女だけでした。
司会者は、とっととこのゲームを終了したほうがいいと判断したのか、すぐさ
ま最後の男のところへ行きました。
一番左端のこの男は、先ほども申しました通り、他の4人と比較すると、容姿
においては明らかに劣るW男レベルの男です。そんなわけからか、前の4人が司
会者によって紹介されている間、その男はずーと不満そうな表情をしていました。
さすがにこの男を連れてきた女の紙には、「今日のパーティーで一番かっこいい
男性」と書かれていなかったことは誰が考えても確実です。
大部分の参加者は、こんなくだらないゲームは、今すぐ終わったほうがいいと
思っていたのでしょう。W男レベルの男に司会者が話をしている間、みんなは好
き勝手なことをしていて、誰もその男と司会者に注目していませんでした。そん
なわけですので、司会者が、
「誰がこの男性を連れてきたのですか?」
とみんなに尋ねても、名乗り出る女すらいませんでした。
司会者は、一応、その男に申し訳ない思ったのか、何度もマイクで、
「この男性を連れてきた女性の方、こちらへ来てください。」
と叫んでいたのですが、結局誰も現れませんでした。
やがて、司会者は諦めたらしく、こう言いました。
「そろそろ時間もなくなってまいりましたので、ゲーム大会はこの辺で打ち切ら
せていただきます。」
「最後に連れてこられた男性の方、ごめんなさいね。申し訳ないですけど席に戻
ってください。」
W男レベルの男は、顔面を真っ赤にし、全身をわなわなと震わせながら司会者
から離れていきました。その後、その男が戻って行った場所からは、しばらくの
間、「バキ! ボコ! ガチャーン!」という、何かが破壊されているらしき音
が聞こえました。
司会者の男と女が言いました。
「結局、2番目の男性に対する拍手が3名あり、一番多かったということになり
ますので、この男性を連れてきた女性が優勝です。」
「2番目の男性とその方を連れてきた女性の方、どうぞ再びこちらにいらしてく
ださい。」
自分の席に戻っていたA男とA子が司会者のところへ行きました。
司会者がA子に言いました。
「おめでとうございます。」
「感想は?」
A子は他の女に嫉妬されてるのを十分に知っているらしく、今度は彼女達を激
怒させないよう謙虚に答えました。
「優勝できて嬉しいです。」
司会者はA子にプレゼントらしき包みを渡しながら言いました。
「こちらが優勝者へのプレゼントとなります。おめでとうございます。」
A子はそれを受け取りながら言いました。
「ありがとうございます。」
こういう場面では、普通ならば、会場内から自然と拍手が沸き起こるのでしょ
うが、その時には手が叩かれる音などまったく聞こえず、ただ雑談の声(一部は
罵声)が私の耳に入ってくるだけでした。
司会者は、まだみんなの気持ちが分からないのか、参加者達に祝福の拍手を求
めました。
「みなさん、拍手してください。」
「パチパチパチ・・・・・・」
司会者とA男だけが拍手をしていました。
A子とA男は、プレゼントをもらったためか、嬉しそうな表情をしながら自分
達の席に戻って行きました。
司会者は言いました。
「可愛らしい女性でしたね。」
「連れてきた男性とピッタリのカップルになるかもしれませんね。」
司会者は相変わらずみんなの感情を逆なですることばかり言っていました。
「それではみなさん、今から3回目のフリータイムに入ります。先ほども言いま
したが、このフリータイムでは私どもで、みなさんの席を指定させていただきま
す。ある一定時間たったら席替えをしていただきますので、その間、目の前の異
性とじっくり話をしてください。このフリータイムの目的は、言うまでもなく今
まで話すことができなかった異性とも話ができるチャンスが与えられるというも
のです。」
「それではみなさん、スタッフの指示にしたがって着席してください。」
スタッフが数人、参加者の方へやってきました。彼らは、番号札1番から5番
までの男女を一番右のテーブル、6番から10番の男女を右から2番目のテーブ
ル、11番から15番の男女をその隣のテーブルというように順番に参加者を座
らせました。
参加者全員が席についたのを確認すると、司会者がマイクで叫びました。
「それでは3回目のフリータイムに入ります。」
「これが本日のねるとんパーティーでの最後のフリータイムですから、どんどん
おしゃべりしてくださいね。」
「それでは、フリータイム、開始!」
今度は、みんな一斉に目の前の異性と話を始めました。私も一応、みんなと同
じく、目の前に座っている女に話しかけました。しかしながら、その女は私のこ
とが大嫌いという表情が見え見えでしたし、その女はV子レベルでしたので、私
はすぐに話すのをやめました。私の斜め左前に座っているのはC子、その左隣が
D子でしたので、私は黙って席の移動時間が来るのを待つことにしました。
しばらくして司会者がマイクで言いました。
「はい、そこまで。これから男性の方々に席の移動を行っていただきます。男性
の方はスタッフの指示通り席を移動してください。」
「女性の方々は動く必要はありません。移動するのは男性だけです。」
近くにいたスタッフが、私のいるテーブルの男達に言いました。
「男性のみなさんは全員、左隣のテーブルに移動してください。」
私は思わず大声で叫んでしまいました。
「えー! 何だって! 隣のテーブルに移動するのかよ!」
私は、席の移動とは、男がひとりずつ横にずれていくものだとてっきり思って
いたのです。ところが実際は、5人の男が一斉に隣のテーブルに移動するという
ものだったのです。要するに、私にはもう、C子やD子と話す機会はなくなって
しまったのです。
それならばと、私はすぐに左隣のテーブルに行き、そのテーブルにいる女の中
では一番かわいい(ましな)E子の目の前に座ってやりました。ところが、私の
この素早い行動に対して隣の男がクレームをつけてきたのです。
「すみません。ここは私の席です。」
私はすぐにその男に言い返しました。
「同じテーブルの中なら、どこに座ってもかまわないんじゃないですか?」
すると別の男が私に言ってきました。
「でも、一応番号順に座るべきですよ。みんなが自分勝手なところに座ったら、
喧嘩になっちゃいますからね。」
また別の男が私に言いました。
「そうですよ。自分1人がいい思いしようなんて虫がよすぎます。」
さらに別の男が私に言いました。
「そうだよ。あんたは大人げないんだよ!」
私はむかっとして、思わず、
「ふざけた野郎どもめ!」
と怒鳴ってしまいました。しかし、世間の基準からいえば美人でもなんともない
E子の前の席を取り合うなんて、よく考えるとバカげたことです。ですから、私
は黙って素直に順番通りの席に座りました。
私の目の前には、Z子が待ちかまえていました。
その日の私は、本当についていなかったのか、次のテーブルではX子、その次
のテーブルではW子、最後のテーブルではY子の正面に座るはめになったのです。
やがて、このような状態で、悪夢のような3回目のフリータイムが終わりまし
た。
(「掲示板(BBS)最高傑作集56」に続く)