#784/1336 短編
★タイトル (KVM ) 97/ 5/22 23: 6 ( 38)
ヒロシの反抗期 いだこん
★内容
いつの時代でも、若者は決められた枠に押し込まれることが大の苦手である。
「こんな所、出てってやる!」
「何を言うのヒロシ。そう感情的にならないで。お父さんもなにか言って頂戴。」
「あ・・何だなヒロシ。そう聞き分けのないことを言って母さんをあんまり困らせる
んじゃない。おまえもそろそろ分別がついてもいい歳なんだから、自分の立場を考える
ぐらいの事はできるだろう。」
「立場か。大人はいつだって”立場”だとか”常識”だとかいって、おれたちを自分
たちの思うようにしようとするんだ。俺は俺の生きたいように生きていく。だれの指図
も受けない。」
ヒロシは扉を破って大きな音をたてて飛び出していってしまった。
「お父さん、ヒロシをほおっておいていいの?このまま帰ってこないかもしれないわよ
。」
「うむ。追い掛けよう。母さんも来るんだ。」
二人もヒロシの後を追って飛び出していった。
西暦2002年、大国は自国の持つ核兵器の命中率を高める研究を進めていたが、
無機物質に意識を与えるという研究がある大学の研究室で成功し、軍はこれに目を付け
た。研究はまだ実験段階だったが、保有する核兵器の3割に、軍の手によって命が吹き
込まれた。
そして2014年、核兵器が反乱を起こした。3機の核兵器が敵国にむかって発射さ
れた(意識をもった核兵器がその時何を考えていたのかは解っていない)。そしてそれ
が引き金となって、各国の報復システムが発動し、地球は炎に包まれた。人類の歴史は
この日終わった。
お わ り