#785/1336 短編
★タイトル (USM ) 97/ 5/24 6:16 (145)
Eccectric Sight Vol
★内容
「優、ちょっとモデルお願い」
夕食後、優がシャワーを浴びた後で自室でくつろいでると、部屋に入って来た梓
が開口一番そう言い放つ。
(ノックもせずに入って来て、その台詞かい!)と思わないでもなかった優だが、
一回3000円のバイト料はやっぱり魅力だ。なんだかんだ言って、ミリタリー関
連の書物は高価なのだ。収入は少しでも多い方がありがたい。溢れんばかりの可愛
らしさと、整った美しさを併せ持つと言う、少々反則的とも言える美貌の優の顔が
縦に振られるまで、3秒とかからなかった。
……で、何のモデルかと言うと、CG原画。それも、成年向け、いわゆる18禁
と呼ばれる作品だったりする。梓は開発スタッフ兼原画担当なのだが、一からキャ
ラを描き起こすよりも、既存のモデルに手を加えて仕上げてしまおうと言う、先進
的なんだか不精なんだかよくわからない方法を取っている。もっとも、身長が176
センチもあるうえにスタイルの良い優では、すべてのキャラクターのモデルは難しい
ため、梓はあちこちの知り合い「「高校時代の後輩など「「にも、同じことを頼んで
いるらしい。
要は、優にポーズを取らせて、それをパソコンに繋いだカメラで取り込み、セル
画のような加工を施せば、簡単にビジュアルが完成すると言う訳。加工段階でアニ
メキャラのような絵に置き換えられるため、モデルが優だとばれる心配はないのだ
が、スタッフロールに優の名前が載っている(スペシャルサンクスの項だが)ので、
いつ知り合いから話題に出されるかと冷や冷やモノだったりする。
「それにしても、殺風景な部屋よねぇ、何度見ても」
確かに、壁と言う壁に戦艦のポスターが貼ってあり、棚の上には艦船模型や軍事
関連の書籍、アーケードゲーム専門雑誌などが所狭しと並び、部屋の一角を19イ
ンチモニターを備えた大型デスクトップとアーケードゲームのシティ筐体と基盤の
山が占領する光景は、この年頃の女の子の部屋とは思えない。机に至っては、去年
退役した米空母の内装品だったものを、オークションで5万円で競り落としたもの
だ。窓の横の壁には舵輪が立て掛けてあるし、部屋の隅には、ご丁寧にも伝声管の
束まで立っていたりする。
「お姉ちゃんこそ、他人のコト言えるの?」
2階の廊下を歩きながら、優が言い返す。
梓も、部屋の異常さにかけては優とタメを張「「いや、優を遥かに上回る。
この部屋に、異常でないものは果たして存在するのだろうか……?
梓の部屋を見る度に、そう思ってしまう優である。
2階の1/3のスペースを占領するこの部屋は、まさしく異次元と言って差し支
えなさそうな空間と化しているのだ。
10畳以上ある部屋に入ってまず目につくのが、正面の壁際にずらりと並ぶ開発
機器の山。大型ワークステーションに接続したカメラを筆頭に、3台のディスプレ
イや12連装のドライブ、プリンタ、スキャナなどが、落ち着いたクリーム色の壁
をバックに並んでいる。使途不明の器材も一つや二つではない。
その片隅に、トレース台やらエアブラシ用のコンプレッサーやらマーカーの箱や
らカラーインクの瓶やらロットリングやらがごろごろしている机。同人関係の人間
が見たら、あまりの設備の良さに涎を垂らしそうな場所だ。
反対側の壁いっぱいに広がる巨大なクローゼットの中身は、普通の女の子であれ
ば服が入ってそうなものだが(誤解を防ぐため言っておくが、梓のにも一応服は入
ってる。まともなのとそうでないの「「ボンテージっぽいのや、コスプレ衣装など
「「と両方だが)、この中身の半分以上は、怪しげな改造マシンの部品の山。パソ
コンとは関係ない(梓が作ってるゲームの内容とは関係あるかもしれない)機械
(器具?)まで入ってる辺りが何ともはや。
フローリングの部屋の床は、一応毎日のように掃除機が掛けられているため、埃
などは殆ど落ちていない。だが、それでも部屋が散らかって見えるのは、本棚から
溢れだして床じゅうに平積みされている18禁パソゲー専門誌や、成年コミック誌
(同人誌を含む)のせいだろう。まったく、実の姉ながらこの人の趣味はわからん、
と思う優だった。
「そいじゃ、まずこっちに着替えて……」
「みゃ★ またずいぶんと……」
梓が取り出して来たのは、かなり露出度が高い上に、やたらと素材の布地が薄い
下着。ちょっと優の顔が赤らむ。白いのがせめてもの救いか。黒なんかだったら、
例えキャプチャーモデルだとしても相当な勇気がいる。それにしても、この人は一
体どこからこんなモノを仕入れて来るんだろう。いつの間にサイズまで……
彼女に促されるままに服を脱ぎながら、そんなことを考えている優。素直に脱い
でしまうあたり、我ながら人がいいなぁ。
「しっかし色気のない下着着けてるのねぇ」
からかうように梓が言う。
そうかな、と暫し自分の姿を見つめる優。青と白のストライプが入ってるチュー
ブトップなんか、結構色気あるんじゃないかな〜とか思ってたりする。まぁ、梓が
着けてるのに比べれば、確かに色気の点では劣るんだが。それにしても、Tシャツ
やカットジーンズとああ言う下着の組み合わせって、なんか似合わないと思う。
「そうそう、この前みたいに変なトコ揉んだり舐めたりしないでよ」
「な〜んだ、つまんないの〜」
「(ホントに考えてるとは……)ああいうのちょっと苦手なんだよね」
「何で? 気持ちいいでしょ。可愛かったわよぉ、あの時の優の甘い声★」
「……そりゃど〜も」
思い出したのか、耳の先まで真っ赤になる。
「それに、生物学的には全然セーフじゃない。別に子供が出来るワケでなし」
「そういう問題なの?」
「少なくともあたしはそう思ってるわよ。男女でやるよりよっぽど安全でしょ?」
「変なの……」
天然ボケなのか大真面目なのかわからない。こりゃ反省しとらんな、と思う優。
一応警戒はしておいた方がいいだろう。
そうこうするうちに、着替え完了。しかし肝心な所が相当な割合で透けてるぞ、
この下着(笑)
「うん、艶っぽくなったじゃない」
と言いつつ……ぷに★
「みゃんっ★!?」
慌てて、胸から梓の手を払う。
「い、言ってるそばからっ」
「いや……ついムラムラと……」
「もぉっ……」
「それじゃ、この上に座ってね」
そう言われて、部屋のベッドの上にぺたんと腰を下ろす優。梓は、キャプチャー
カメラのトレーサーを頭にかぶっている。なんか、昔の某アニメに登場したスカウ
ターみたいだ。
「このクッションを背中の後ろに持って来て……で、これに寄っ掛かる感じでこう
上体を後ろに倒して、後ろに手をついて躰を支える……そうそう、膝は軽く曲げと
いてね」
「ふみふみ……」
一抱えくらいあるクッションに、背中を預けるような姿勢になる。傍から見ると、
かなり妖しいポーズなんだろうなぁ。
「で、まず1枚ね」
カメラが作動したらしく、ワークステーションに接続された256ギガのハード
ディスクが、カタっと音を立てる。
「次にこうして……っと★」
ベッドに上り、前に廻りこんで来る梓。屈みこんでショーツの前の縁に指を掛け、
足下に向かって引っ張る。
「んじゃ、2枚目撮るよ〜★」
はっきりと顔を赤らめる優。自分で見ても、これは結構恥ずかしいものがある。
……と??
「ひゃうっ★」
下半身に走る舌の感触に、びくんと身を固くする優。
「もうっ、だめだっていったでしょぉ」
「だってぇ……目の前にあるのにあんまり無防備なんだもん〜」
だからってねぇ……全くこの姉ちゃんは……
「でも、おかげでいいのが撮れるわ」
「みゅー……(なんと言えばいいのやら)」
梓は、ぎゅっと優を抱きしめ、背中に手を回してブラを取り去った。露になった
胸の先を舌先で転がしながら、優の腰を浮かせて、ショーツを引き下ろして行く。
今まで薄い布地に覆われていた部分を、指先が優しくなぞる。今度は優も、抵抗す
ることもなく、されるがままになっている。息遣いがどんどん荒くなって行くのが、
自分でも感じられた。
(嫌だって言ったのに……抵抗できない……)
抵抗を諦めた優の口から、切なげな声が漏れ始める。
その間にも、梓は何枚か撮影しているらしく、ワークステーションのハードディ
スクが、ひっきりなしにアクセス音を立てていた。
「お疲れさま〜。可愛かったよ★」
全部の撮影が終わった後で、梓が、可愛くてしょうがないといった調子で言う。
「みぅ……疲れた……」
服を着ながら、今度からバイト代上げてもらおうと心に決める優。とてもじゃな
いが、この姉相手で3000円は安すぎる。
「あ〜あ、びしょびしょだぁ……もう一度シャワー浴びなきゃ」
撮影時のスポットライトの熱気や、梓が加えてくる刺激のせいで、身体中が熱く
火照っていた。それに、太股の内側がぬるぬるして、ちょっと気持ち悪い。不思議
と不快感はなかったが。
それにしても、お姉ちゃんって無事に結婚出来るのかな……? などと、思わず
心配してしまう優だった……。
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