#522/1336 短編
★タイトル (DXM ) 95/10/24 23: 4 ( 53)
とある自称”勇者”の話・・・ 宅急便
★内容
ここは、不思議な世界・・・・
ぱらぱらわーるどと呼ばれている世界・・・
そこには、魔法もあれば、科学もあり、超能力も存在しておったとさ
そんな世界でも、やっぱり勇者と呼ばれている存在は有った。
ただ、それは”勇者”と、死んだ後になって呼ばれるか、自称”勇者”かの
どちらかであった。
今回は後者の方である。
さて、どうしてそういう輩がいたのか、またなぜ自称”勇者”になったのか
それは、今語られることはあるまい・・・・
「勇者か・・・いい響きだ・・・」
そう言っているのは、外見がまだ若い瞳を輝かせた少年であった。
「あちきも絶対勇者になるんだっ」
勢い込んで言っている割りには、どう見ても疲れ果てた親父の雰囲気が
漂っている。
しかし、その瞳は真っすぐに遠くを見つめていた。
いったいどこを見ていたのか・・・・
ふいに少年は駆けていった。
少年が丘を駆け下るその姿は、ロバのようだった。
ふいにその時、少年は目の前にいる人物に正面からぶつかった。
「ん?だいじょうぶか?」
その人物は、少年の方を見て声を掛けてやった。
しかし・・・・・・
少年は夢を見ていた。
船に乗ってどこまでも進んでゆく。
ふいに、津波が襲ってくる、しかし少年は船の帆柱に縛られていた。
「誰か助けてー」
返事はない、それどころか、荒波が返事をするように急激に少年のいる船を吹き飛ば
そうとしているようであった。
そのうち、船は無常にも大破し、少年は波に飲まれてしまった。
「・・・・・ん?」
少年が体を起こすと、
「気分はどうだ?」
見知らぬ人物が声を掛けてきた。
いや、少年はかすかに思い出していた。
「うん、だいぶ良くなったよ」
「それは良かった」
「ところでおじさんはどうしてここにいるの?」
「私は旅の途中でこの土地が懐かしくなって帰ってきたんだよ」
「ふうーん」
少年は、その人物を見つめながら、「かっこいなっ」と思っていた。
「おじさんは、勇者なの?」
「ん?俺か・・・・そうだな、昔は勇者に憧れていたけどな、今はもう
勇者でも何でもないな」
「そうかー・・・」
「どうした坊主?」
「いや・・・・なんでもないよ」
「そーか」
少年は思った。
こんなおやじにはならないぞ、と・・・・・・