#523/1336 短編
★タイトル (XVB ) 95/10/30 20: 6 ( 35)
王子の物語 $フィン
★内容
その国では戦争を行っていた。美しいお城の中には、幼い頃父上と母上を亡くされ
た王子が一人、あとは家来がたくさん。
「王子さま、戦争をおやめになってください」ある日、オレンジ作りの名人が、王
子の元にやってきた。
「くびをちょんぎれい」王子はよく熟れたオレンジを食べながらそうつぶやいた。
「ははぁ」家来はそういうと回れ右をして、名人を引き立てて広間から出て行った。
どこからか悲鳴が聞こえてきたような気がしたが、王子には関係のないことだった。
オレンジを食べ終わったとき王子は、「これはうまかった。また食べたいな」とつ
ぶやいた。
しかし、その後王子はうまいオレンジを食べることができなかった。なぜなら、オ
レンジを作ったものは、処刑されていたのである。
「王子さま、戦争をおやめになってください」ある日、父王の代から使えていた大
臣が涙ながらに訴えた。
「くびをちょんぎれい」王子は実直そうな大臣を前にしてそうつぶやいた。
「ははぁ」家臣はそういうと回れ右をして、大臣を引き立てて広間から出ていった。
どこからか悲鳴が聞こえてきたような気がしたが、王子には関係のないことだった。
昔を懐かしむ王子は、「大臣をよべい。亡き父上母上のことが聞きたいな」とつぶや
した。
しかし、その後王子は父上のことも母上のことも聞くことができなかった。なぜな
ら、昔のことを知っているものは、処刑されていたのである。
「王子さま、戦争をおやめになってください」ある夜、王子が寝ていると何者がか
やってきた。
「くびをちょんぎれい」王子はベットの中でそうつぶやいた。
「ははぁ」何者かがそういうと回れ右して、寝室の鏡の中に入っていった。
いたるところから悲鳴が聞こえたような気がしたが、王子には関係のないことだっ
た。
翌朝、鏡を見た王子は「これはなんと我が写っていないではないか」とつぶやいた。
その後王子は生きていくことができなかった。なぜなら、王子の国が負けて、みんな
処刑されたのである。
$フィン