AWC 細波                    聖 紫


        
#509/1336 短編
★タイトル (ALN     )  95/ 9/17  14:52  ( 48)
細波                    聖 紫
★内容

    細波

    君のやわらかい肌を抱く様に… 優しく射し来る初秋の緩陽は
    激しく燃えた後の悲しい恋の色に似て褪せて行く程に鮮やかに
    暮れゆく先にも熱き血潮の紅の帯雲、染まりし空の裾に月の影
    想えば幻も揺れ惑う… 夜風に細波立つ心は君へと旅をする。

    走らす筆にさえ言葉の苛立ち覚え… 何時か君を愛したと云う
    ただそれだけの事さえ流れて消えゆく… 川面を滑る波に似て
    僅かにさんざめく想い… 碧月蒼夜を忍び行きて音も無く響き
    もう一度君に何時か巡り逢わぬ為にも堪えて別れは告げまい。


    パステルな秋

    風はフラットパステル 移ろい行く街はセピアカラーに染まり
    優しい色探して来ては 夏色のキャンパスを塗り替える君は秋
    二人の為クラッシック 色に変えて山はパステルオーケストラ
    心の寂しさも君の為に 此処に僕が居ることを気付かせたくて
    風はフラットパステル 枯葉達の舞踏会が始まる森へ急ごうよ


    恋心

    涙が落ちて仕舞う前に誰か教えてくれますか
    恋は悲しいものだよと君だけ泣く事は無いと
    声を殺しても涙は殺せない誰か私を笑わせて

    何か悪いことでも望んだ後の罪の痛さの様に
    恋は独りで切なさにじっと耐えるものですか
    夜明前には忘れて仕舞と誰か笑って教えてよ

    幾つも無くしたピースに気付かず迷い続ける
    ジグソウパズルの様にどうにもならないよと
    そんなものだよと誰か気休めに諦めさせてよ


    嫉粛

    堅い櫛の指先の痛みの弾けた音の響きに堪えた涙が頬を伝う事も無く落ちて
    とかした髪の永さの行く末の細き終わりの先まで望めばあなたは何処と尋ね
    羽織衣の薄さの凍えに震える肩を滑り落ちて絹の風斬る音さえ心を揺さぶる
    抱かれて眠りたい夢の続きが心を鬼にする翔闇に引き込まれ何処迄も堕行き
    寝顔に薄化粧の薫り冷め行く躯をあざ笑う様に闇に月が浮かぶ灯に鬼が舞う


                                   聖 紫




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