AWC 浅秋                    聖 紫


        
#505/1336 短編
★タイトル (ALN     )  95/ 9/14  23:23  ( 30)
浅秋                    聖 紫
★内容

    黄熟の蜜き芳香の枸橘よ
    憧れに手を差し伸べれば
    緑き棘の痛みすら思わず
    ただ秋の日の小道に漂う


    虫の音を枕に落ち行く夢の淵 深くも在り… 浅くも在り
    津々と更けゆく闇を身に纏い 暖かくも在り 寒くも在り


    あれは竜胆の紫… 夏なら桔梗… 日暮れて風は冷たく…
    知って居たよね君なら… 離れ離れで同じ年を数えたこと
    出逢わなければ良かった… そんな風にも思いたくないし

    白い花には秋雨… あの日は夏… 夕立に消された蝉の声
    気付いて居たよね君は… 季節は直ぐ変わって仕舞う事を
    だからそんな風に切り出した… まるで昨日の別れ話の様

    僕は手のひらに… 乗せた海風… そっとポケットに仕舞
    君は背中を向けたまま… それじゃあまたねと呟いたけど
    さようならでも良いじゃないかと… 僕は君を抱きしめた

    長い季節だろうか… 秋が始まるね… 寂しくは無いよね
    僕達は初めから… 出逢う事など無い季節の中を行く旅人
    吹き抜けた色のない風の様に… 流れて消えた星の様に…



                           聖 紫




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