#456/1336 短編
★タイトル (ALN ) 95/ 5/11 19:24 (100)
距 聖 紫
★内容
距
夕暮れを待つときめきを何時かせつなさに変えて夜が遠ざかる
貴方の華やかさに似て… さようならの言葉の変わりに教えて
それは永遠の別離れですかそれとも、束の間の寂しさですか…
貴方たは瞳を伏せ探せ在りもしない答え見つける気もないくせ
悲しそうに微笑んでみせるそれで言い訳に代えるつもりなのね
言葉に成らないのは優しさですかそれとも永遠の諦めですか…
不等辺に支えられた歪みが恰も永遠の荷重で在るかのような夜
心のベクトルは総てを分散し合力の撓みに限界を目指しながら
無意識を底に反力を分散する… せめてもの救いは極限を意識
する断面の蟠りが貴女の許容範囲内に留まり… 心の吊り糸は
その悲しみを伝える事も無く断ち切られる事を止めたその一瞬
激しい恋心は弾性係数をEからGへとすり替える… 墜ち行く
朝の白い微粒子の数にも似た悲しみですら同じ数の涙にさえも
成らない事を知りながら… それでも私は貴女のために嘆こう
言い訳はπrθの解より容易に心を満たす… ただ、それは…
θ゜=π(θ゜/180)で在る事に気づかないで居る時の様な
ささやかな重大ミスに酷似していて… 言葉には変わらない。
まるで夜の夕暮れの様な朝が貴女を無防備に輝かせた時を幾つ
数えたと云えば納得できるのか… 微笑みの数だけ接吻を数え
涙の数だけ包容を繰り返し… 寂しさの変わりに肌の温もりを
確かめ在った事など… 唯々、夜明け前の夢に過ぎなかった…
そう真実は何時でも朝の光にかき消され… 真夜中の闇に漂う
留恋
春には春の花に恋をして 夏には夏の微風に憧れて
秋には秋の花に恋をして 冬には冬の彩に恋憧れる
お前を季節にたとえても 巡らぬ愛立ち止まらぬ時
抱き寄せられない温もり もう忘れて仕舞いたいよ
春には春の花に恋をして 夏には夏の微風に憧れて
秋には秋の花に恋をして 冬には冬の彩に恋憧れる
お前を遠く思って居ても 届かぬ想い燃え上がらず
激しいだけの悲しみなど もう捨てて仕舞いたいよ
伝水
蝉の羽音に渡る風
せせらぎを行き過ぎる
糸の茎に伝水
儚い想いを乗せて走る
貴方の思い出を拠り所に
過去へと辿り着けますか
光りの網にもがく草花
緑に萌えて尽きるまで
水の影に浮かぶ魚
流れに呑まれて消える迄
貴方の側まで流れたい
其処に明日が在るのなら
貴方の思い出を拠り所に
過去へと伝って行きましょう
闇の中で影になって黒いお前が行く… うねりに隠れて淀まぬ
波に落とした気配を辿って… 夜の底を悲しみが満たして行く
お前は心の船を宙に浮かべて遠く遥かな時空の夢路を漂う旅人
愛の背中で戯れに抱きしめれば恋の胸を借りて涙の雫がつたう
叫びの波紋に乗せた木霊が激しく燃えて静かにとけて消え行く
お前の影は永く過去へ続く秘密の扉を叩きながら明日へと旅立
花簪
偽りの虜に憧れぬ様にひとときの戯れに弄ばれぬ様にあなたは
汚れを知らぬあどけなさで重ねた罪の上に揺れる美しい蜃気楼
魅惑の指先は冷たいほど白くて僅かな風にも揺れる長い黒髪は
心に邪な細波を召喚起しむせぶ様な芳香に抱かれて接吻を待つ
濁りの無い聖光の様な聖闇に包まれて愛しい雫の輝き伝う様に
視線で撫ぞれば静かに瞳を伏せて心を放ち躯を開いて魔惑わす
愛に怯える事に魅入られぬ様に処女より大胆に愛を求めぬ様に
悪魔を虜にした天使の様に天に堕る清らかな魔物の叫びに似て
流れ行く時の船に揺られて思い出の岸辺を遠く離れ去る恋人よ
激しくて儚く切ない恋人よあなたに贈ろうか散り行く桜の花簪
聖 紫