AWC 静かな午前中に    κει


        
#60/1336 短編
★タイトル (WJM     )  93/ 6/12  12:54  ( 65)
静かな午前中に    κει
★内容



額と額がくっつくほどの距離で、彼女の綺麗な二重瞼が僕を見つめている。その瞳
の中にも、僕の目がある。
僕は少し歯を食いしばる。彼女も歯を食いしばってる。お互い真剣に、目と目を見
つめ合ってる。

「どう?」
僕は彼女に尋ねた。
「んーまだみたい」彼女が応える。「あなたは?」
「まだみたい」僕。

彼女の額の感触を自分の額に感じながら、僕は一生懸命、頭の中を無にしようとし
てる。
2分くらい経つと退屈になってきて、僕は少し額をずらして、彼女の鼻をチロッと
すばやくなめた。

「きゃっ」驚いた彼女が頬を膨らませる。「ごめん」僕。
「気持ち悪いことしないでください」
「すみません」

彼女の部屋には時計が二つあるって、その二つが互いにずれながら、カチカチとなっ
ている。
お互い、両手を組んで相手の首にからませているから、彼女の腕時計の針の音さえ聞
こえそうだ。
僕はあぐらをかいている。彼女は正座している。

何も頭に浮かばないから、僕はやはり退屈だった。彼女の瞳を、見つめながら僕は腹
が減ってきたなァ、とか考えたりしてる。
我に帰り、意識を彼女に注ぐ。
彼女は、どきりとするほど、真剣に僕をみつめていて、さすがに軽い照れを感じる。
いったい、僕の目をみて、どんな事を考えているんだろうと、考えて少し不安になり
少し嬉しくなる。

「どう?」僕。「もうちょっと」彼女。「もうちょっとって?」僕。
「んー、やっぱりまだかな、よく分からないの」
「無理なんじゃない?」僕。
「そんなこといわないで。ところであなた全然違う事考えてません?」
「あたり」
「もォ、だからよ。ちゃんとしてくださいってば」
「はァい」

僕はしばらく、頭を無にするべく、神経を集中する。
でももともとやる気のない僕には、相変わらず雑念が入ってきて、次は額を離して、
彼女の柔らかい唇に一瞬のキスをした。

「ちょっとォ」はにかんだ笑いを浮かべる彼女。
「ごめん、真剣にする」

すごく幸せそうな表情になっている彼女の瞳をふとみて、僕の頭に彼女の気持ちが洪
水のように押し寄せてきた。僕は平安と、最高の幸せに紅潮しながら、

「あ、きたぞ」と笑う。彼女もさらに幸せそうな声で「わたしも」と微笑んだ。



以心伝心の成功。





                   Keiichiro ☆彡





前のメッセージ 次のメッセージ 
「短編」一覧 けいの作品
修正・削除する         


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE