#3055/5495 長編
★タイトル (NKG ) 95/ 4/30 22: 6 ( 90)
バイバイ〜世代(4/4) らいと・ひる
★内容
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【Next Generation - April -】
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00 NOBODY
まだ、春と呼ぶにはまだ心細い気温の中、別れを告げる友のもとへと集まる仲間た
ち。
楢崎美鈴、朝倉杏子、三浦有魅、そしてその友に送られる坂上紀子。
「ノンコ。落ちついたら手紙だすね」
美鈴の元気な声、それとは対照的な涙目。常に自分に正直に生きる分、複雑な感情
の波は時に表情にも矛盾を起こすのだろう。
「夏休みになったらみんなで遊びに行くからさ」
有魅もまた少し泣き顔である。四人の中では一番しっかりしていて、大人びていな
がらも感受性だけはまだ子供のまま。だが、人一倍成長したがっている彼女。
「元気でね」
たった一言の中に最上級の優しさを込めながら、笑顔で紀子の顔を見る杏子。
言葉にすればたった一言の笑顔の中にも、百通り以上の感情の色が隠されている。
どんなに悲しいときも笑顔を絶やさない彼女は、相手の心に少なからず安堵感を与
える。どんな作り笑いでも、彼女はいつの間にかそれを本当の笑顔に変えてしまう。
強い憧れが、一つの想いまでも凝縮させる。強さは力ではなく、優しさだというこ
とを信じさせてくれるような微笑み。
「みんなのことは絶対忘れないから……」
紀子の、かみしめるかのような一言。大事なものは大切にしなければならないのだ
と、幼い頃から本能的に悟っていた彼女。
芯の強さは、四人の中で一番だろう。
「うん、わかってる。元気でね」
即座に答える杏子。やはり紀子と一番付き合いの長い友であるからであろう。しっ
かりと彼女の言葉を受けとめる。
「じゃあ、ほんとに元気でね。ばいばい」
有魅の涙まじりの声が美鈴の悲しみを素直に引き出させる。
「ユミ、『ばいばい』なんて……子供じゃないんだから」
美鈴らしい一言。きっとそれには、別れを惜しむ気持ちが目一杯、込められている
のかもしれない。
「ミリィ、『ばいばい』でいいよぉ。いつものようにお別れしよ」
紀子の素朴な感情。
「そうだね。下手に意識しないほうがいいかもね」
「そうよ。放課後、みんながそれぞれ帰るときみたいにさ」
それぞれの心の中に輝き続ける一つの時代。そして、永遠に失わないという約束を
込めて想いが凝縮する。
「ばいばい、みんな」
杏子ゆずりの、素直な笑顔を向ける紀子。
『ばいばい』
そして、美鈴、杏子、有魅の純粋な声が駅のホームにこだまする。
今、一つの世代の仲間たちに別れを告げる四人の少女たち。
そして時は、新たな世代を育て始める。
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【Next Age - May -】
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00 ADD A POSTSCRIPT [MIRIN] LETTER
前略。
ノンコ、元気でやってる?
そっちの生活には慣れたかな?
ノンコがいなくなって、もう1カ月も経つんだよね。入学してからずいぶんと忙し
い毎日を過ごさねばならなくて、ノンコからもらった返事も今頃書いているタイマン
なあたしです。そうそう、あたしなんかよりユミやアンコの方が大変なんだな、これ
が。城高に比べたらぜんぜん厳しくて、かなり余裕がないみたい。それでも自分で決
めたことだからって、がんばってるよ。
こないだやっとこさ3人の都合があってお茶したんだけど、二人ともへばってた。
ユミなんかグチばっかでさ、、でも、久しぶりにみんなに会えてうれしかったみた
い。
アンコは、あの特上スマイルに一段と研きがかかったみたい。本人は否定してたけ
ど、恋してるんじゃないかな?これはあたしのカンなんだけど。
まあ、お楽しみは今度合うときまでとっときましょう。
でもって、あたくし楢崎美鈴は憧れの綴さんと同じ学校へと通えて幸せな毎日を過
ごせる、と思ったのだが世の中そう甘くはない。初日からトラブル続きで、綴さんと
ゆっくり逢う暇もありゃしない。書けば長くなりそうなこの話、会った時にたっぷり
話してあげる。
じゃあね、夏休みにみんなでそっちに行くから楽しみに待っててね。
あなたの美鈴ちゃんより
END