#2739/5495 長編
★タイトル (XVB ) 94/ 8/ 6 14:51 (200)
総盆踊りの話(4) $フィン
★内容
「しんか? ですか」聞いたこともない言葉を耳にして不思議な顔をする元少年剣士
。 「そうです。進化というのは南蛮渡来の学問なのですが、まだあなたには理解でき
な
いところがあるかもしれません。わたしが思うのにはあの『秘技股間踊り』の途中、体
内で細胞が科学反応を起こして『DNA』の螺旋が崩れたからでしょう」
「僕がしんかしたのですか、どうしてそんなことがわかるのです。それが僕たちが別
れなければいけないのです。僕はこんなにあなたのことを愛しているのに・・・どんな
関係があるというのですか」元少年剣士は言いました。
「わたしたちが美しくなったのも身体が美しくなる進化が『DNA』の中に残ってい
たからそうなったのです。それにあなたが進化した証拠に・・・瞳の色をよくみてごら
んなさい」
「えっぼくの瞳ですか」元少年剣士は手に持っていたみらあで自分の顔をじっくり見
ました。
「夏の青葉のような美しい瞳ですね」自分の顔を見てうっとりと長い間見つめている
元少年剣士。
「あなたは覚えていないかもしれませんが、ここお江戸の民は皆黒い瞳なのです」
「知らなかった・・・。では、僕はもうお江戸の民ではないということですか」がっ
くりと膝をつきます。
「そうです。わたしもあなたが『秘技股間踊り』の第一章だけでここまで進化すると
は思いませんでした。いいですか、あなたはここから出てわたしの前から姿を消した方
が幸せになれる」浪人は恋する元少年剣士を前に残酷ともいえる発言をしています。
「僕がどうしてあなたの前から姿を消さなければならないのですっ」元少年剣士は理
不尽な浪人に向かって言った。
「あなたはこれ以上進化するともうお江戸の町で普通の剣士ができなくなるかもしれ
ないのです。刀に血を染めて、その快感も味あうこともできなくなるのですよ」浪人は
長いため息をだし続けていました。
「それでもいいです。僕があなたと一緒になれるのなら血だ、血だ、けーけっけっけ
っと言えなくなっても、普通の剣士でなくなってもかまいませんっ」
「そうですか、本当のことを言うとあなたが傷つくと思って黙っていたのですが、あ
なたの記憶が失っているのも急激な進化で『DNA』が耐えきれなくなったからなので
す。これ以上『秘技股間踊り』をするとあなたの『DNA』耐えきれず死んでしまうか
もしれません。あなたが死んでいくのは耐えきれないのですっ」浪人赤壁左門上之介は
絶叫しました。
「ぼくはどうすればいいのです。このお江戸で普通の剣士ができない。しんかを続け
るとでいえぬえーが耐えられなくて死んでしまう。死んでもいいと言っているのに・・
・ここから去れというのはあなたの勝手じゃないのですか」元少年剣士は浪人に負けず
と反論しました。
「だから言っているじゃないですか。このままあなたはこの部屋から出たらこの進化
がとまり、うまくいくとその青い瞳も黒く変わる可能性もあると」
「瞳の色が黒くなって、お江戸の普通の剣士ができても、あなたのいない暮らしなん
てぼくには耐えきれない。ぼくは・・・ぼくはあなたと離れるぐらいならこのまま死ん
だ方がいい」二人の体液を受けて銀色に輝く名刀『総盆踊り』を握って自分の喉元にお
きました。
「あなたは・・・」浪人赤壁左門上之介は慌てて名刀『総盆踊り』を取り上げようと
しました。
「近寄らないでください。ぼくは元剣士です。自分の首を掻き切るぐらい簡単にでき
ますよ」元少年剣士の首に赤い線が引かれる。
「わたしを脅迫する気ですか」浪人はじりじりと近きます。
そうはさせるかと元少年剣士は一歩また一歩浪人から離れました。
「あなたがぼくと一緒にいるというのなら、この名刀『総盆踊り』は捨てます」にっ
こり笑う元少年剣士。
「負けました・・・この部屋からでなくてもいいです」浪人はため息をつき元少年剣
士を見て笑いかけました。
「ぼくはあなたのそばにいてもいいのですね」
「ええ・・・どうやらわたしも『秘技股間踊り』の影響であなたを愛してしまったら
しい。あなたの死体を目の前にして通常の進化ができそうにない」浪人は元少年剣士に
愛の告白をしました。
「じゃもうぼくたちは相思相愛の仲だったのですね」
「そのようです」
「嬉しい」子犬のように浪人の胸に飛び込んでいました。
「おいっ」
「うふふふふ。赤壁さんの臭いがする」胸の中で頬をすりすりしながら鼻をくんくん
いわせています。
「それより、顔をこちらに向いてください」
「ん?」元少年剣士は浪人赤壁左門上之介に顔を向けました。
ぺろーん、浪人赤壁左門上之介は名刀『総盆踊り』で傷つき、今なお血がぽたぽたと
落ち続けている元少年剣士の喉元をなめました。
そのとたん、首からの出血はとまり、見る間に傷口は塞がりました。
「うん。これでいいでしょう」元少年剣士の強力な自己修復代謝と浪人赤壁左門上之
介の唾液に含まれるさらに強力な修復代謝との相乗効果で、首元の傷が塞がったのでし
た。
「本当にこのまま進化を続けてもいいのですね」耳元で優しく息を吹き掛けて、元少
年剣士に再度確認しました。
「本当にいいのです。刀に血で濡らす快感が味わえなくても、あなたと一緒ならいつ
までもどこまでもどんなことでも耐えていきます」
「そうか・・・、それじゃいきます。気を送りますからわたしから離れないように注
意してください」腰をかがめ逸物を少年の中に差し込みました。
「あうっ」元少年剣士の顔が歪み、叫び声を出します。
「・・・始めてだったのですか」
「だ・・だいじょうぶです。あなたといっしょならどんなことでも耐えていきます」
歯を食いしばり激痛を耐えている姿は、なまじ顔が美しすぎるだけに悲痛なものが感じ
られました。
「やはり、無理かもしれません。抜きましょうか」
「大丈夫です。ぼくはもう泣き言はいいません。このまま続けてください」
「そうですか、では」浪人は元少年剣士のようすを見ながら注意深く奥に押し込みま
す。
「く・・・」
「踊れますか」
「は・・・はい」
「それじゃいきます。初めはゆうるりいきますから、耐えきれなくなったらわたしに
すぐにいうのですよ」
それからのことは阿鼻叫喚の嵐でございました。
普通の『秘技股間踊り』でさえ成功が難しく、あるものは女性化現象を起こし、ある
ものは黄泉の国に突き進むというものを、この二人はこともあろうに二つの身体を一体
にして踊ろうとしているのでございます。
『秘技股間踊り』の最中、浪人赤壁左門上之介が離れそうになり逸物をより深く押し
込めますと元少年剣士の顔が歪みます。そのたびに浪人は元少年剣士の耳元で優しく大
丈夫かと声をかけます。
元少年剣士は浪人のものが入ってあの部分が痛いはずなのに、緩めるようにとか離せ
などの泣き言は一切いわず、それどころがもっと奥まで入れ込むように申し出る始末で
ございました。
このようなことから元少年剣士は記憶を失う前は純で依怙地で人を愛し尽くす性格な
のでしょう。こういう恋人を持つと楽しいときは楽しいでしょうが、別れ話のときは大
変揉めるものでございます。
「ううううううう」元少年剣士の口から長い喘ぎ声が聞こえています。太陽が昇り、
太陽が沈み、また太陽が昇る・・・二人が一体になってから太陽が七回沈み、太陽が八
回昇りました。
そして八日目の朝、異変が起こりました。
がやがやがやがや、戸の向こうで何ものかの気配がしています。猫ではないようです
。ねずみでもありません。もちろんこきぶりはそんな音はたてません。
「ここかっ。ここなんだな」
「はいっ。うちのばあさんが見たと言ってました」
「おまえのところのばあさん、確か色情因縁に取り付かれていたな」
「はいっ。うちのばあさんが隣のおじさんとしけこむときに見たと言っていました」
「うーむ、おまえのとこのばあさんはご飯を忘れることはあっても、やりがいのある
男を見る目だけは確かだからな、それなら間違いはないだろう」
「かわいい仲間が極悪人に監禁されているのだ。みんな仲間だ。一斉に入るぞっ」
「はいっ」何十人もの声が聞こえた。
人語を発するところを見るとどうやら人間のようでした。
ばんっ、戸が開きました。
やはり入ってきたのは人間でした。彼らは腰に刀を持ち、若々しい男たちで、姿形を
見ると元少年剣士の元お友達のパフォーマンス新番組御一行様のようです。
「ああっ、これは、なんということだ」
「きゃあ裸だわっ」
「おまえたちっ離れろ」
「そんなこと言わずにもっとやって」
「きゃきゃきゃ」
「濡れちゃう」
パフォーマンス新番組御一行様が騒ぎ立てている騒動とは裏腹に、あれから太陽が七
回沈み、八回目の太陽が昇るまで一睡も眠らず、一口も食べず、精も根も無くなってい
るはずなのに、二人の頭の中はただただ踊る、踊る、踊る、離れずに踊る。どこまでが
自分の身体でどこまでが他人の身体かわからない、まさしく二心一体の境地に達してい
ました。
恍惚の表情で踊っていた元少年剣士の目が開きました。
「どうした。まだ痛いのですか」元少年剣士を先導し続けていた浪人が聞きます。
「ううん。最初は痛かったけど今はどうなっているのかわからない。それより・・・
」元少年剣士はまわりでわいわい言っているパフォーマンス新番組御一行様を見ました
。
「あれは誰なのです」横で騒いでいる御一行様に顎でしめします。
「変に動くと抜けますよ・・・彼らはあなたのお友達だったのじゃないですか」浪人
赤壁左門上之介は意味ありげな含み笑いをしました。
「そうだ。ぼくたちは君の友達だ。何の役にもたっていない浪人から離れろっ」
「それよりぼくとやろう」
「いんや、ぼくの方が上手だよ」
「いやいや、前からやろうと思っていたからぼくのものだ」
「あーひどい。最初にやろうと思ってたのに」
きゃきゃきゃきゃきゃ叫びわめく、パフォーマンス新番組御一行様。
「知りませんね。ぼくの知っているのは愛しいあなただけです」元少年剣士は青い瞳
の恋人を見ました。
「そんなあ・・・」
「ひどい。こんなに好きだったのに」
「そうよ。そうよ。あなたが大人になるまでぼくは待っているつもりだったのに」
「みんなでやれば怖くない」
きゃきゃきゃきゃきゃ叫びわめく、パフォーマンス新番組御一行様。
「あなたのお友達はうるさいですけど、助かりました」
「助かった?」ぐいぐいと腰を押し、腰を動かしながら首を傾ける元少年剣士。
「ええ、わたしたちの気を受けて進化した名刀『総盆踊り』でわたしたちを斬ってく
れるものがいなくて心配していたのですよ」
「わたしたちを斬る? どういうことですか」元少年剣士は眉をよせました。
「ああ、そのことは話してなかったですね。最初あなたをここにつれてきたのは名刀
『総盆踊り』でわたしを斬ってほしかったからなのです」
「なぜ斬る人が必要なのです。ぼくたちで名刀『総盆踊り』で斬ればらいいでしょう
」 「中からは斬れないのです」
「?」
「今にわかります・・・。それより彼らのこと変だと感じませんでした?」浪人は横
できゃきゃきゃきゃ叫びわめくパフォーマンス新番組御一行様を見て言いました。
「え?」
「騒ぐだけで決して近づいてこないでしょう」
「そういえば・・・気がつきませんでした」
「彼らはまわりで騒ぐことはできても、わたしたちのことが恐れ多くて近づけないの
です。進化していない彼らはそれすら気がついてない」
「知らなかった」
「ほらよく見ておきなさい」
元少年剣士がパフォーマンス新番組御一行様のようすを改めて見ました。
きゃきゃきゃきゃきゃ騒がしい声の中に元少年剣士に愛を語っているものの、誰も触
れようとしません。ある距離まで近づいてくるのですが、何か目に見えない壁があるか
のようにそれ以上は近づいてはきません。それより彼らは目に見えぬ壁すら気がついて
いないのです。
「わたしも始めてのことでよくわかりませんが、彼らはわたしたちの踊りに操られて
きているのだと思います」
「それじゃ、ぼくたちはうまくいっているのですか」
「ええ、進化は大分進んでいるみたいですね。今わたしの瞳は何色になってます」浪
人は聞きました。
「あっ、いつの間にか綺麗な黄色になっています。ぼくの瞳は」
「あなたの瞳も青から黄色に変わっています。もうすぐわたしたちの身体で最終進化
が起ころうとしているのかもしれませんね」腰をゆうるりゆうるり動かす。
「うっ、いいっ、もっと激しくしてもいいです」元少年剣士の腰も浪人赤壁左門にあ
わせてゆうるり動く。
「ああああああいいっ。この美しさこそ誠の剣士。堪らないっ」
「この腰の振り方すごいっ」
「いいいいいいいっ」
「ぼくも真似しちゃう」一人が着ていたものを脱ぎ、隣の剣士の衣服を脱がしていま
した。
「何をするのですっ」
「本当は彼の次にあなたのことが好きだったのです。彼のように他人にやられる前に