#2740/5495 長編
★タイトル (XVB ) 94/ 8/ 6 14:55 (165)
総盆踊りの話(5) $フィン
★内容
それからはご想像のとおり、尻苦尻林の極致でございました。
パフォーマンス新番組御一行様の大部分のものが元少年剣士が好きだったと告白し、
その次に好きだったものに愛の告白をし、それなら他のものに奪われるまえに襲ってし
まえということで、好きあったもの同士、尻の奪い合いをしたのでございます。尻が尻
を襲い、それを見た剣士がまた他の尻を襲う。連鎖反応的に尻の結合が起こったのでご
ざいます。
中心には人間でありえざる美しきものに進化した元浪人赤壁左門上之介と同じく元浪
人赤壁左門上之介に負けずとも劣らぬ美しいものに進化した元少年剣士が結びあい、究
極の『秘技股間踊り』をあいかわらず踊っております。
畳一枚分隔てて楕円上に包むパフォーマンス新番組御一行様もすばらしい二人の踊り
に刺激されまして、長い間裸のままうようよ尻の部分が蠢いておりました。
隣の尻に先がつき、他人の尻とは思えぬ結びつき、尻取りの間柄、尻の結びつきでお
互いを尻、尻とり尻踊る尻苦尻林、これぞまさしく尻愛の世界でございます。
それからまた、太陽が一回沈み、一回昇りました。
「ああああっ」腰を振って踊っていた元少年剣士の口から喘ぎ声が漏れています。
「ああ、きますっ。本当に覚悟はいいですかっ」元浪人赤壁左門上之介は美しすぎる
声で美しすぎる元少年剣士に言いました。
「進化ですね。いいです。ぼくはもう準備ができてます」元少年剣士は黄色に染まっ
た瞳を元浪人赤壁左門上之介に向けました。
「では、いきます」
「うっ」元浪人赤壁左門上之介は口を大きく開け叫びます。
「うっ」元少年剣士は口を大きく開け叫びます。
叫びは同時でした。
するするする、二人の口から白いものが吐き出されます。
蜘蛛の糸よりも細く、鋼よりも強く、この世のものとは思えぬ美しい糸。
口から出される糸は長く長くたなびき、二人の回りに戻ってきています。
戻ってきた糸は二人の身体にまとわりつきました。
二人は踊りながら糸を吐き、腰を振りながら糸を吐きました。
糸は静かに二人を包んでいました。
やがて二人は巨大な繭となってしまいました。
「ううううっ。もっと振って振って」パフォーマンス御一行様の一人が依然として尻
を動かし続けていました。
「これでもか、これでもか」巨大な繭に刺激されて奥へ奥へと突っ込んでいきます。
「いつの間にわたあめができてる」隣の尻につっこんで、自分の尻にも入れている男
が言いました。
「白いおまんま食いたいなあ」一人が言った。
「馬鹿っ、あれは繭だよ。あっ、あっ、いいっ」繭を見て眉を歪めている男が言いま
した。
「ぼくたちはなにをしているのだろう」一人の男は思慮深く考えている。
「踊りの他にこんな気持ちいいことがあったのか、早くしておけばよかった」
精も根も絞り果て蠢く生きた枯れ枝にもにたお身体に成り果てても、まだ尻苦尻林、
尻愛の仲を続けるパフォーマンス新番組御一行様のお姿は醜悪であればあるほど、その
中で光り輝き巨大で美しすぎるたった一個の繭を引き立てる飾りそのものでございまし
た。
パフォーマンス新番組の御一行様が巨大な繭に対して今どのようなお役目を果たして
いるのか、それをも知らずに今尚尻苦尻林の境地で尻を動かしております。
枯れ枝化した元人間とと今なお美しく輝く巨大な繭。それは繭の美しさを見に来たの
か、はたまた繭のフェロモンに誘われて来たのか、誰もわかりません。ただわかること
は枯れ枝化しながらも繭の近くで尻を振り続けるもの、心配になってきたものも尻苦尻
林の仲間入り、美しい街頭に誘われる夏の虫。これほどまでに罪なものなのか美しき繭
の中の美しき元浪人赤壁左門上之介と元少年剣士。
それからまた太陽が何回か沈み、太陽が何回か昇りました。
腰から下の尻にはぴくぴくと絶え間ない痙攣を起こしながら行為に熱中し、生きてい
るのか死んでいるのかわからぬ枯れ枝人間の一人がふとしたはずみで、あの名刀『総盆
踊り』に触れました。
「これは・・・」ずぼぼっ、尻を抜き、名刀『総盆踊り』を手にして立ち上がりまし
た。
「いたたた」激痛の走る尻に手をやり、腰ががくがくしてうまく立てない足に力をい
れ、ふらふらした足どりで繭の近くに行きました。
これはどうしたことか、今まで誰も近づくものがおらず、誰も触れさせようとしなか
った繭がたやすく名刀『総盆踊り』を持った枯れ枝人間を寄せつけました。
繭に近づくにつれて名刀『総盆踊り』が光の点滅が始めました。
名刀『総盆踊り』が近づくにつれて、美しき繭は光の点滅を始めました。
「呼んでる。ぼくを呼んでるう」名刀『総盆踊り』を持った枯れ枝人間は狂った叫び
をあげます。
美しすぎる元浪人赤壁左門上之介と元少年剣士との『秘技股間踊り』を見た後、美し
すぎる繭を見て、理性も野性も人間としての誇りもすべて捨てて、尻苦尻林、尻愛にふ
けっていた枯れ枝人間たちも、異様な空気の流れを感じたのでしょう。その行為をやめ
、よどんだ目を、名刀『総盆踊り』と美しき繭に向けました。
「呼んでるう。呼んでるう。繭のなかで呼んでるう。ぼくはそのままにしておきたい
んだよお。ぼくのものにしておきたいんだよお」名刀『総盆踊り』を持ったものは泣き
笑いの表情で、光輝く繭に歩みより、名刀を振り降ろしました。
繭に亀裂が入ります。
ぱりぱりぱり、音がなっています。
「うおおおおおお、割れてしまった。ぼくたちの繭が壊れてしまう」枯れ枝人間たち
が頭を抑え、尻を離し、喜びとも哀しみともとれぬ叫びをあげました。
美しくて異様な情景が一本の刀によって斬られることで枯れ枝人間たちは本能のうち
にこの尻苦尻林、尻愛の世界が終わりを告げることを知っていたのかもしれません。
「ぼくたちのお」
「繭があ」
「やめてえ」
繭の亀裂が大きくなり、中から金色の液体が流れでます。
金色の液体と共に、金色のぬめぬめした粘液に包まれたものが現れました。
ものは金色の膜に包まれていました。
ものは胎児のように膝を抱え眠っているように見えました。
「あああああっ」股間を振り回し、枯れ枝人間が近づきます。
「大丈夫です。一人で抜けれます」それは美しい声を発した。あの浪人赤壁左門上之
介とも元少年剣士の声とも違っている。だが二人の声を併せて二で割れば、そういう声
になるのではないかと思われる美しい声でした。
それは硬く目を閉じているにも関わらず、今までどうなっているのか十分把握してい
る声でした。
薄い金色の膜が破ける。ぬめぬめした金色の粘液とともにそれは生まれました。
人間というべきか、まだ瞳をあけることもできず無防備な姿だというのに人間という
にはあまりにも美しすぎる。
ゆっくり膜をやぶっています。
彼は胎児ではありませんでした。幼児ということでもありませんでした。それは生ま
れたときから成熟した男でした。
彼には弱さはみつかりませんでした。醜さはみつかりませんでした。それは生まれた
ときから、強さを身につけ、美しさを身につけていました。
彼は、元浪人赤壁左門上之介ではありませんでした。彼は元少年剣士でもありません
でした。だけど、彼は生まれたときから両方の特性を持っていました。
彼はゆっくり身を起こしました。
彼の背に何かついています。
人にはない何か。美しい金色の何かがあらわれていました。
頭をあげ、背を反らせました。
少しつづそれが伸びていきます。
それはやがて大きな金色の羽−巨大な羽が彼の背から生えていました。
彼は目を閉じ、羽が乾燥するのを待っていました。
羽が伸びきったとき彼は静かに目をあけました。
ああ、なんということでしょう。彼の瞳は赤く変わっていました。
「ありがとう。きみたち」彼は優しく枯れ枝人間たちに声をかけました。
「あああああっ、なんと美しい」声を聞いただけでよがる枯れ枝人間。
「わたしのためにひどい姿になってしまって・・・」彼は哀れな枯れ枝人間たちのた
めに眉をよせました。
「あああああっ、なんと美しい」軽く眉をよせただけでよがる枯れ枝人間。
「なにをしても喜ぶのですね」彼は苦笑ぎみに笑いました。
ふわりと繭から出て、よがり続けている枯れ枝人間の頬に触れ、手からはぼんやりし
た金色の光がもれました。
「あああああっ」彼の手から発せられたエナジーが枯れ枝化を逆流させ、元の若々し
くパワーあふれるパフォーマンス新番組御一行様の顔に戻りました。
「これは、ほんのお礼ですよ」元気になったとたん股間を持ち上げ欲情を始めるパフ
ォーマンス新番組御一行様を見て微笑みました。
「あああああっ」元気になってさらによがりつづけるパフォーマンス新番組御一行様
。 「それからあなた、こっちに来てください」彼は名刀『総盆踊り』を手にしている
一
人を招き入れた。
「預かってくれたことに感謝します。そしてわたしを誕生させてくれたことに感謝し
ます。あなたは特別にこれを」赤く美しい唇を合わせました。
「んんんんん」刀を持ったまま、いきなりのことで目を白黒させている。
「大丈夫ですよ。おとなしくしてて」彼は接吻をしていても言葉を発することができ
る究極の進化を手に入れていました。
「んんんんん」接吻の途中で相手の顔が大きくふくれあがり、はじけました。
彼は美しい顔を真っ赤に染めて、唖然としています。
「あ・・・あははははは、死んでしまいましたね。わたしは生まれたばかりなもので
力の加減を失敗したみたいです」彼は軽く笑いました。
「大丈夫です。ぼくたちが後始末をします。ですから気にしないでください」
「それではよろしくお願いします。わたしはこれから処女航海に飛び立ちます」彼は
戸をあけ、軽やかに飛び立ち、やがて空高く登っていきました。
彼は小さな辺境の星のジパングという国のお江戸というところで究極の進化を迎えた
のでございます。今は赤い瞳を持つ美しい彼も黒い瞳だったこともあるのです。
彼は一人で宇宙に飛び出したものの誰にも逢えず大層寂しいものでありました。たま
に黒い瞳の地球生まれの方に出会うと嬉しくなって、踊ってしまうのです。
ほらあなたにも彼の声が聞こえてくるでしょう。
そんな顔しなくてもいいですよ。彼の名刀『総盆踊り』は地球にいた頃より威力は増
しています。参考までに言っておきますが、名刀『総盆踊り』で彗星を二つにわけたこ
ともありましたし、小さな惑星を八つにわけたこともあります。
あなた、それでも逃げているつもりですか。遅いですね。そんな重そうな金属の服を
着ているからですよ。彼に脱がしてもらえるようにわたしから言ってあげましょう。
わたしですか、私はあの名刀『総盆踊り』だったのですよ。
黒い瞳の持ち主が裸のまま宇宙を浮遊していることが多いと統計学者は頭を抱えて訴
える。
理由は『神ぞのみ知る』。