#3125/3137 空中分解2
★タイトル (AKM ) 93/ 4/19 0:43 ( 59)
●楽戦楽勝ごりら男●その18 サガットの使い手の巻 ワクロー3
★内容
◆楽戦楽勝ごりら男◆18 サガットの使い手
それにしてもおかしい。平日の午後。夏休みでもなかったのに、
どうして小学生がゲームセンターにいたのか。こいつ。学校をさぼ
って、ここにいりびたってらがるのか。とんでもないやつがいたも
のである。しかし、まあ、それはそれとして。
まずはお手並拝見。ラウンド1ファイトー。
聞き慣れた機械の音声が再びゲームセンターにこだましました。
周囲の見物人はざっと5、6人に減っています。10人を抜かれた
今となっては、見ているだけでRの強さを認めることになるので、
実に不愉快だといわんばかりの仕打です。しょせん勝負なんてこん
なものなのです。
勝てば勝ったで恨みを買う。誰も応援してくれもしない。孤独の
なかで闘う名誉こそ貴いのです。
『ごりら男』は、間合いを測らず一気に飛び込みました。今度ば
かりは相手の出方を待っている暇はありません。なにしろ面接時間
が控えている。先制攻撃をかけて、蹂躙するつもりでしょう。『ご
りら男』の手慣れた飛び込みに続いて、知人Rは即座にパンチと蹴
り技を入れて、相手を圧倒するはずです。
知人Rが、弱いやつを相手に繰り返し使っていた攻撃パターンを、
僕も見ているうちに覚えてしまいました。完璧な飛び込み、そして
息をつかせぬ追撃。とどめの電撃。画面を見なくとも、目に描ける
ほどです。
しかし、ここで意外なことが起きました。『ごりら男』が飛び込
むのと一瞬遅れて、小学生操る『サガット』が登り蹴りの対空技で
迎え撃ったのです。これが決まりました。飛び込みを終えて着地態
勢にはいる『ごりら男』の顔面にもろに蹴りが入りました。
『ごりら男』は、両目を飛び出して、ぐえ〜、という表情で情け
なく舌を出します。大技を受けて攻守が逆転しました。
すかさず電気を出して感電攻撃で逃れようとした『ごりら男』。
けれどもこれもアッパーカットで返されてしまいます。返し技2発
の連続命中で窮地に立たされました。これはやばい。はた目にもは
っきりとわかります。
油断したか知人R。こうなると反射神経に優れた疲れを知らない
小学生ゲーマーの天下です。ボタン連打の乱れ撃ち。なすすべもな
く一方的な小学生の勝利です。1ラウンド目完敗。知人Rは、刻刻
と迫り来る面接時間のプレッシャーに負けたわけでもないでしょう。
しかし、明らかに1ラウンド目を負けてしまったのです。
『おお、小学生にやられた』
数人残っていた、軟弱な見物人の一人が無遠慮に大きな声を出す
ものですから、再び人が集まってきました。まさかとは思うが、こ
いつが負けるかも知れないから見てやろうという、露骨な見物人根
性丸だしです。
2ラウンド目が始まりましす。知人Rが、1ラウンド目とうって
変わって、対戦に真剣さを注入したのがよくわかりました。この相
手は、なめられん。気合いを入れて完璧をきさねば。決意がひしひ
しと伝わってきます。
(以下次回)