#2557/3137 空中分解2
★タイトル (JHM ) 92/12/19 6:14 ( 46)
《酢大豆の効用》
★内容
先日、薬店の前を通りかかると「酢大豆」の瓶詰を売っていました。一瓶が
50g入りで千円でした。「買ってゆく人は『血圧に良いから』といって買って
ゆくが、同じ調子で一瓶が5千円の『黒酢』の方が何倍も良く売れてゆく」の
だそうです。「ヘェー」と驚いた拍子に余分な買物をしてしまいました。それは
ともあれ、毎日欠かさず朝に夕に皿に酢に漬けた大豆を並べ、神妙な面もちで
一粒一粒を口に運ぶ方がいらっしゃるかと思うと、何やら滑稽でもあり、もの
悲しくもあります。一瓶5千円の黒色の液体を小さな入れ物とはいえ、もし毎
日続けられれば結構な出費となります。「イワシの頭も何とやら」と申します
し、わが国では信教の自由が認められています。でも私は独り言をブツブツと
家路を急いだのでありました。
『血圧に良い』と信ずる事を何か毎日続けられている方は、当然ながら何ら
かの節制をされているという事は想像に難くありません。従って、高血圧の危
険因子である『塩・酒・肥満・運動不足』についても幾分かは改善がみられて
いる可能性が高いと考えても良いと思われます。「何かが効いた」という場合
には、このような「交絡因子 ( confounding factor )」の存在を忘れてはな
りません。しかし、プラグマティックに考えれば、頭ごなしに否定するのでは
なく、良いところは認め、その上で、更に功徳のある商品をお勧めするのが得
策かと思われます。
ところで、最近では「機能性食品」という言葉が使われだしています。例え
ば、食物繊維がその一代表といえます。その作用として、脂肪の吸収の抑制、
便の体積を増して腸内滞留時間を短縮、腸内細菌叢の改善、等がいわれ、虚血
性心疾患や大腸ガンの予防に効果がある可能性があります。
繊維は脂肪を吸着して吸収を抑制しますが、吸収を抑制されるのは蛋白質や
ビタミンも同様です。かなり古い話になりますが、作家の獅子文六氏が痩身の
為にコンニャクを主食として食し続けた結果体調を崩し、それが寿命を縮める
元となった、という話があります。何事も中庸が大事といえます。
「繊維を摂れ」のCMの繊維飲料には、レタス1個分にあたる5gの繊維が
含まれていて一瓶百円ですが、ワンパック四十円の納豆にも5gの繊維が含ま
れており、かつ良質の蛋白質を含んでいます。「食べるだけで血圧やコレステ
ロールが下がる」というような夢のような食品は存在しません。そのような強
烈なる作用があるとしたら、それは既に医薬品の範疇のものであり、当然それ
なりの副作用があり、誤った使用のされ方がなされれば危険な事態を招来する
ものでありましょう。
「これさえ食べたら全てバラ色」という様なものはなく、悪いもの・過剰な
ものは食べない事が大事な事ではないでしょうか。(「一杯のかけソバ」も、
ツユを全部飲んだら食塩の摂り過ぎです。)