#2519/3137 空中分解2
★タイトル (JHM ) 92/12/12 8:48 (173)
《おやじOL VS 柳瀬一角》(3)
★内容
「 なんで、こんなにヤヤコシインだよ〜 カッタルイ〜 」
ルイはオタケビを挙げていた。残業なんぞ、ついぞやった事なかったが、例の一件
で、「お水」のバイトはしばらく休む事にしたんだ。
「 ミュータンス菌? 妙なタンスって何やんけ? 」
柳瀬一角部長が残していった宿題は、どうもウマクできない。徹夜必至の情勢だ。
一人ぶつくさ言っても始まらない。柿ピィとビールだけがお友達。徹夜モード突入。
髪の毛抜けそう。たまりまセブン! イレブン・オ’クロックはとうに過ぎている。
夜食買いに行くのも面倒だなぁ〜。アツシがいたら、と思われてならない。
午前2時。おなかが空いた。やっぱり、コンビニ行こう。ルイちゃんのお気に入り
は、蜂蜜レモン。そして冷たいソバなんだわさ。コンビニのソバって馬鹿にしたもん
じゃないんだ。「ソバ1」とまでは行かないにしても「ソバ2」くらいには評価可能
だ。酒飲んだ後に、お茶づけとか食べると、全部脂肪に合成されてしまう、とかいう。
要は必要量摂取した後は全て備蓄にまわるって事。しかし、偉大な哲学者は言った。
「 わかっちゃ いるけど やめられねぇ〜 」
スイスイスーダラダッタ、ときたもんだ。ルイちゃんは、事務所に帰り着く前に喉が
乾いて我慢できなくなったので、コンビニのビニール袋を肘に通し、蜂蜜レモンをば
飲む事にしました。ステイ・オン・タブを開けて一口。思わず出るテーマ・ソング。
「 ウ〜シミツ デモン!! 」
あたりが急に暗くなった。ブックパソコンを持った若い男が、キーボードから「式」
を打っている。「式」は、電脳の中で命を得て「式神」となった。男が投げキッスを
すると、そこから凄い勢いで「式神」が飛んで来た。
「 きゃ〜 」
ルイは身を伏せて、それを避けた。ふと、顔を挙げると男は消えていた。また、いつも
の明るさが戻っていた。ルイはなんだか訳のわからないままに、事務所に戻り、仕事を
続けた。
「 私 最近 おかしいのかしら 酸素不足ねっ
あらっ顔に一面スクイーズが・・・ 御肌の曲がり角過ぎるとダメねぇ〜 」
懲りない御仁である。
朝だ。房子は、基礎体温を測っていた。10日前、柳瀬は3LDKのマンションの購
契約をした。今住んでいるワンルームを売り、自己資金を合わせ、2000万円の借金
をした。20年割賦だ。引渡しは9月2日。二人とも荷物をまとめ、そのマンションに
移るという相談をしながら、ベッドで朝のニュースをみている。
ルームサービスの朝食が来た。排卵日は、順調なら引っ越しの5日後。
「 男の子 だよね〜 」
と確信に満ちた声で房子は言った。天の御告げでもあったかの様にキッパリと言った。
柳瀬には男でも女でも良かったけれど、それに答えるかの如くガッツポーズをとった。
「 まっかせなさ〜い 」
「 おっかしい〜 」
と笑う房子が目を落とすと......。
「 (うんうん 確かに 偉い! 御立派!) 」
部屋に書類を置き忘れていることを思いだした柳瀬は一足先に服に着替えた。背広を
着せかける房子。
「 いってらっしゃい 気を付けてね 」
蝉の声がする。夏の盛りに訪れた春。生を育む日の光に、そこはかとない感謝の朝。
「 さ〜てと....パンパンパン 」
両の手で御尻に気合いを入れると、房子も出かける準備をした。もはや、日本の母の
風格を漂わせて。
結局、徹夜になったルイは、ソファーにもたれて冷房を掛け毛布を被っていた。
「 おっはよ〜さん 」
どういう風の吹き回しだろう。柳瀬はやけに機嫌が良い。昨日の宿題は、
「 テーマ いわゆる『虫歯菌ワクチン』について 」
一応できあがったものの、自分でもサッパリ訳がわからない。
「 サッパリ 訳がわかんないんですけど・・・・・ 」
「 あぁ、いいよ、いいよ、どうせさぁ〜圧力団体や政治がらみでボツになんだ 」
苦労して作ったのに、いきなりボツというのも辛いものがある。と思ったら、ちゃんと
「オタッキー・ジュハ〜チキン」の朝食セットを買ってきてくれていて、その上コーヒ
ーまで入れてくれてる。私に気があるのかしら?(こんな奴でも何か気分良いな〜)。
「 俺、近いうちに結婚するから よろしくねっ! 」
「 エ〜ッ ヤダ〜 ウッソ〜
( 結婚するって 本当ですか 貴方の○○で できるのですかっ? ) 」
「 へっへっへっ (^_^) 」
「 おひおひ 近々 地震があるっつ〜のは 本当みたいだな〜 」
鈴木さんに耳打ちする。訳のわかんない事を鈴木さんが言う。
「 まさか〜! ど〜 って事ないわよ 」
ルイは、大手町の將門塚に行ったことは無い。
明後日に引っ越しと言うことで、31日は柳瀬は会社を休み、房子と一緒に、柳瀬の
部屋の整理をする。房子の部屋は、また、ゆっくりと二人で、という計画。一人住いの
所帯道具も、そうはたんとは無い。荷造りをするよりも、ベタベタしている時間の方が
長い。こんな一日の過ごし方があったなんて・・・・・。失われた時間が少し悲しい。
永遠の時を得るのだ。そう思って段ボールを詰める。寄り添う房子に手を止める。涙が
出る。夕日が綺麗だ。白い見慣れぬ雲がたなびく事も今日はどうでも良かった。
8月も今日でおしまいか〜。ひさびさに明るいうちに家に帰る。でも、買いたいもの
があるから少し寄り道ね。ルイには油断があった。若い男がすれ違いざまに私の御尻を
なぜていった。
「 ヌルッ 」
「 ぎゃ〜!! 」
振り返ると投げキッスを私に。この間のフザケた野郎だよ、本当に。今日こそはとっち
めてやる。
「 待て〜っ 」
あれっ、この路地を曲がったと思うんだけど。ここだ。
「 いや〜っ 」
路地を曲がった処で男に壁に押さえつけられちゃった。
「 大丈夫だよ 俺 エイズの心配ないぜ! 」
「 私にあるっつったら? 」
「 大歓迎 (ぶちゅ!) 」
何考えてるんだ、コイツ。あっと言う間に唇を奪われてしまった。でも、ちょっと良い
男じゃん。ウォーターフロントのシティホテルへ(下半身デブの尻軽女って変?)。
「 ダンクは無理でも 腰は強いぜ! ( by Toshinobu Kubota ) 」
凄いわっ!(^_^)。トドメのセリフが嬉しい。ブックパソコン持った変な奴!
「 明日 会社 休めよ。 一日中 ピン止めにしてやるから。」
私の8月31日は、こうして終わった。幸せ。明日が楽しみだわ〜ん。
ユサ ユサ ユサ ユサ ユサ ユサ ユサ ユサ ユサ
ユサ ユサ ユサ ユサ ユサ ユサ ユサ ユサ ユサ
ユサ ユサ ユサ ユサ ユサ ユサ ユサ ユサ ユサ
グリン グリン グリン グリン グリン グリン グリン グリン
グリン グリン グリン グリン グリン グリン グリン グリン
グチョ グチョ グチョ グチョ グチョ グチョ グチョ グチョ グチョ
ズボドボ ズボドボ ズボドボ ズボドボ ズボドボ ズボドボ ズボドボ
ズボドボ ズボドボ ズボドボ ズボドボ ズボドボ ズボドボ ズボドボ
( 流動砂が大地から吹きでる音 )
ガラガラガラガラ ガラガラガラガラ ガラガラガラガラ ガラガラガラガラ
ガラガラガラガラ ガラガラガラガラ ガラガラガラガラ ガラガラガラガラ
(ガラスが割れ 地上に落下する音 )
ドカシャバ ドカシュビダ ドカシャバ ドカシュビダ ドカシャバ ドカシュビダ
ドカシャバ ドカシュビダ ドカシャバ ドカシュビダ ドカシャバ ドカシュビダ
( 建物が倒壊する音 )
次の日の正午。マグニチュード8.3という超大型の地震が首都圏を襲った。津波
ならびに大地の液状化現象にて、足立区、墨田区、江東区、大田区、品川区、中央区、
など海沿いの地域を中心に壊滅的な打撃を受けた。死傷者数不明、行方不明者数不明。
柳瀬一角も市川房子も、そして勝田ルイも杳としてその行方が知れない。