AWC バード星とロボット工学三原則 やまもも


        
#1827/3137 空中分解2
★タイトル (LYJ     )  92/ 6/18  23:20  ( 65)
バード星とロボット工学三原則 やまもも
★内容

 科学者でSF作家のアイザック・アシモフ氏が今年の4月6日に心臓と腎臓
の機能障害のため72才で亡くなっていますね。AWCでも、クリスチーネ郷
田さんが空中分解2の#1578に「哀悼アシモフ」という素敵なコメントを
書いておられます。今回の拙文は、このアシモフ氏の有名な「ロボット工学三
原則」をバード星の陽電子頭脳ロボットに応用したものです。ところで、アシ
モフ氏の「ロボット工学三原則」はつぎのような内容でしたね。

  一、ロボットはけっして人間を傷つけてはならない。またロボットは、行
 動を怠ることによって、人間に危害をおよぼすようなことがあってはならな
 い。
  二、ロボットは人間の命令にそむいてはならない。ただし人間の命令を守
 ることが、第一条の原則に抵触する場合はそのかぎりでない。
  三、ロボットは自分を守らなければならない。ただし自分を守ることが第
 一条もしくは第二条の原則に抵触する場合はそのかぎりでない。

 それで、今回の拙作の「ロボット工学三原則」では、上に引用した条文中の
「人間」を「鳥類」に置き換えてお読み下さい。では、はじまり、はじまり。

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  バード星では、カラスの赤ちゃんの子守り用ロボットとして開発された陽電
子頭脳搭載の高性能ロボットがまたたくまに様々な分野に普及していった。た
が、最近になって鵜の目鷹の目で貪欲に利益ばかりを追求するウやタカたちに
よってロボットたちが悪用されるようになった。ウのまねをカラスもおこなう
ようになり、サギも詐欺行為をおこなってカモたちをいいカモにした。このよ
うな悪い連中が飛ぶ鳥をも落とす勢いとなった。ロボットの悪用が深刻な社会
問題となり、ついに「ロボット工学三原則」が制定され、この三原則を守るロ
ボットしか生産できないように法律で定められた。

 この三原則に基づいて作られたロボットが初めて販売されたとき、まずメジ
ロたちがロボット販売店に殺到し、店の前はめじろ押しの状態になった。最初
は飛ぶように売れ、シジュウカラの店なんか、いつ行っても店内はからっぽの
品切れ状態であった。ところが、しばらくするとどこのロボット販売店も閑古
鳥が鳴くようになってしまった。なぜか。ロボットがこの三原則を忠実に守る
ために、ほとんど仕事をしなくなったからである。

 優秀な頭脳を持ったロボットは、自分に与えられた仕事を実際にやればどの
ような結果が生み出されるのか、ありとあらゆる可能性を瞬時にシミュレート
し、鳥類に危害を加えるおそれがないか判断する能力を持っていた。だから、
ウがロボットを悪用しようとしても、ロボットはその命令を鵜呑みにして実行
したりするようなことはなくなった。だが、「普通」の生産活動でもロボット
たちが働かなくなったのである。なぜなら、鳥類に危害を絶対に加えないよう
な仕事などめったに存在しないからである。車両製造用のロボットたちは交通
事故を、土木建築用ロボットは自然破壊の可能性を問題にし、それは結局は鳥
類に危害をもたらすとして仕事をボイコットするようになった。勿論、軍需工
場の武器製造ロボットも労働に従事することをボイコットした。

 こうして優秀なロボットは、優秀であるがために全く役立たずのデクノボー
と化してしまい、バード星の鳥類社会は大混乱に陥った。このような事態に対
し、どのように対処すればいいのか、バード国会では議論は百出し、毎日延々
と討議された。しかし、国会討議の焦点は次第に「ロボット工学三原則」に基
づくロボット製造法の廃止の是非に絞られてきた。だが、廃止賛成派と反対派
とはほぼ同数、なかには、他の鳥が賛成意見を言えば自分も賛成、別の鳥が反
対意見を言えばまた鸚鵡返しに反対を言うようなオウムがいたり、またコウモ
リのように鳥類でもないのになぜか国会に議席を持っていて、賛成派と反対派
の間で洞ケ峠をきめこんだりする連中がいた。こんな状態で、国会は混乱し、
収拾がつかなくなった。

 うーん、困った。バード星においてロボットなしには社会の諸活動はまとも
に機能しない。しかし、そのロボットがいまはデクノボー。だのに国会は具体
的な方策を決められないまま空転。鳴呼、バード星の鳥類の運命や如何に!!
だが、神は彼らを見捨てなかった。ある鳥が「ロボット工学三原則」に基づく
ロボット製造法の即時撤廃を提案したとき、その提案はなんと議員全員一致の
賛成を得ることが出来たからである。えっ、提案したのはなんという鳥かです
って。はい、ツルです、ツルの一声で決ったんですね。




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