#1826/3137 空中分解2
★タイトル (AFD ) 92/ 6/18 18:23 ( 47)
リレーQ>ブッシュ大統領殺人事件(29) ふみ
★内容
スチュワーデスたちが騒いでいる所へ、パーサーの風間が顔を出した。「君たち、駄
目じゃないか油売ってちゃ。ディナーの準備はできたのか?」 知恵理は風間を見る
と目を輝かせた。「はいスタンバイしてます、先輩」「その先輩ってのやめろ。ネタ
が古すぎて誰も分からないじゃないか。おっと大事なことを言いに来たんだった。特
別食をお出しするお客さんを、ちゃんとチェックしているか?」
「ベジタリアン用のほかにですか?」「そうだ『胃潰瘍用』だ」
陽子は乗客リストに目を走らせた。「2514Gの神林さんですね。はい分かってい
ます」 風間が去った後、美枝子はタメ息をついて言った。「風間さんていつもステ
キねぇー」
知恵理は怒った顔をしてプイと出ていった。陽子は美枝子の肩を叩いた。「だめよ。
美枝子。知恵理の前でそんなこと言っちゃあ。あのふたりデキてるんだから」「あら
デキてるって、どういう意味?」「デキてるって・・つまりデキてるのよ」「そんな
言い方じゃわからないわ、ちゃんと説明して」
美枝子がつっかかってくるので、陽子はあわてて話をそらした。「特別食をお出しす
る神林さんてね、座席番号をチェックしなくてもすぐわかるわよ。だって若花田そっ
くりなんだもん。死ぬほど似ているの。私ランチをお出しした時必死で笑いをこらえ
たらジュースをこぼしちゃった」「・・ねぇデキてるってどういう意味なの?」
海野はすぐ前の席の男がしばしば自分のほうを振り返るのが気になっていた。50
才くらいの恰幅のいい西洋人で、口のまわりに髭をはやし金縁の眼鏡をかけていた。
30回くらい振り向いた後で、その男は立ち上がって海野の方へやってきた。
「ああ、ちょっと失礼。私ハリウッドのMGA映画のプロデューサーのマイケル・ス
チンバーグといいます。どうぞよろしく」 男はデーブ・スペクターの様な流暢な日
本語で語りかけ、握手を求めた。海野は求められるまま、男の毛むくじゃらの手を握
った。両隣の席では砂堂とジョドーがぐっすり眠っていた。男は小声で言った。
「私はある映画の準備をしています。日本とアメリカの合作です。私、打ち合わせで
日本に行きました」「・・はぁ」
「失礼ですが、先程からあなたの特徴あるご容貌を拝見していて、とても気に入りま
した。是非とも私達のスタジオへ来て、メイクのモデルになっていただきたいのです
が・・」「・・はぁ」
彼らから少し離れた席では、神林平介が隣の男と話していた。
「虎ノ門病院があんなことになって困ったよ。主治医も死んでしまったし。この出張
の間『胃』がもってくれればいいんだがね。いずれにせよ晩餐会では何も食べられな
いだろう」
それから神林は3回続けてクシャミをした。
「・・どこかで私の噂をしとるのかも知れんなぁ。ははは」 (続く)