#1456/3137 空中分解2
★タイトル (WJM ) 92/ 2/19 16:51 ( 92)
−−人生の分かれ道−−− けい
★内容
−人生の分かれ道−
高校受験日。一人の少年が電車の中で、1枚の紙を眺めていた。
その紙には小さく英単語がビッシリ書かれていた。
もしかして400ぐらいあるかもしれない。
が、覚えるという感じはなく、覚えてしまったのを軽く見直している
程度だった。電車の中は制服を着た生徒でいっぱいだった。
その少年は座っていたが、立っている生徒のほとんどは
初めてのラッシュに苦しんでいた。
少年はN高一本だった。N高以外は高校じゃない とさえ思っている。
中学3年間みなが楽しく遊んでいる間少年は必死になって勉強してきた。
テレビなどは当然見なかった。流行や、タレントを全然知らないため
何度も馬鹿にされた。しかし遊んでいて入れるほど楽な高校じゃない。
特別遊びたいという気持ちにもならなかった。
遊ぶのは、いい高校、いい大学、いい会社そして順調に出世してからでも
遅くないと思っている。塾でも家庭でもそう教えられていた。
実際N高に入りさえすれば、それがほとんど保障されていた。
なにはともかく、N高に入ることだ。
受験1カ月前から塾から学校に通った。
学校から帰ると、食事、入浴をのぞいてのすべての時間を勉強にあてた。
勝つために汚いことでも平気でする少年で、塾の中に同じN高を受ける
奴がいたが、そいつには、”真夜中のイタズラ電話”による寝不足
”靴隠し”、”不幸の手紙”、”めちゃくちゃな文句を書いた手紙”
などによる精神的ダメージ など考えられるすべてのことをやった。
受験による緊張とかさなりそいつは、過度のノイローゼになり
ただ今入院中だ。少年はそれでも、良心が痛むことなど少しもなかった。
逆に、少しでも倍率が下がることを心から喜んでいた。
目的の駅に着き少年は降りた。何人かの学生も降りた。
駅から学校まではそう遠くなく5分ぐらいだ。
その間も少年は、単語の確認をしていた。
受験は最後まで諦めるな、 塾ではしつこいくらいこう言われ続けた。
一個でも忘れてしまっていると、そこが出るかもしれないのだから。
それに緊張をまぎらわすためにもいい。そうしている間に学校に着いた。
学校には全国各地から数百人ぐらいの学生が集まっていた。
この中で合格するのはわずか数十名。
教室に入るとすぐ少年は社会の地名の書いた紙をだした。
一辺が15センチぐらいの小さい紙にこれもまた異様なほど小さい字で
ギッシリ書かれてある。
この紙は書かれてあることをすべて覚えると破って捨てるのである。
そうすることによって、より一生懸命覚えるよう努力するためだった。
これは少年がいってる塾独自の勉強法で、一辺が15センチくらいの
紙が千円ほどするのだった。当然高すぎるが、高ければ高いほど
より覚えられるというものだ。金儲けのためだ といって買わない生徒
もいたが、少年は買った。将来の給料にくらべれば、千円なんて安いものだ。
少年はその千円の紙を軽くみて、ビリビリと破き、机の下に落とした。
しかし、少年はいつどこで見られているか分からないと思いハッとした。
自分の部屋ではこうしておいても、親が掃除をしにきてくれるので
よかったが、ここではそうはいかない。
少年は破った紙を拾いとりあえずふでばこの中にいれた。
時計をみると8時ちょっと過ぎだった。
緊張がさらに高まった。 昨日の夜は緊張で寝れなかったため
お酒を飲ましてもらった。落ち着け落ち着け そう自分に言い聞かせた。
そして自分が今までどれだけ勉強してきたかを思い起こした。
自信をもて。 俺がおちたら、だれが受かる。 必死に落ち着こうとした。
隣をみると、隣もまたかなり緊張しているようだ。
「よし 完ぺきだ。どんな問題でも大丈夫」
隣に聞こえるように少年は言った。
隣の奴にプレッシャーを与えるためだった。
そうこうしているうちに、先生が来、問題が配られた。
初めは社会だった。すぐには取り掛からずに、少年は
震える手で問題全体をみた。しかしすぐに震えていた手は止まり
少年の顔は不安から喜びの顔にかわった。
できるっ 全部できるぞっ
少年はふでばこからシャーペンを取り出そうとした。
「あっ」
思わず少年は声をあげてしまった。
紙切れが、やぶった紙が入っていたのだった。
当然こんな所をみられると、そく不合格だ。
少年の額から汗が流れでた。
落ち着け落ち着け。 きずかれやしない。
深呼吸をして問題に取り掛かろうとしたとき後ろから
先生の声がした。
「こらっ!! なにしてる!!」
少年の心臓は音は教室全体に聞こえるんじゃないかと思うほどだった。
手はブルブル震えていた。試験官が近づいて来る。
しかし、試験官は少年の横をすぎさり、すぐ前の奴の所で止まった。
「すっすみません カイロが熱くなりすぎて、、それで取り出そうと思い。。」
「これからは気を付けるように」
そういい先生は離れていった。
そのとき少年の机に少しあたった。端においてあった、カンペンのふでばこが、音を立てて落ちた。当然、社会の紙も...
その瞬間少年は中学3年間のつらかったこと全てを思いだした。
今までやってきたことはいったい.....
レールに乗った超特急、行き先は超エリートコースを保障されていたのに...
今、脱線
1991/2/14