AWC 「氷梢」                   由布子


        
#1351/3137 空中分解2
★タイトル (KPG     )  91/12/27  22:38  ( 20)
「氷梢」                   由布子
★内容

  「素敵だわ。加納夫人にお似合いだわ。」
  「僕も同感だ。」
  「これが虚しさの衝動なの?」
  「いや、違う。加納夫人は、当然に与えられ、当然に奪う資格を持って生まれ
   た女なんだ。これは朱鷺子から朱鷺子自身を奪うために置き去りにされたも
   のだ。」
  「どういう意味?」
  「はははは、完璧な選定ミスだ。加納夫人に同情しそうだ。」
  「ふざけているの?」
  「悪かった。じゃあ、説明しよう。これは朱鷺子の3ヶ月分の給料に匹敵する
   高価なものだ。働きもせずに簡単に手にいれることが出来る女をどう思う?」
  「どうも思わないわ。」
  「朱鷺子はそうであっても、大概の女は加納夫人に嫉妬するだろうな。そして
   その嫉妬がその女自身を喪失させてしまう。」
    「嫉妬した女の人が自分の生活を無意味なもの。加納夫人の生活を有意義なも
   のと思ってしまうの?」
  「当たらずとも、遠からずだな。」
                                                                  つづく





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