AWC がんばれ美由紀ちゃん−大坂秋の陣−(5)  かきちゃん


        
#1176/3137 空中分解2
★タイトル (ENB     )  91/ 9/16  22:34  (113)
がんばれ美由紀ちゃん−大坂秋の陣−(5)  かきちゃん
★内容

5.ドアを開ければ………

 さて、さっそく美由紀の家の中の異世界に行くわけだが、その準備におおわらわだ
った。
 美由紀は、俺が貸してやった巨大なバッグに着替えを大量、歯ブラシ、タオル等の
旅行セットに、ウオークマン、ブレンビー(俺が先月思い切って買ったもの)、トラ
ンプ、文庫本を数冊、ドライヤー、ウオッチマン、エトセトラ・エトセトラ……。
 俺は思わずこめかみを押え、
 「おまーな、いったい何を考えてるんだ?」
と思わず言った。
 美由紀は口をとがらせて、
 ”いいじゃない!”
と言いたげであったが、
 「だいたいねぇ、これから行くところに電気あると思う?テレビ局あると思う?ド
ライヤーとかウオッチマンとか何に使うつもり?」
 美由紀は、”あっ”と言う顔をした。
 だいたい、これから何があるかわからないところに行こうっていうのに、相変わら
ずミニスカートだ。まぁ、これに関しては俺も決して嫌いじゃない(と言うより大好
きだ)から何も言わなかったが……。
 何だかんだで、美由紀の持ったバッグには着替えその他を目いっぱい詰め込んだ。
 それが結構重くなってしまって美由紀はぶぅぶぅいったが、無視することにした。
 何しろこっちは背中にテントなどキャンプ用品を背負い、淀秘書から受け取った能
面や、美由紀がコンビニで買ってきた大量のにんじんとカップメンと米と缶詰、それ
から飯合と鍋と毛糸玉などでパンパンになった紙袋を下げ、さらに、美由紀がコンビ
ニで買ってきた釣り竿(糸付き)を肩にしょってるのである。
 美由紀の荷物の面倒など見られるわけがなかった。
 あっ、それから美由紀のパンティもしっかりポケットに入っていた。

 「「ドアを開けた。
 例によって風が吹き込んで来た。
 例によって美由紀のスカートがめくれ上がった。
 例によって美由紀のふとももがちらちらのぞいた。
 例によって俺の目は皿になった。
 例によって足元によだれの池ができた。
 例によって美由紀はスカートを抑えた。
 例によって……。

 完全にパターン化していた。

 ドアの中に(つまり異世界に)入った。
 ドアを閉めるときに、持ってきた毛糸玉の端をはさんでおくのを忘れなかった。
 これで、毛糸玉を引っ張って行けば、いつでも毛糸伝いにドアの位置のに戻れるの
である。気休めにしかならないが……。
 本当は、美由紀の着ているサマーセーターのほつれた部分をはさんでおきたかった
がそうもいかなかった。
 ドアは、俺の予想していた通り、閉めたら影も形もなくなっていた。
 何もないところから毛糸が突然出ているのである。
 結構間抜けだ。
 まわりの風景はといえば、遠くに森が見えている以外はまるでRPGマップの平地
のドまん中のように草原が広がっているだけだ。
 ”どっちにいこうかな?”
などと考えていると、遠くから地鳴りのような音が聞こえてきた。
と同時に音のする方向になにやら砂煙が上がっているような……。
 美由紀は大きく目を見開いて、
 「う、うま……。」
とつぶやいた。
 俺は目が悪い。いまいち美由紀の言葉にピンとこなかったが、音と砂煙が近付いて
来るにしたがってだんだんわかってきた。
 近付いて来るのは馬だった。
 というより、馬に乗った人たちであった。騎馬軍団というやつである。五十騎位だ。
 これで、少なくともどっちに行こうかなどということで悩むことはなくなった。
 俺たちは回れ右して全速力で駆け出した。
 「なんじゃこりゃぁ!」
 殉職したときのジーパン刑事と同じセリフである。
 しかし、人間のは走る速度で騎馬軍団から逃げようなどとは甘い考えである。追い
つかれるに決まってる。
 騎馬軍団はぐんぐん迫ってくる。踏みつぶされてお好み焼きになるのは時間の問題
だ。
お好み焼きならまだいいが、へ×あるいはゲ×みたいになったらさらに悲惨だ。
 いよいよ騎馬軍団は俺たちまで10メートルほどのところまできた。
 俺は意を決して美由紀を抱えて横っ飛びに飛んだ。
 その拍子に右手に持っていた紙袋から中身が俺たちとは反対側にばらまかれてしま
った。それがラッキーだった。
 馬たちは紙袋からばらまかれたにんじんに殺到していったのである。よっぽど飢え
ていたのだろう。餌は与えられていなかったのだろうか?
 俺は美由紀を抱きかかえたままのかっこうで、にんじんに群がる馬たちと、我を忘
れている馬たちを必死にとりしずめようとあわてている馬上の人たち(いかにも戦国
時代の騎馬武者って感じだ。)を見ながら右手の感触を楽しんでいる。
 何をかくそう俺の右手は(誓って偶然だが)しっかり美由紀の胸をつかんでいたの
である。天国!
 つまり、美由紀の胸のあたりを右手でかかえて(本当に偶然だってば!)押し倒し
たような格好になっている。おまけにスカートがめくれて、見てくれといわんばかり
にパンティまるだしである。
 この偶然めぐりあったラッキーな状況を呆然自失、というふりをして少しでも長く
楽しもうっていうのは決して悪いことじゃないだろう?
 しかし美由紀はすぐ気付いた。
 「きゃあ〜っ!」
と悲鳴をあげ、俺から飛び退いてスカートをなおした。
 「ご、ごめん、わざとじゃないんだ。」
と俺がいいわけをしたら、
 「うん、いいの、わかってるから。」
素直にわかってくれた。うい奴うい奴。
  前かがみになっている俺と、頬をぽーっと染めてうつむいているいる美由紀がなんとなく気詰まりな雰囲気で向かい合っていると、美由紀が俺の背中ごしに、
 「あれはなにかしら?」
と騎馬軍団が走ってきた方向を指さした。
 美由紀の指さした方向に何かきらっと光っていた。
 俺は美由紀にうなづいてみせてから、光っている方向に駆け出した。美由紀もつい
てくる。
 もう、脇でどたばたやっている騎馬軍団の事は頭にない。
 困った二人である。
 数十秒後、俺と美由紀はその場所に立っていた。
 そこには超能力が落ちていた。
 「これは道具のようだ。これを使えるのは美由紀だ。私には使えないようだ。」
俺はトルネコみたいなことを言って超能力を美由紀に手渡した。美由紀は、「わーい
、わーい」と言って超能力をもてあそんでいた。
 俺は”いったいこれは何の超能力なんだろう?”と考えていると、
 「美由紀!」
と叫ぶ声がした。騎馬武者の一人のようだった。
 美由紀は声のする方を見ると、一瞬口をおさえて言った。
 「お父さん……。」
 俺が阿波踊りを踊ったのは言うまでもない。




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