AWC              派遣前の出来事(14) ハロルド


        
#1125/3137 空中分解2
★タイトル (GSA     )  91/ 8/23   8:10  (181)
             派遣前の出来事(14) ハロルド
★内容
○ ジャズクラブ・ソールトレイン(夜)
      カウンターで阿倍野が座っている。そこへ呆然自失と
      した真知子が入ってくる。

阿倍野「真知子さん」

      阿倍野の姿を見て、真知子,びっくりする。

真知子「阿倍野さん!」
阿倍野「北室から話を聞いてきたんだろう?」
真知子「ええ、」
阿倍野「僕としては君に早く踏ん切りがついて欲しいんだ。だから
    北室自身の口からお別れを言わせたんだ」
真知子「お別れ?」
阿倍野「そう言ったんだろう?」

      真知子、はっとなって阿倍野を見る。

阿倍野「ちょっと待って。違うのか? 奴はなんて言ったんだ?」

      真知子、動揺する。

阿倍野「よりを戻そうって言ったんだな? そうなんだな?」

      川原、驚く。真知子、無言のまま。

阿倍野「あの野郎!」
真知子「阿倍野さん、復縁話が出ても私はそれを承知した訳じゃな
    いわ」
阿倍野「今はね……」
真知子「そんな!」
阿倍野「いずれは君はあいつと一緒になるんだ」
真知子「阿倍野さん、聞いて」
阿倍野「君からはもう何も聞きたくない。あいつからどうやって俺
    の事を馬鹿にしたのか聞き出してやるよ!」

      阿倍野、ドアから出ていく。真知子、壁にもたれかけ
      る。川原、電話をかける。

○ 北室の部屋
      北室、酒を飲んで一人で思い悩んでいる。そこへ電話
      がかかってくる。北室、受話器を取り、話を聞く内に
      険しい表情。

○ 路上(夜)
      北室、走っている。

○ 繁華街(夜)
      阿倍野が酒に酔って歩いている。

○ 路上(夜)
      真知子、阿倍野を捜している。

○ 白田春美の部屋(夜)
      春美が暗い部屋で机に座りながら何か思い悩んでいる。

○ 繁華街(夜)
      阿倍野、酔っぱらいながら、歩いているとあるグルー
      プの一人にぶつかる。

阿倍野「馬鹿野郎! 気をつけろ!」
男 1「なんだと、この野郎!」

      その顔、チンピラヤグザ風の男。

○ 繁華街の裏通り(夜)
      真知子、その場へやって来ると、阿倍野が数人の男に
      リンチをうけているのが見える。真知子、慌ててその
      中に入って男達を止める。

真知子「やめて! やめて下さい!」
男 1「うるせえ! 引っ込んでろ!」

      真知子、無理矢理引き離され、男2の乱暴をうける。
      他の男は阿倍野を袋叩きにしている。

真知子「だれかーっ! 救けてーっ!」

      北室、その悲鳴を聞き、その場にやってくる。状況を
      見るとその場に一目散に駆け出す。

北 室「やめろー!」

      北室、阿倍野を殴っていた男を背負いなげで投げ飛ば
      す。そして真知子に乱暴を働いていた男を顔面ストレ
      ートで倒す。三人目の男を突き飛ばし、四人目の男を
      ストレートで倒す北室。その北室を恐怖の表情で見て
      いる真知子。男1がナイフを持って構える。そしてそ
      れをつきつけた時、北室、手刀でこれをはたく。恐れ
      おののく他の男達。やがて、遠くからパトカーのサイ
      レンが鳴り響く。男達、慌てて退散する。北室、その
      場に倒れて怪我をした阿倍野の症状を見ようとする。

真知子「(阿倍野に近寄り)触らないで!」

      びっくりする北室。

○ 同・数分後
      救急車が到着し救急隊員が担架で阿倍野の身体を運ん
      で行く。真知子、救急隊員に一緒に乗せてもらえるよ
      うに頼んでいる。やがて救急車、その場に北室一人を
      残して発進する。

○ 病院の一室(夜)
      ベッドの上に包帯を巻かれた阿倍野の姿。真知子、そ
      れを痛ましそうに見ている。真知子、阿倍野の顔をし
      ばらく眺めているが、やがて髪を撫でたり、頬を人差
      し指で触ったりする。真知子、その内眠気が催してき
      た表情。やがて阿倍野のベッドによりかかりながら眠
      ってしまう。

○ 同(朝)
      窓から朝日が射し込んでいる。阿倍野、雀の鳴き声に
      眼を覚まし、ベッドの傍らで寝ている真知子の姿を見
      る。やがて真知子も眼を覚ます。

阿倍野「(微笑んで)お早う」
真知子「(微笑みかえす)お早う」

      二人、みつめ合っている。阿倍野、怪我に苦痛の表情。

真知子「(心配そうに)傷、痛む?」
阿倍野「いや、少しだけだ。大した事はない」
真知子「今ちょっとお茶入れるわね」

      真知子、部屋を出ていく。阿倍野、一人で考え事をし
      ている。真知子、戻ってくる。

真知子「ちょっと待っててね」

      阿倍野、その姿を何気なく見ているがやがて意を決し
      たように言う。

阿倍野「……真知子、ちょっと考えたんだけど……」
真知子「なあに?」
阿倍野「なんて言ったらいいのかな……もう俺のことは気にしなく
    ったっていいんだ」

      真知子、表情を硬くする。

阿倍野「あいつに未練があるんだったら俺は潔く身をひくよ」
真知子「その話は貴方が退院してからにしましょう」
阿倍野「真知子……痛!」
真知子「大丈夫? 先生呼びましょうか?」
阿倍野「いや平気だよ。こんな傷ぐらいすぐ直るさ」
真知子「……私も大丈夫よ」
阿倍野「?」
真知子「私の方の傷もすぐ直るから……だから……心配しないで」

      阿倍野、真知子をまっすぐ見つめる。真知子、阿倍野
      に腰の高さまで近づき、二人そのまま見つめ合い、や
      がて抱きしめ合う。

○ 同・病院・廊下
      一人の女(ベージュのコートにつばの広い帽子姿)が
      花束を持ちながら、病院の廊下を歩いている。帽子を
      深々とかぶっているので顔は見えない。やがて女、阿
      倍野の表札のかかっている病室を見つけ、その開けっ
      放しのドアから中を覗く。するとそこには阿倍野と真
      知子が抱きしめ合っている姿があるので思わず身をの
      けぞらせる。女、しばらくその二人の姿を眺めている
      が、花束をドアの前に置いて去っていく。その時ハイ
      ヒールの足音をコツコツとたてていく。病室の中の真
      知子、その音にびっくりして振り返り、ドアの外まで
      様子を伺いに来る。すでにドアの外には誰の姿もなく、
      真知子、ドアの下に置かれた花束を見つける。真知子、
      それを拾い上げ、持ってくる。

阿倍野「何それ?」
真知子「ドアのそばに置いてあったの」
阿倍野「誰かの見舞いかな?」
真知子「こんなことする人に心当たりある?」
阿倍野「いや……」

      真知子、花の匂いを嗅ぐ。

真知子「いい匂い!」
阿倍野「なんて花だい?」
真知子「ポインセチアよ」

      阿倍野、驚きの表情。




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