AWC お題>=u鏡」  レミントン・スティール


        
#1019/3137 空中分解2
★タイトル (RJM     )  91/ 7/12  12:15  ( 99)
お題>=u鏡」  レミントン・スティール
★内容
    ガシャ、ガシャ。歩くたびに音がした。気にせず、玄関から、
   外に歩きだした。ガシャ、ガシャ、ガシャ、ガシャ、ガシャ、と
   いう音が一歩、歩くたびに響いた。
    駅に向かった。後を小学生がついてきた。大声ではやしたてた。
    「あぁーーーーーーーー!カガミ男だ。」
    私はなんとなく情けなくなった。


    「驚くべき数値だな!」所長は言った。
    「そうですかね?」  数年前の私は言った。
    「ここ半年ほど、いろいろなポイントに設置した測定機のデー
     タをみたまえ!調査ポイントは関東周辺だが、この分では世
     界中どこに行って、検出量は変わらんな」
    「発生源に近接した場合のデータは採りましたし、あとは分布
     データですか」
    「うん、動物実験もな、ネズミから始めるか?」

     数値0の状態をつくりだすために、鉛で小箱をつくり、その
    中に妊娠した数匹のネズミを入れた。そのなかで出産させ、母
    ネズミを取り除き、その後の行動を観察する。
     それと同時に、平均的な数値下のネズミ・2倍の数値のネズ
    ミも同じ方法で実験した。

     2週間がたった。
    「数値0だけおかしいですね。」
    「たしかにおかしいな、まったくケンカもしない。」
    「それどころか食べ物もわけあってますね。」
    「なんとなく変だな。」


     私は電車に乗った。揺れる度にガシャ、ガシャ、音がした。
     私は、裁判所に向かっていた。。やっぱり、乗客の私に対す
    る目は冷たい。

    「0だとかえっておかしくなるんでしょうか?」
    「いやそんなはずは、」
    「しかし・・・・・・こんなんじゃ発表できませんね」
    「猿に変えてみるか」
    「カネがかかりますよ」私は笑った。でもこれは英断であった。

     しかし、結果は変わらず、鉛の中の猿だけがちょっと違った。

    「おかしいですね、他の部屋の猿はケンカしたりボス争いして
     るのに、鉛の部屋の猿だけ元気がないような」
    「そう思うか?」
    「へっ」
    「ほんとにそう思うか?」教授はまじめな顔で尋ねた。
     教授はその日から人が変わった。なにかに悩んでいるようで
    あった。教授は研究の方針を変え、過去の年代別の量の分布の
    推定値を出し始めた。

    「やはりそうか、百年ほど前から、日増しに増えているな。」
    「当たり前でしょう。そんなこと調べてどうすんですか?」
    「ばか言うな、このまま増えたらどうなると思ってるんだ!」
    「しかし、人体に対する影響はないし、かえってないほうが、
     悪影響が・・・」
    「だからお前はバカだというんだ!」

     その教授も半年前に猿に襲われ死んでしまった。実験中に
    猿に刺されて死んだのだった。
     私は教授の遺品の中から、ノートをみつけた。
    そのノートには、恐ろしいことが、書かれていたのだった。


     裁判所に着いた、私の支援団体の人も来ていた。ただ、私と
    同じ恰好をしていないことが気掛かりで逢った。

     相手方の陳述から始まった。
    「S氏はこのように不当な要求をしています。このような要求
     を受け入れたら、社会全体の機能がストップしてしまいます。
      百歩譲って、S氏の主張を受け入れても、要求を聞き入れ
     ることは不可能であります・・・・・・

     次は私の番だ。こういうことには自信があった。
    「私は、半年前教授の実験を受け継ぎ、こうしてここに訴えを
     おこすことにしました。
      何千回何万回破れようと常に真実は変わらない!私の研究
     から導き出された結論。いまここで人類の英知・文化・そし
     て尊い愛が失われようとしています。そしてまた地球そのも
     のが危機にさらされています。
      研究の成果、それは電磁波による人体への影響です。教授
     の残されたメモを元に、私は同じ実験を続けました。
      鉛で電磁波から隔離した猿はお互いに助け合い生きていき
     ます。それがある日、電磁波を浴びせると、だんだんおかし
     くなっているのです。ボスをつくりケンカをし、凶暴になる
     のです。何度も実験しました。彼らは学習するのです。電磁
     波の量をだんだん増やしていき、彼らに殺すことを教えまし
     た。なんと!仲間を殺すのです。自分の邪魔になる仲間をで
     す。教授も実験中に殺されました。いまこそラジオTVその
     他の総てのストップさせ捨てるのです。我々はそのことによ
     り永遠の安らぎと平和をとり戻すのです。更に、皆で力を合
     わせ、何千年前のレベルに電磁波のレベルを下げるのです・・・

      何時間か後、私はうちに居た。電磁波から体を護る鏡のス
     ーツをぬいだ。そして、鉛の棺桶のようなベットに入った。
      裁判の結果?はっはっは・・・             __
     ただ、私は地球上で唯一の正常な人間だ。        |@  @|
                                | <> |
                 [  了  ]     レミントン・スティール     ̄




前のメッセージ 次のメッセージ 
「空中分解2」一覧 レミントン・スティールの作品
修正・削除する         


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE