#1016/3137 空中分解2
★タイトル (XPG ) 91/ 7/11 15:58 ( 62)
人が、そして己が為に KAZ(1/2)
★内容
2人の男。1人はラフな格闘技の道着を着込み静かに呼吸法で相手のスキを伺って
いる。その経験に裏付けられた筋肉が伸縮を繰り返していた。もう1人はマントで全
身を覆っていた。顔には禍々しい微笑みを浮かべ、その全身を微笑みに負けないほど
禍々しい「気」、今で言う「オーラ」、で覆っていた。
(「まるで俺様の電撃みたいだな」)
道着の男の頭を、不幸にも飛行機事故でブラジルの奥地に落とされ、そこで住むこ
とを余儀なくされたブランカが声をかすめていた。どうやらその事故もこの目の前に
立っている男が自分の組織を使いやったことらしい。1人を殺す為に500倍程の命
を奪う...。道着の男はその声に答えていた。
「お前の電撃程でもないさ」
次の瞬間、その男はマントを脱ぎさり、赤の軍服を晒していた。その軍服の上から
でも見える筋肉は道着の男以上の物だった。道着の男は戦慄を覚えたが、またも1人
の男の姿が頭を霞めていた。
(「大丈夫だ、俺の筋肉程じゃないさ」)
M.バイソン。格闘界の四天王と呼ばれる者達の1人。その拳を武器に驚異的なパ
ンチ力で思いっきり苦しめてくれた。この試合で道着の男は防御の大切さを痛感させ
られたことを思い出す。そして目の前に立っている軍服の男が四天王のトップ、格闘
界の頂点に立つ男、ベガであることも思い出していた。
両者の間での緊張は最高潮にまで達した、そう呼吸が詰まるほど。吸う、吐く、吸
う。いよいよ両者は動き出した、と思った瞬間、ベガはその場から消え去った。
「上か!」
道着の男はとっさに上段を防御した、今まで幾多の攻撃を受けてけきたように。が、
道着の男は何処にその攻撃が当たったのかが判りまたしても戦慄を覚えた。その攻撃
は正確に頭の急所である「とう」を狙っていた。こんな芸当を出来る者を彼は1人し
か知らなかった。更にベガはそこからバク転からのフライングボディーアタックを仕
掛けてきた。
「く...!」
(「乗っかりと空中戦は私の専売特許よ!」)
春麗の顔が浮かんだ。道着の男が初めて戦った女性ストリートファイターだったが、
中国格闘界の奥義を極めた強敵だった。彼女もまたベガと因縁があるらしい。詳しい
話しは聞けなったが、親を殺されたとか...
(「空中戦は私の専売特許でもありますよ。それにスピーディーな攻撃もね」)
次にバルログの顔が浮かんできた。四天王のNo.3、そして美しさと忍術を極め
た男。そのスピードある攻撃は他の追従を許さず、噂ではNo.2と互角、いやそれ
以上の実力を持ち合わせていた。スピードで言えば四天王でも最高、つまり目の前の
男よりも...
そのベガは攻撃の手を弛めなかった。驚異的な飛距離の飛び蹴りからのフライング
ヒールキック、そしてスライディングとラッシュしてきた。ガシガシガシ、と肉と骨
が鈍い音を立ててぶつかった。しかしダメージは全く無かった。
(「やはり俺以上の蹴りを持つ者はいないようだな」)
「ああ、そのようだ」
今度はガイルの顔だった。彼もまた強敵だった。何もかも撃墜するサマーソルトキ
ック、そして「気」ではなくかまいたちを相手に投げつけるソニックブーム。そして
なにより怖かったのは蹴りのスピード、バリエーション、そして破壊力だった。彼は
ベガに同僚を殺されたと話してくれた。
(「わしのスライディングはヨガの奥義があってこそ。あんなスライディング、恐
れる事はないぞ」)
ダルシムだ。ヨガの究極奥義を極め、リーチを自由自在に変化にさせるという離れ
業をやってみせた。しかもヨガの奥義の1つであるヨガファイアー、そしてヨガフレ
イムは西洋のドラゴンを彷彿とさせる物だった。彼はある物をベガに買い占められ、
仕方がなく戦場へと身を投じたと聞いている。
だが、今回はそんな回想に浸っている場合ではなかった。いつのまにか道着の男の
目には空が入っていた。連続攻撃の後、ベガに投げを決められてしまったのだ。今ま
で戦って来た男達でもこれほどのダメージを与える奴はいなかった...
(「おいおい、俺を忘れんでくれよ。なんならスクリューパイルドライバーをもう
1発おみまいしてやろうか?」)
ザンギエフだった。ロシアの大地でサンボを極めた男。そのパワーは全てを粉砕す
る。特に彼の投げ技は驚異で、今回戦ってきた者達の中でも最大の破壊力を誇ってい
た。彼はある人物にベガの粉砕を依頼されていたのだが、彼はこれをキッカケと見て
いた。そして道着の男との戦いを人生の「汚点」ではなく「起点」だと言ってくれた。
その「男」の投げに比べればこの投げなんか...