#834/3137 空中分解2
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CAMPUS> 過去からのファイル 3-11 ■ 榊 ■ (42/75)
★内容
そのかけらは間違いなくモニターを潰し、画面は一度ブラックアウトする。
すると、すぐ画面は変わり、今度は単なる廊下と斉藤が映った。
斉藤は服の内側から何かを取り出す。
そして、軽く振り被りそれを投げた。
カメラはそれを追うように動き、逃げ惑う警備員を映し出した。
そして、その物が床に落ち、高らかなガラスの割れる音がすると、一瞬、警備員全員
の動きが止まる。
そして、順番に倒れていった。
その警備員を悠々と避けながら、斉藤は歩いていった。
そして、曲がり角を曲がり、テレビの範囲から斉藤は消えた。
するとまた画面がぶれ、元の大柄な男が現れた。
「新しい報告がありました。警備員の一人がスーツを着た二人に発砲したところ、完
全に跳ね返したとの事です。新しいアンドロイドでしょうか?」
「………わからんな。とにかく、相手が斉藤なら手を抜くな。警察は………いま騒ぎ
をたてるとやばいな………火器の使用を許可する。アンドロイドの方はマシンガンで
試してみろ。斉藤は………爆風を使え。かなり大型火器でもかまわん」
「解りました」
そう言うと、画面は真っ黒になり、部屋の中はまた静かになった。
男はしばらく真っ暗な宙を眺めると、ドアの方に歩き出した。
白衣をドアの近くの棒に引っかけると、男は外に出た。
ドアが音をたてて閉まると、中は元の闇に戻った。
暗い部屋の中、ねずみの入ったガラスボックスだけが明るく光る。
榊は正門の金網の前で立っていた。
腰を落とし、軽く拳を握る。
長く息を吐き、吐ききったところで息を止める。
「……………………!」
急に目を開き、右の拳を放つ。
「カシュ」
静かな音がすると、金網は開き出した。
榊はその金網を避けるように中に入り、薄く電灯のつく建物を見た。
闇に大きくそびえ立つその建物に、榊は走っていった。
手際良く機関銃の用意をすると、警備員は美那達の前に走り出た。
「止まれ! とまらんと、撃つぞ!」
必殺の文句を必死に言い切るが、美那はあいも変わらず歩いてきた。
「ひ!」
警備員は恐怖に任せ、銃を撃った。
キーン!
美那は弾の当たった場所と跳ね返った弾の行方を目で追った。
「跳ね………返した………」
美那は自分が怪我をしていないことを確認すると、再び無言で歩き始めた。
「ひ〜〜〜〜〜〜!」
警備員は恐怖のためか、おもいっきりトリガーを引いてしまった。
弾が出るわ、出るわ。
撃ち尽くした600発。
全て撃ち尽くすとやっと落ち着きを取り戻し、目を開けた。
「いま………せんよね?」
もの見事に真っ白な煙が立ちこめ、1m先が見えない通路を、警備員は見渡した。
「いない…………いない! やったー!」
男は思わず、喜び叫ぶ。
しかし、残念ながら赤の美那は現れた。
警備員は、顎もはずれるほどに口を開け、唖然とした。
「後免ね」
美那はそう言うと、軽く警備員のこめかみを突いた。
警備員はそのまま後ろに倒れ込み、気絶してしまった。
「強いわー」
後ろから何もしていない菜緒が、感嘆の声をあげる。
「ほら、何してんの。遅れ気味よ。ちょっと近道するわ」
「えっ、近道?」
菜緒が聞くと、美那は天井を指さした。
菜緒が上を見ると、美那は沈み込んだ。
「先に行ってるわよ」
美那はそう言うと、飛び上がり、コンクリートなど物ともせず、そのまま突き破って、
二階まで飛び上がった。
そして、二階の廊下に降り立つ。
「菜緒!」
上から美那が声をかけると、菜緒も軽く沈み込み、飛び上がった。
そして、そのまま3階まで突き破る。
「あちゃちゃ…………」
美那は頭に手を当て、落ち込んだ。
上からひょっこり菜緒が顔を出す。
「ごめーん。まだ、力の加減できないの」
「まったく、何してんの。早く! 行くわよ」
美那は先に走りだした。
「はーい」
菜緒も降りてきて、その後を追った。
一方、斉藤の方は。
警備員は全員撤退した。
その誰もいない長い通路を悠々と歩いている。
「おっ?」
一人警備員が出てきたと思ったら、手榴弾を放り投げ、また逃げて行った。
ぽつんと、廊下のまん中に手榴弾だけコロコロと転がる。
「おいおい。本気かよ」
斉藤はそう言うと、近くに試験管の一本を放り投げた。
カシャーンと音をたて試験管は割れるが、何も起こらない。
しかし、斉藤は妙に落ち着いていた。
どっか〜〜〜〜〜ん!
恐ろしいほどの爆発音が廊下に響いた。
「いやー、すごい、すごい」
斉藤は、全然元気であった。
それもそのはず。
試験管が割れた所から斉藤側には何も被害がないのだ。
そして、逆側は…………
想像はつくでしょう。
左側に外の暗闇と草地が望め、右に黒くなった部屋の中が見えた。
そして廊下の奥に、隠れていた所が半壊し、真っ黒になっている警備員の顔が見えた。
「はー、なかなか強かったな……この反射版。全て、向こう側に持って行ったはずだ
から、威力は倍か………。いやー、南無阿弥陀仏」
それを聞いてか、警備員はそのまま後ろにぶっ倒れた。
「この部屋までは入れますまい」
社長室では、ここの責任者と安田とか言う警備員がいた。
安田は言葉を続けた。
「厚さ10センチの鉄の壁。そして、この新素材で作ったドア」
安田は自分の演説に少し酔いながら、部屋の中を歩き回った。
責任者は疲れ気味に椅子に座り込んだ。
安田は続けた。
「たとえ、あの怪物どもでも侵入は無理です」
ドアを叩きながら安田は言った。
責任者は顔を落とし、呟いた。
「だといいな……」
「は?」
「私たちの方が早かったみたいね」
美那は集合場所のはずの部屋の前に突くと、立ち止まった。
「ふー。ノブはなしか。叩き割るか………」
美那は例の如くふりかぶり、ドアの中心を突いた。
しかし、わずかに曲がっただけで、ドアは全く開かなかった。
「! 今までと違うわ!」
美那は再度ふりかぶり、ぶっ叩いた。
かなりへこんだが、しかし、まだ大した傷ではなかった。
「こまったわ……………」
「姉さん」
「え?」
いままでずっと後ろについて来ただけの菜緒の方を向いた。
菜緒はすっと前に出た。
「菜緒………」
「やらしてくれる? 一回だけ………」
「…………いいわ」
美那はすっと後ろに下がり、菜緒に場所を開けた。
菜緒がその場所に移る。
菜緒はそのドアに手をついた。
「おもいっきり…………心にあることを全て、叩きつけてやりなさい」
菜緒はこくりとうなずくと、美那よりも大きくふりかぶった。
「お父さんや、お母さんを奪った研究所なんて………」
そして、懇親の力を込めて、はなった!
「壊れてしまえ−−−−−!」
その途端、壊れるはずのないドアはまっぷたつに割れ、安田もろとも壁にたたきつけ
られた。
もうもうたる煙の中、赤とピンクのスーツを着た美那と菜緒が現れる。
二人はゆっくり歩いて、中に入ってきた。
すぐその後に斉藤も中に入ってきた。
責任者の顔に初めて緊張の色と、冷汗が流れた。
「さっ、斉藤! いったい何のようだ!」