AWC 機械少女 −3−   作 うさぎ猫


        
#587/3137 空中分解2
★タイトル (CWJ     )  90/ 9/ 2  15:26  (190)
機械少女 −3−   作 うさぎ猫
★内容
 SYSTEM LADYシリーズ1

  女の肢体が舞う。
排泄物と臓物と血のなかで・・・
女の穴という穴に流れ込む異臭。
 異界から舞い降りた妖怪たちは、新鮮な肉を欲した。
ぼろぼろと砕けるおのれの肉をとどめておくには、新たな肉が必要だった。
 そして、性欲を満たすための肉体が必要だった。
 だから女を犯した。犯しまくった。
そして、その肉体と血を自分のものにしていった。
 女の股を開き、そこに埋没した恥部へ己の太く巨大なものをぶちこんだ。
女は痙攣を繰り返し、いままでに味わったことのない快楽に溺れ、死ぬ。
妖怪たちはそのあとで腹を引き裂いて、臓物をむさぼり喰うのだ。
 すでに空間は曲り始めていた。

        ・・・すでに神は死んだのだろうか?




 民太はおもしろくなかった。
もうすこしでゆき子と愛し会えたのに。
 「なにブスッとしてんだよ」
瓜之介は車を運転しながら、後部座席でふくれる民太を見た。
 「べつにぃー」
民太は外を見たまま、瓜之介のほうを見ようともしない。
 「ったく、ロボットを犯してるヤツなんか初めて見た」
 「うるさいなぁ、ゆき子にセクサロイドの教育してたんだよ」
瓜之介はキョトンとして聞き返す。
 「ゆき子ってセクサロイドだったのか?」
 「セクサロイドちゃうもん、システムレディだもん」
助手席に座っていたゆき子が会話に割り込む。
 突然、瓜之介はブレーキを力一杯踏んだ。
 「痛てえなあ、なんだよ突然」
急ブレーキで、前の座席に頭をぶつけた民太が文句を言う。
 「あれはなんだよ」
瓜之介が指をさした方には、100人近い警官が集まっていた。
  「なんだろうねぇ」
民太はのほほーんと言う。まるで感心がないのだ。
 「ヘンだと思わんのか?」
瓜之介の突っ込みに戸惑いながらも、民太には事情が飲み込めてないようだ。
 「おまわりさんがいっぱーい」
ゆき子だけは無邪気にさわいでいた。

 そこには、バラバラ・・・いや、原型などとどめていない肉片が真っ赤な血
の海に散らばっていたのだ。
 県警の警官たちは総動員でこれにあたっていた。
一人の若い警官が鼻をつまんで肉片を見た。とにかく臭いのだ。
 その時、その肉片が動いたように見えた。
 「まさかな」
見間違いだろうと自分に言い聞かせ、そこを離れようとしたとき、周りにあっ
た肉片がいっせいに警官に飛びついた。
 「ぎゃぁー!」
周りにいた他の警官たちにもそれは襲いかかった。
警官らの肉は真っ赤になって熔け、ドロドロと肉片に同化していった。
 応援に駆け付けていた婦警は、はだかにむしられて肉片にその体を撫で回さ
れた。
肉片は婦警の体を存分に堪能したあと、他の男子警官と同じ様にその肉体を溶
かしていった。

 それらを一部終始見ていた瓜之介や民太は恐ろしくなり、猛スピードで車を
出した。
 「なんだったんだよ、あれは!?」
惨事が見えなくなってから、瓜之介は震える口でしゃべった。
 「俺が知るわけないだろ、こっちが聞きたいくらいだ」
 「あれはメモリーに登録されてないよぉ。あんなものが他にもいるの?」
ゆき子が不安そうに聞く。
 「だから知らんといっとるだろ!」
瓜之介はとにかく防空豪あと地へと急いだ。
とりあえず、そうするしかなかったからだ。


 そこは殺風景なところだった。
柵がしてあり、中に入るなと書かれた看板があったが、警備している様子はな
かった。
 なぜなのかはすぐに解った。
皆、死んでいたのだ。
 ただ、防空豪入口で、一人震えている青年がいた。
近藤多一郎である。
 「マスター!」
ゆき子の声に振り向く多一郎。顔はやせ細り、体中キズだらけになりながらも
目を輝かせながら微笑んだ。
 ゆき子は多一郎の胸に飛び込み、泣いていた。
 「マスター可愛そう。こんなにキズだらけになって」
 民太はぼーっと防空豪のなかを覗いていた。
奥のほうで、赤や青の光が点滅している。
 「あれはなに?」
多一郎の顔が険しくなる。
 「ユキコシステムのなれのはてさ」
瓜之介の顔がパッと明るくなった。
 「システム完成したのか!?」
しかし、キッと多一郎は瓜之介をにらんだ。たじろぐ瓜之介。
 「あぁ、完成した。おたくらの注文どうりにね」
 「どういう事だよ」
 「あれは、とんでもない機械だ。僕がもっと早く気がついていたらよかった
のに、まさかあの機械が・・・」
瓜之介にはなんの話しだか、まったくわからなかった。
 「あの機械は空間をゆがめてしまうんだ。設計図を渡されたときになぜ気が
つかなかったんだろう」
 「空間って・・・じゃぁ、早く止めないと」
どうやら、設計図にミスがあったらしい。それに気がつかず、そのままシステ
ムを組んだために、ミスはバグとなって残った。重大なバグとなって。
瓜之介の脳裏に、先ほど警官を飲み込んだ肉片の残像がよぎった。
 「だめなんだ」
多一郎がグッタリとして否定した。
 「なぜ? 電源を落とせばすむことだろ」
 「自己防御機能が働いている。電源を落とせばシステムは爆発するんだ。」
 「そんなバカな」
 「いや、本当なんだ。それに防御機能というのは、近付いたものを敵と判断
して排除しようとするから、システムに触れることすら出来ない。」
瓜之介は防空豪の周りに散乱する死体を見て納得した。
おそらく、システムの暴走を止めようとして排除されたのだろう。
 「方法は一つあるよ」
ゆき子が多一郎の胸のなかで言った。
驚く多一郎。
 「方法なんてないさ」
でも、ゆき子かぶりを振り、自信満々に答える。
 「自己防御機能で排除されるのは、本物の肉体をもった者だけでしょ」
多一郎はゆき子の言った事が信じられなかった。それは瓜之介や民太も同じだ。
 「おまえ、なに考えているんだ」
 「ゆき子の皮膚は特殊シリコンだし、骨はセラミック。つまり、システムは
ゆき子の事を同類と見るわ」
 「でも、電源を落とせば爆発する。おまえも一緒にだ」
ゆき子は、やさしい微笑みを浮かべていた。
多一郎をジッと見つめながら、一粒涙を流した。
 「ありがとう。マスターやさしいから好きだった。でも、ゆき子はシステム
レディだから、人々の役にたたないといけないの」
そう言って、多一郎から離れる。
 「民太さん言ったよね。人々に愛を分け与えなければいけないって」
民太はあわてて弁解しようとする。
 「違う、そんな意味じゃ・・・」
 「ううん、ゆき子しかやれない事だもの」
多一郎はゆき子を捕まえる。
 「バカ言うんじゃない。おまえはそんなこと考えなくていいんだ」
ボコッ!とゆき子のチョップが多一郎の首筋にあたる。多一郎は気絶してその
場に倒れた。
 「ごめんなさいマスター。最初で最後のわがままを聞いてください」
そして、民太と瓜之介の方を見て。
 「マスターの事、おねがいしますね」
そういって防空豪に駆け込んだ。
 民太も瓜之介もどうしていいかわからずオロオロしていた。
そして、爆発に巻き込まれない所まで多一郎を運ぶのが、ゆき子に対する気持
ちだと考えて、多一郎を車で輸送する事にした。
 出発前にフッとゆき子の事を思い、2人の男の目には涙がいっぱい溜ってい
た。


 それから、どのくらいの時間がたったのだろうか。
車を丘の上に止めたまま、長い長い時がすぎたように感じた。
 民太がなにげなく時計を見たとき、西の空が光った。そして轟音。
皆、なにも言わなかった。
 ただ、瓜之介は再び車を走らせた。ゆき子と別れた防空豪へ向かって。

 荒れていた。防空豪は影も形もなかった。
いちめんの焼け野原。
その静寂を破るように、パトカーがけたたましいサイレンを鳴らしながらやっ
てきた。
 「おまえらそこで何をやっとるんだ!」
パトカーから降りてきた警官が怒鳴り声をあげる。
 「なんだぁ!?」
民太に底知れぬ悲しみと怒りが襲ってきた。
 「いまごろノコノコ現れやがって、貴様らがなにをしてくれた!」
民太に怒鳴り返され、ひるむ警官。
 「ゆき子が死んじゃったじゃないか。あんないい子を・・・」
民太はそこにうずくまり、泣いた。ゆき子の微笑みが脳裏をよぎる。
作り物なんかじゃない。ゆき子は人間以上に人間らしかった。
 その時、ガタッと、地面に敷いてあった鉄板が動いた。
多一郎の顔色が変わる。
民太も立上り、駆け付けた。
 「鉄板をはがすぞ!」
瓜之介が叫ぶ。男たちは、ぶ厚い鉄板をはがしにかかった。
そして、鉄板の下から少女の手が出たとき、皆に笑顔が戻った。
 「ゆき子!」
 ゆき子は防空豪の一つ下の層にすべり落ちていたのだ。
そして、その上に偶然に鉄板がかぶさった。
勇気ある一人の少女は助かったのだ。


 「おーい、ニュース見てみろよ。国家警察は今月いっぱいで解散だってよ」
瓜之介が、奥でパソコンをつついている多一郎を呼ぶ。
 「コーヒー入りましたよぉ」
ゆき子がコーヒーを持ってきた。
つい最近、コーヒーの沸かし方を憶えたのだ。
 「大丈夫かよ、この間みたいに砂糖と塩まちがえてねえだろうなぁ」
 「大丈夫だもん。もう間違えないもん」
そんな時、玄関で大きな声がした。
 「たいちろーくーん、腹へったよー」


               機械少女 −完−




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