#579/3137 空中分解2
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宮田氏の死の理由(4) 男爵
★内容
そう言って、机の引き出しから白い粉が入った袋を取り出し、机の上に置いた。
「砂糖じゃないぜ。嘗めてみな。」
増田は袋をおそるおそる取ると、袋の中の粉を指につけて嘗め、眉をひそをめた。
そんな増田を見て中崎は続けた。
「これを盗んできたから麗子の手元にはもうヤクはなかった。だから昨日はかなり
精神がたかぶってだろう。そこにあの手紙だ。」
「手紙にはなにを書いた?」
「ただ、”別れてくれ”と書いただけさ。それにあの50万だ。あのお嬢さんのプ
ライドが傷つけらたのは言うまでもない。」
「50万みたいな、はした金が手切れ金じゃあな。」
「それに札束送って、”はいさようなら”はかなりの侮辱だし、手紙だったという
事もかなり侮辱だ。それに加えてヤクで精神が高ぶっている。だから激情のあまり
二人を殺しちまったのさ。」
「お、おまえこれを計算してやったのか?」
「ああ。成功確実だと思って、山田に申し出たんだ。」
「凄い男だな、おまえって奴は・・・。」
「当然の評価だな。」
と言って、顎をさすった。
「しかし、手紙が宮田からではなく、おまえが出したことが警察にばれたらどうする
んだ?」
「それは有り得んね。まず、怒り狂った麗子は侮辱的な手紙をちりぢりに破くのが自
然だろ?それがなくても我々の指紋は付いていないし、付いていたとしても我々だと
は分からないさ。まあ、宮田の指紋がついていない事はまずいが我々まで捜査の手は
届かないさ。日本で一番売れてるパソコンで書いたし、普通の印刷用紙を使ったし、
何も問題はない。」
「山田が喋ったら?」
「それも有り得んよ。奴には家庭がある。あんな気弱な男が家庭を捨ててまで罪をか
ぶるとは思えんし、喋ったとしても警察は手紙を書いたのは我々だとは断定出来んよ。」「なるほど。ところで、おまえはこの仕事をづっとやってくつもりか?」
「勿論だ。こんなに面白い仕事はない。おまえは反対か?」
「いいや。おまえがやると言うんだ。俺がやらない分けにはいかないだ
ろう?それにしてもおまえには情って物はないのか?」
「ないね。今回の事件のように情があるから心に隙が出来る。隙が出来るとそれにつけ
こまれて、破滅する。だから、俺には情など下らん物はない。」
「その隙におまえがつけこむ分けだ。悪魔みたいだな。」
「なんとでも言ってくれ。」
そういうと中崎は椅子を回転させ、窓の外を観察し始めた。外には通勤する背広姿
が群がっていた。
−−−−−終わり−−−−−