AWC 憂鬱(24行)       アンゴラ


        
#1807/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (QDA     )  89/ 9/ 3  14:47  ( 24)
憂鬱(24行)       アンゴラ
★内容

 夏休み最後の日、社会の環境問題をやっているとき、不意に、
「僕たちの命が、量り売りされてるよ」
 皮肉っぽい口調できみが言う。きみは、原発問題に一生懸命取り組んでいる。
「え?」
「原発だってば。何人死ぬか、死んだら補償金はいくら出すか、って」
「ああ」
「十把一絡げにされて、僕たちは死ぬんだね。死ぬって、どんな気持ちだろ。命
の価値ってどれくらいだろう。いくらで取り引きされるのかな」
「そんなの、わかんない‥‥」
 本当に困る。きみはいつも、突然に難題をふっかけるから。
「「「せめて、お墓だけは確保したいな。もっとも、日本がここに残っていれば、
の話だけど」

 足音が聞こえる。もうすぐ、何もかも終わる。破滅する足音。
「そんなのきゆうに過ぎない」って言ってくれる人は、どこにいるの?説得力の
ある答えを知りたい。
 でも、そんな人はどこにもいない‥‥
 だからせめて、この地球が、21世紀まで持ちこたえますように‥‥‥‥

 「「いいや、持ちこたえないよ

 風の中、そういう答えを聞いた気がした。
                                                                アンゴラ




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