#1806/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (XKG ) 89/ 9/ 2 14:46 (104)
大型リレー小説最終回「白鳥座へ愛をこめて」クエスト
★内容
ここまで書いて私はキーボードから離れ、ため息をついた。
「うーん、どうも自分の名前がもろに出るような展開になってしまったなー」
「読み返しても照れくさくてかなわんなー」
グー星人の陰謀、侵略に、生命体としての地球=ガイアの化身となって今
や世界の中心、島流しなんかではないカイロン島で仲間と共に死闘を繰り
広げるという...それも今回で終りか、どうしよう...
「ふおっほっほっほ、はーはっはっは」
「お、お前はグータラダッタ!またの名を暇だから秋本!」
「こっこら、クエスト、本名を言うな!」
「ふん!だじゃれの呪文を唱え、頭が四角いのは秋本に決ってらい!」
「やかましい!それ、インテンバベランナマイカサンソフィアナガドラクエ
スト、文学の墓場からのたたりじゃー、もっと混乱しろー」
「うわーーーーーー、売れない作家秋本!やめるんだー」
「歯歯歯、無理やり私を引っ張り出した報いです。5位で充分です、歯歯歯」
アメリカタンバは勇気の印
24時間闘えますか!
ビチョレスキー ビチョレスキー
「おお!手児奈さん!ようこそAWCへ!違った私のマンションへ」
「杉野森さん、頑張って!グータラダッタの策略なんかに負けないで!」
「ありがとう手児奈さん、君はほんとにかわいいねー、僕とセックスしよー」
「ずぅえーったいにいや!バタン!」
「あーあ、帰ってしもた。仕方ないから続きを書くか...」
ナインは一致協力して2001のモノリスとウシロモンを重ね合わせた。
それから1ヶ月はなにも起こらなかった。というのは嘘で、それはまたたく
まにすさまじい輝きを放ち始めた。
「おお!」
「いやー!」
モノリスとウシロモン、この二つの物体が合わさった時、核融合にも似た
巨大なパワーが発生する。
喜三郎、手児奈、そして仲間達はめくるめく光と音の洪水に包まれて、再び
時空を越える波動に巻き込まれていった。
「うーむ」
「はて?」
カッと照りつける太陽の下、審判団はグーチョキパーの理論的解釈に苦し
んでいた。
野球以外にはイノセントな松本喜三郎の疑問提示、これがそもそもグー星
人の地球侵略の野望とシンクロしてあの悪夢のような展開をもたらしたので
あった。全ては振りだしに戻っている...
「いやー、それはやねー」
中年の男が口をはさんだ。唐突なことであった。
「あんた、誰ですか?」大目立主審がとがめた。
「いや、その、外野、ガイア(ばんざーい)代表としていうんやけど、グー
もチョキもパーも皆強いというか、大事なんやね。その、勝ったり負けたり
ですわ人生は。たまたまグーはチョキに勝ってパーに負ける。そういうこと
やないかなー」
「ああ、そうですか、なるほどよくわかりました」
喜三郎はすぐ納得してじゃんけんに応じた。
そしてパーを出して負けるとマウンドに向かった。
「え?あれ?今の人杉野森君に似ていなかった?」
梅田手児奈は首をかしげて隣の杉野森弥三郎にいった。
「うーん、実は今梅田さんに何かとても大切なことを言おうとしてたんだけ
ど、あのおっさんが入ってからおかしなって忘れてしもた...グーがどうとか」
「何それ?杉野森君ちょっと変!おっかしぃー!」
この時グー星人達は彼らをおとしめる5>2>0のパラダイムから解放
されて故郷の白鳥座星系へと次元を越えて引き返し始めたのであった。
ティハヤの導きによって。
「それはともかく、ねえ梅田さん、この試合が済んだら僕の家にきやへん?」
「え?」
「いや、たいやき君やったかなー、手児奈ちゃんの好きなCDあんねん。
よかったら一緒に聞こか思て(その後でセックス...)」
「うん!いく!(杉野森君ってインテリの紳士だしぃ)」
ライバルの口説きも知らずに松本喜三郎は第1球を渾身の力で米俵高校の
先頭打者に向かって放った。
「ストライーーーークッ!」主審の声がグラウンドに響き渡った。
ほんのささいなことからバランスが崩れ、悪夢のような世界が始まる。
地球、この美しい惑星は案外ごく微妙なバランスによって支えられている
のかも知れない。オゾンホール、砂漠化、飢餓などの問題はそのことへの
無知から生じていると言っていいだろう。
そしてまた白鳥座星系からの次元を越えた侵略も、いつ再び始まるかも
知れないのだ。
私達が力を合わせてこの惑星を守っていくことが今何よりも大切なこと
ではないだろうか。
明るく無垢な情熱が球場を支配していた。ここは甲子園よりも素晴らしい。
手児奈と弥三郎も精いっぱいの応援を力投する喜三郎に送っている。
誰もが喜々として心を1つに合わせている、それこそが生命体としての
地球=ガイアと人類とが一つになって平和と繁栄を続けていくための条件で
はないだろうか。国籍や人種や社会体制の違いを理由に争っている時間も
余裕ももはや私達には残されていないのだ。
この物語はここで終る。けれども本当の物語は今これを読んでいるあなた
の住む現実の世界で進行中なのだ。だから大勢の仲間と力を合わせて、
素晴らしい物語をぜひ書いていってほしい。あなた自身の手で...
ティハヤ、私はガイアの化身ではなくその一部に過ぎませんが、あなたの
おかげで少しだけこの地球を危機から救うヒントをここに提示できたように
思えます。ありがとう。私はこれからもあなたの声に耳を澄まし続けること
でしょう。
白鳥座へ愛をこめて。
大型リレー小説 「完」..