AWC センロック・SHORT STORY ー秋本 89・8・20


        
#1780/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (TEJ     )  89/ 8/20  10:56  ( 57)
センロック・SHORT STORY ー秋本 89・8・20
★内容
「ずいぶん、飲んでるわ、トン君」
うさぎ。カウンターのとまり木に座っている。その隣に豚。
「ブタでいいよ」
「そんなこと云っちゃ、だめ」
豚、バーボンで顔が真っ赤。
「いいさ。ブタはブタなんだ」
うさぎは新しいカクテルをオーダーする。
「わたしもブタだったら……よかった?」
豚、うさぎの目をみつめる。
「いや」
うさぎ、豚のグラスをとって、バーボンにちょっとだけ口をつける。
「これって、おいしいの?」
豚はうさぎからグラスを取り返す。
「いいんだ」
カクテルが来る。
「わたしのこれ飲んでみる?トン君」
豚はライト・ブルーのカクテルをじっと見つめる。
「そんなに甘くはないわよ」
豚、ポケットから薬を取り出す。
「あら、何?」
「胃ぐすり」
豚は9錠を数えて、口に入れる。
「そんなに?」
豚、グラスを取ると、カクテルを一気に喉に流し込む。
「あっ、だめ」
うさぎは驚いて声をあげる。
「甘すぎたんだ、結局」
豚は空のグラスをカウンターに置く。
「そんなこと」
「いいんだ。そうなんだ」
うさぎは空のカクテル・グラスを手元に引き寄せる。
「トン君……」
豚はカウンターに額をつけるーPut his head onto the counter.
「ブタなんだ、ぼくは」
「違うわ。トン君はトン君」
うさぎはとまり木からピョンと跳び下りる。
「トン君はトン君、トン君、トン君、トン君、トン君」
うさぎはそこら中をはね回る。
「いいんだ。ブタはブタなんだ」
豚は目をつむる。
「トン君はトン君、トン君、トン君、トン君、トン君 トン君、トン君、トン君、
トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、トン君 トン君、トン君、トン君、
トン君、トン君」
豚、しだいに眠くなってくる。
「トン君、トン君、トン君、トン君 トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、
トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、
トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、
トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、
トン君、トン君、トン君、トン君、「……ブタはブタなんだ」トン君、トン君、
トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、
トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、トン君、トン君・・・・」

         飲みすぎ、胸やけ、胃のいたみにセンロックー新発売



*服用の際は使用上の注意をよく読んでからお飲み下さい




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