#1779/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (TEJ ) 89/ 8/20 1:45 ( 49)
エピック・SHORT STORY ー秋本 89・8・19
★内容
「そりゃあ、あたしだってさ。暗くなっちゃうってこと。あるよ」
圭子はバーのカウンター。煙草に火をつける。
「自分のこと、あたしって云うの。やめろ」
隣に男。バーボンから、次はウイスキーのダブル。
「どうして?」
男は圭子を見ない。
「似合いすぎるだろ」
圭子は男の横顔に視線を押しつける。
「どうして?」
男は喋らない。
「どうしたの?ねえ。どうして、そんなこと云うの?」
男は喋らない。
「かんじんな時。あなた、いつだってそうね」
男はグラスをカウンターに。
「肝腎な時じゃあ、ないさ」
圭子の煙草の煙。スポットの中に浮かぶ。
「あたし達、この夏。どこも行ってないね」
男、グラスを口に運ぶ。
「水着、買っただろ」
「そうよ」
男はウイスキーを喉に流し込む。
「だったら、いいだろう」
「よくないわ」
店内には軽く音楽が流れている。
「ありきたりな台詞を云うな」
圭子は右手でクリスタルの灰皿を引き寄せる。左手には煙草。
「ねえ、どうして、あたしって云っちゃいけないの?」
男、目をつむる。
「しつこくなったな、このごろ」
圭子は煙草を灰皿で揉み消すーPut out her cigarette.
「しつこいって云うのはねーあたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あた
し、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あ
たし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、
あたし、あたし、「いつまででも云ってろ、ばか」あたし、あたし、あたし」
男が立ちあがる。
「帰るの?」
「続けてろ、よっぱらい」
男はスーツの襟を正す。
「あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あた
し、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あ
たし、あたし、あたし、あたし、男が去っていく、あたし、あたし、あたし、
あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、
あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし、あたし・・・・」
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*未成年者の喫煙は法律で禁じられています