AWC お題>『傘』第3弾・中型時代劇《刃渡り人》・・・・天津飯


        
#1536/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (NQC     )  89/ 4/13   6:39  (129)
お題>『傘』第3弾・中型時代劇《刃渡り人》・・・・天津飯
★内容
幕府指南役 早乙女清十郎の道場に一人の浪人者が道場破りに現れたのは
堀川沿いの桜が葉桜に代わろうとする卯月も末の頃だった
清十郎の娘 志乃がお供の女中を従えて琴の稽古から帰ると
門弟の島崎主税が血相を変えて志乃を迎えに出て来た
「たっ、大変です!お嬢様」
「どうしたのです 島崎様そのように慌てて」
「師範代が道場破りに たった今・・・」
「やっ、やられたと申すのか!」
「はっ、はい」
「父上は?」
「登城中にございます」
志乃は島崎をお城に父上の迎えにやらすと道場に駆けつけた
道場に立ちこめる血の匂いに志乃は「うっ!」と一瞬立ちすくんだ
道場の中は惨たんたる有様だった 浪人者はどうやら真剣勝負を望んだらしい
師範代を始めとして門弟のことごとくが無惨にも正面から額を割られて絶命していた
「でっ、出来る!!」                                テダレ
志乃はその太刀筋から一目でこの浪人者が薩摩の示現流の手練であることを見抜いていた「ほう お主はここの娘か ご覧のとうり この道場の門弟どもは弱くて話にならん
娘 看板は貰って行く 悪く思うな」
「お待ちなさい! 看板は渡しませぬ 私がお相手しましょう」
浪人は志乃の顔を穴の空く程見つめた それから ゆっくりと
志乃の頭のてっぺんから足の先まで嘗め回すように見て
ニタリと好色そうな笑いを浮かべた
「ほう それは面白い俺は真剣勝負しかやらんが それでもよいのか?」
「望むところじゃ!」
志乃は道場の壁に架けられた愛用の薙刀を手に取った
「惜しい! 娘それほどの美貌を持ちながら何故そう散り急ぐ」
女とはいえ志乃は北辰一刀流免許皆伝の腕前だった
道場では師範の父清十郎に次ぐ腕前なのだ
この浪人がいかに凄腕とはいえ志乃を女と思ってなめてかかれば
たちどころに斬り伏せられただろう
しかしながら相手がジリジリと間合いを詰めて来るにつれて
浪人者が並々ならぬ使い手であることがヒシヒシと伝わって来た
「ええいーーーっつつ!」
裂ぱくの気合いもろとも浪人の太刀が斬り下ろされたのと
志乃の薙刀が弧を描いて浪人の足を払ったのが同時だった
浪人の太刀は機械のように正確に志乃の着ている着物を
下の肌には かすり傷一つ付けずに志乃の豊かな躯の曲線に沿って見事に断ち切っていたサラサラと衣擦れの音がして志乃はいつのまにか裸で薙刀を構えていた
浪人が平然と立っているのを志乃は不思議な気持ちで見ていた
「具足を付けているのだろうか・・・?」
確かに足を薙払った手ごたえがあった
本当なら浪人はすでに両足を失っているはずだが・・・
志乃の裸体を目にした浪人の目は急にメラメラと欲望に燃え上がった
腕の差はあまりに歴然としていた 志乃はこれほどの使い手を初めて見た
「どうだ娘まいったか 今なら命だけは助けてやる そのかわり俺の女になれ」
「ぶっ、無礼者!!」
志乃の薙刀がうなりを上げて浪人の躯を襲ったが
浪人に手もなく払われて薙刀は志乃の手を離れて
道場の隅の方まで転がっていった
「ふふふっ 娘 俺のものになれ! 言うことを聞けば命だけは助けてやる」
「俺のものになれ!」
浪人が逃げる志乃の腕を掴んだその時
「ありがとうございます!!!」
とんでもない場違いな声が道場に明るく響いた
驚いた浪人者が振り返ると  そこに二人の男が立っていた
派手な海老茶の袴を着けて 一人は手に傘を持ち
もう一人は刀を持ってはいたが殺気というものがまるで感じられない男達だった
だっ、誰だお前達は
「ありがとうございます!!!」
「染太郎」
「染之助」
「二人合わせてソメソメ隊!!!」
その言葉の終らない内に刀を持った男の躯が宙を跳んだ
男は浪人の頭上を跳び越えざま見事な居合抜きで浪人の首をはねた
もう一人の男が弧を描いて飛んで来た浪人の首を傘を開いて器用に受け止めると
クルクルと傘の上で転がした
「ありがとうございます!!!」
「染太郎」
「染之助」
「二人合わせてソメソメ隊!!!」

「俺のものになれ! 俺のものになれ! 俺のものになれ!・・・」
浪人の首が傘の上で転がりながら 狂ったように繰り返していた
「娘さん もう大丈夫です」
「かっ、かたじけない 礼を言います」                  レプリカント
「この浪人者は旧都心東京からここEDOに逃れてきた戦闘用影武者なんですよ」
「無茶しないで下さいよ お嬢さん
影武者は機械のように正確に ロボットのように無表情に人を殺します」
「なんせ機械なんですから 刀もセラミック刀でないと刃が立たないのですよ
こいつらには」
「こっ、こいつらって? まだ居るのですか?」
「ええ 4体逃げ出してEDOのこの付近に潜入していることが確認されています」
「4人とも殺人狂で ものすごくスケベなんですよ」
「そっ、そうなの ところで貴方達は何物なの?」
「あの凄腕の浪人を見事な居合抜きの一太刀でしとめた腕はただ者ではないわね?」
「ありがとうございます!!!」
「染太郎」
「染之助」
「二人合わせてソメソメ隊!!!」
       レプリカント          ブレード ランナー
「私達は影武者狩りのプロ 刃渡り人!!」
「それより お嬢さん お怪我は有りませんか?」
「あっ!・・・」
志乃は二人の視線で初めて自分が裸であることに気ずいた
羞恥で首まで赤くなりながら慌てて斬り裂かれた着物で胸を隠そうとすると
男がその腕を押さえた
「お嬢さん わざわざ その美しい胸を隠す必要は有りませんよ」
いつの間にか男達の目は欲望でメラメラと燃えていた
驚いた志乃が男の腕を振りほどこうとしたが
男達は物凄い力で志乃の躯を組敷いた
「あれれーーーっつつ!!!」
志乃の衣を裂くような悲鳴が道場に響き渡ったその時一人の男が何処からともなく現れた「控えろ!狼籍者!」
「だっ、誰だ! お前は!」
「ふふ 俺の名は人呼んで破れ傘骨接ぎ堂」
「鐘突き堂とやら 命が惜しくば 邪魔だていたすな!」
その言葉の終らぬ内に染太郎の躯が骨接ぎ堂の上に跳んだ
染之助は既に傘を開いて首の飛んでくるのを待っている
二人のチームワークは完璧だった
しかし 飛んで来たのは歯と目を剥いた染太郎の首だった
次の瞬間染之助の首もまた弧を描いて飛んだ
二つの首は転がりながら狂ったように繰り返した
「ありがとうございます!!!」
「染太郎」
「染之助」
「二人合わせてソメソメ隊!!!」
「ありがとうございます・・・」

「娘御 大丈夫かな 歯歯歯!」
志乃は手を取られてヨロヨロと立ち上がった
「危ないところを かたじけない」    テダレ
「破れ傘玉突き堂とやら あの恐るべき手練の二人組をアッというまに
始末なされた手際は ただ者ではない・・・」
ハッ!と気ずいた時には破れ傘骨接ぎ堂の目は欲望でメラメラと燃え上がっていた

                                  完
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