AWC お題「傘」(短編)                 明神 琢


        
#1529/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (XAD     )  89/ 4/ 9  16:27  ( 22)
お題「傘」(短編)                 明神 琢
★内容
 確か真由美と会ったその日も、雨が降っていた。俺は、駅前のパン屋の軒先で
雨宿りをしていた。そこへ真由美が声をかけてきた。
「いかがですか。」
少々、面食らった。時々、電車の中で見かける子だった。なぜ、真由美が声をか
けてきたのだろう。まるで、テレビのドラマの1シーンではないか。今から考え
れば、とても不思議な気がする。でも、あのとき、真由美を見たときに普段とは
違う何か引かれるものを感じたのも本当だった。
こう考えてみて、不思議に思うのに、あのときは何も感じなかった。いや、気持
ちが高ぶっていて、理由なんて考える余裕はなかった。
 それがきっかけとなって、俺は真由美とつきあうようになった。
俺は、雨男で、真由美が雨女。いつも、俺は傘を持ち歩かない。真由美は、いつ
も傘を持っていた。デートの時も雨の日が多かった。映画を見に行ったときも、
野球を見に行ったときも。
 そして、今、俺たちは違う道を歩こうとしている。やはり、今日も傘の中。そ
して、降りゆく雨を見ながら、二人は最後の会話を楽しんだ。
 ついに俺は、彼女のほおにキスをして傘を離れた。すぐに俺は、前が見えなく
なってしまった。立ちつくす俺のほおで、熱いものと雨が混じり合っていた。
 雨はいつまでも降りつづく。。。

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 初めてのUPです。今後とも、宜しくお願いします。




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