#1503/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (AWC ) 89/ 3/29 16: 9 ( 32)
TIME、TIME、TIME クエスト
★内容
高校だとか大学まではまだいい。もちろん、あの受験勉強は思い出しても
辛さが蘇るが、自分の先行きを自分で決められる、まだそんな感じがあった。
ところが、学校を出てからは過ぎ行きそして変化していく時の流れのなか
で様々な問題を自分で解決していくことが必要になってくる。
それまで、両親を始めとする身の回りの人が解決してくれていたいろいろ
なことを。
それは一人立ち、巣立ちというか、本当は清々しいそして素敵なことなん
だろうが、自分及び自分を取り巻く渦、嵐のようなものに果敢に対決してい
かねばならぬ大変なことでもあるのだ。
職業、結婚がその中でも最も重大な判断や努力を必要とするものだが、
往々にして過ぎゆく時の流れの中で方向を見定めることに苦しむことになる。
それは極めて人間的な悩みなのだろうし、誰もが経験する辛さなのだろう
が、落ち着いた日常の中ではかいま見ることもあまりないだろうけれど、そ
ういう渦のような世界が確実にあるのだ。
心というものの要求を社会が満たしていない、まず社会があって、個人が
社会の要求に応じていきている、さらに自分の体においてさえ肉体は生物学
的要求や原理に応じていて、例えば不老不死だとかいったことは不可能であ
る。
つまり、人間存在とは極めて限定された状況の中でのあがきなのかも知れ
ず、そういったことを思い巡らすあまり不安がこうじ自殺してしまう人もい
るくらいだ。
文学の役割の一つはそういった個人の持つ様々な思いや悩みを普遍的な形
式で表現することで、日頃人前では伝えあえないことを書き記すことにより
多くの人に慰め(解決不可能なことにたいして)や希望(解決可能なことに
たいして)を与えることだと思う。
もちろん、現在世に流通している書物の大半は趣味、娯楽のためであって
小説などもその中に含まれているが、個人としての人間存在の基本条件が昔
と特に変ったわけでもないし、楽しく気楽に生きて行けるようでもそうでは
ないことに気がついた時、その人はまた違った目で小説を選ぶようになるこ
とだろう。