#1455/1850 CFM「空中分解」
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ユミアウラ創生紀 第4話<光の一族 キンセイ>(2) 舞火
★内容
キンセイの瞳が黄金色に光っていた。
渦の中心のたくさんの針が、闇にすいこまれていく。
と同時に。
強烈な光が、闇を切り裂く。
闇が悶えた。ようにみえた。
悶えた闇の中心に、さらに光の針を放つ。
突然。
闇が消えた。
明るい陽射しが降り注ぐ。その中で、より以上の光を放射しているキンセイ。力を集
中し、針に込めたための後遺症。
闇は光によりその力を相殺され、『聖なる石』により魔はその生を消滅させられた。
完全なる闇を、相殺して、なお、あまりある光を発する者ИИ光の一族キンセイ。
闇の魔を倒せる一族。
「キ、ンセイ」
ペルセフォネのかすれた声が背後に響いた。
ぴくり、と顔を起こしたキンセイは、振り返った。
少女神の心配気な表情に気付き、微笑む。
辺りが優しく和み、恐れを消し去る。慈愛に満ちた雰囲気。
キンセイは歩み寄りИИおお、大地母神ガイア様に似ていらっしゃる。思わず、ペル
セフォネは頭を垂れた。
キンセイの今だ輝いている手が、動けないデーメテールの足首に触れる。
「動かないでください」
淡い光が、掌から発せられ、足首に当たる。と、見る間に青く変色していた皮膚が美
しい肌色に戻った。
「もういいです」
「ありがとう」
キンセイの力を知っているデーメテールは、微笑み立ち上がった。
痛みはなかった。
「何なの」
ペルセフォネは間近で始めて見た、魔族とユミアウラの闘いに、そして、キンセイの
雰囲気に呑まれ、声が震えていた。
「キンセイはどんな怪我でも治す力を持っているのですよ」
ペルセフォネは呆然と母親を見、キンセイを見た。
「怪我……」
思い出して、キンセイの右腕の衣を捲り上げる。
キンセイの怪我は既に跡形も無く治っていた。よく見れば、その部分だけ、ほんわり
ピンク色の皮膚。新しい、生まれたての赤ん坊のような。けれど、切り裂かれた衣服が、惨めに垂れ下がっているため、どこか、痛ましげ。
「あ……」
思い出した。
キンセイが怪我をしたのは、自分達のせい。
もし、あの時キンセイがよければ、真空弾はペルセフォネ達を貫いていただろうと。
だから、よけきれなかったのだと。だから。
だから、キンセイが怪我をしたのだと。
「ありがとう……」
涙が頬を伝った。
「ありがとう。お母様の怪我を治してくれて。あたくし達を助けてくれて」
しっかりと母によりそうペルセフォネに、キンセイはただ微笑み返していた。
けれど、ペルセフォネは気が付いた。
どこか、うらやましげに見つめている瞳に。
キンセイは光の一族だという。
闇と闘う術を持った者。
そして、ユミアウラの母なる存在。
そしてИИ医術を司どる者。
ユミアウラの母は、光の一族。
では、光の一族たるキンセイの母は?
故にその瞳に寂しさを漂わす者。
ユミアウラだから。
かなえられぬ、思い。
<終>