#1425/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (CGF ) 89/ 2/ 5 22:29 ( 95)
オリンポス物語(1 <幽霊パニック!>(14) 舞火
★内容
「まさか?」
「だってそんな筈ない!ずっと見てたもの」
「じゃ、何で子供達が倒れるんだ!」
ユーキが呆然と言葉を発す。
と、同時に舌たらずの可愛らしい声が背後から、「うそだぁ!」「え?」
ジャミーがはっと振り向く。
「ねぇ、大丈夫よね。アナン達大丈夫よね!」
小さな女の子がジャミーの足にすがりついた。
いつの間にかアメリアが困った様な表情を見せ、その場に立っていた。
「まりあはどこにいたの?」
「舞香?」
またまた、ジャミーが驚きの声を上げた。
「あなた、どこ行ってたの?」
「『ドドナの森』」
「子供達が中で倒れているのは、舞香のせいな訳ね」
ミラルカが安心したように言う。
「そう、子供達が倒れたの。じゃあ、循環装置を使って。ああ、そういう手か」
淡々と言う舞香をミラルカが唖然と見つめた。
「まさか、あなたが指示したのじゃないのっ!」
「ねぇ、アナン達どうなったの、ねぇっ!」
まりあがジャミーの服の裾を引っ張る。
「大丈夫。『ドドナの森の樫の木』は害は与えない」
舞香の言葉がうまく理解出来ないまりあは不安そうに通信室の扉を見つめた。といっ
ても、理解できないのはジャミー達もいっしょだ。さすがにユーキですら理解に苦しん
でいる。
「またっ」
マサトの瞳に映る気流が渦を巻始めた。
「循環装置が機能を停止した」
「ええっ!」
ミラルカの顔が蒼白になる。「警報が鳴ってない」
「大丈夫」
舞香の無表情な声がミラルカの言葉を完全に否定した。
「通信室内の空気を止めて、ガスを入れたせいよ。気をつけて、出て来るから」
「え、どういうこと?」「出て来るわっ!」
ミラルカの声とジャミーの声が同時に発せられる。と同時に、通信室の扉がИ
@開@い@た@っ@!
「うわっ!」
一瞬遅れたユーキの銃が弾き飛ばされた。
「くぅ」
右腕を押さえうずくまる。
「動くなっ!」
低い静かな声が、駆けよろうとしたミラルカを立ち止まらせる。有無を言わせぬ迫力
を秘めていた。
スパイは舞香を人質にしていた。
舞香は扉の真正面にいた。判ってはいたが、反応が遅かった。
逃げれなかった。
カシャーン
残りの銃も床を滑った。
「舞香……」
顔をあげ、舞香が苦しそうに顔を歪ませているのを見たユーキは、無理やり立ち上が
った。左腕で右腕を押さえているが、指の間から赤い血が一筋流れ落ちていく。
ユーキは自分のどじさ加減を悔やんだ。
もし、もし、もっと早く行動してたなら……。
この時ばかりは、皆の力は発揮出来なかった。唯一、役に立つ筈の舞香の戦略家とし
ての才能は、舞香が人質に取られた事で完全に封鎖されてしまっている。舞香は懸命に
首に回された腕を外そうともがくが、やたら力が強く一向に外れる気配がなかった。し
かも、かなりきつく絞められていて、だんだん気が遠くなっていく。
頭の中がもうろうとして逃れる手段すら思いつかなくなってきた。
闇が、迫って来る……。
<ν>
せいきは弾かれた様に、顔を上げた。
「誰か呼んだか?」
返事はない。辺りにそれらしい人影もない。
「せいき……」
今度ははっきり聞こえた。
「誰だっ!」
一杯に声を張り上げる。どうやらスピーカーから聞こえてる。
「『デルフォイの泉の妖精』」
「へっ」
思わずせいきの顔が崩れた。静かな音色の声は少女を思わす。が、それが名前だとす
ると正体はコンピューターだ。
「どこのコンピューターかいな?」
思いつかない。勉強の末、ある程度のコンピューターは名前も知ってるし、どこにあ
るかも知っている。けど、『デルフォイの泉の妖精』なんてコンピューターは知らない。「あたくしは『デルフォイの泉の妖精』。あなたに助言をします」
「?」
「あなたがさがしているスパイは、GブロックИИパルテノンの通信室の前」
「本当かっ!」
我を忘れて叫ぶせいき。が『デルフォイの泉の妖精』の次の言葉を聞いて完全にぶっ
飛んだ。
「スパイは舞香を人質にとりました。ユーキは腕に傷を負いました」
せいきは一目散に駆け出した。
せいきはFブロックにいた。Gブロックとはお隣同志。しかも、分岐点ごとに『デル
フォイの泉の妖精』が最も近い道を教えてくれる。
そして。
角を曲がったとたん、スパイが真ん前にいた。怒りが理性を上回った。
「きさまぁっ!」
<ξ>
舞香は夢を見ていた。
オリンポスのあちこちを探索してたころの夢。 <続く>