#1313/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (QDA ) 88/12/14 17:36 ( 56)
有限宇宙(3) アンゴラ
★内容
五島が行ってしまった後。僕も、する事がなくて空を見つめた。
灰色の空。太陽も、見えない。
死んでしまった地球。滅びてしまった種族。
「なに暗くやってるの?」
声を掛けられて、どきんとした。この声、秋穂・・・!
「秋穂!」
振り向いたら、そこにはあの子がいた。金の瞳の少女。優しい銀色の髪を持つ。
ぴったりしたボディ・スーツを着込む。
待ち望んで、望んで、欲して……
「はぁい、みずき。元気してた?」
「うん!」
「あの子、柘斗くんだったの?」
諾く。
「あたし、目が悪いから解らなかったな」
無邪気に笑う君。
「でもね、みずき。そこで終わりよ。情に絆されたらね。遊びも終わり。ここま
でよ。早く、人を滅ぼすの」
悲しい色の君のこころ。何色にすれば、寂しくなくなるのだろう。
「もうだめよ、私達には耐えられないわ。背負わなければいけない、業の深さに・・・
愚かだろうか。間が抜けているだろうか。人が人を憎むのは、ばかげた事だろうか。
たかが、中学生(ジュニア・ハイ)のガキに、何が理解できるのかと、人は言
うだろう。
だけど、それでも僕には耐えられないのだ。
受け身のみの、その生には。
「みずき。あなたには、きっと辛いわ。人に、制裁を加えるのは。でも・・・」
「解ってるよ、秋穂」
それでも、僕はするだろう。
人に愚かだと、後ろ指をさされても!
ただ一度、本当に信じられる少女に出会ったから。
「じゃあ、みずき。暫くさよならね」
こくんと、諾く。
「きっと、戻るわ。仲間を見つけるの。もっと、もっと沢山。人を憎んで止まない
人たちを・・・」
笑えばいい。
嘲笑すればいい。
ガキのすることだと、侮ればいい。
侮蔑すればいい。
軽んじればいい。
その全てを、受けても僕は彼女を信じる。
秋穂。優しいきみ。
この世にはいない、過去の亡霊。
歪んだ妄執に取り憑かれて、永久に浄化されない君の魂を。
どうしたら、僕は見捨てることが出来るだろう。
「じゃあ、ね・・・」
すうっと、秋穂は消えた。
もういない。ここには、君はいない。
過去を飛ぶ鳥だから。
灰色の土色の砂漠が広がる世界。
ここは、日本。
ここは、Tokio。
こころの弱い人たちの、隠れているところ・・・
(To Be Continue.
ANGORA