AWC 有限宇宙(2)アンゴラ


        
#1312/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (QDA     )  88/12/14  17: 6  ( 57)
有限宇宙(2)アンゴラ
★内容


 学校の屋上。
 遠くで、砂嵐。
 誰かが溺れてる。
 きっと、多分。
 確信に、近い。
「おい、李下ちゃん」
 ぱすっと、背中を叩かれた。慌てて振り向いたら、後ろに五島がいた。
「何だ。柘斗か」
 僕の、「何だ」という言葉のせいで、極めてむっとしたような表情をした。
「何だ、は、ないだろ」
「そっちこそ、「李下ちゃん」たあなんだよ」
 くすっと、柘斗は笑う。金網によっかかりながら。
 嫌いだ。
 この笑い方。
 自分の業を背負いきれず、抱えきれずにいる僕には。
 できないよ。
「相変わらず、諸井のこと嫌いなんだな」
「当り前」
「おまえ、さあ。最近、大人嫌いが激しいな。「「てゆーか、人間嫌いが、か」
 どきん。
「早いうち、治せよ。本当は、俺のことも信じてないんだろ?じゃれあってても、
 本当はそんなの軽蔑してるんだろ」
 鼓動が。
「そんなの、つまんないから。早く、止めろよ」
 早い。
「っていっても、これも、内心ばかにしてるのかな」
 遠くで。
 砂の嵐。
 溺れてる。
 足を取られて。
 抜け出せない、砂の海。
 永久に苦しむ。
 救いを求めて。
 親友面してる、柘斗。
 何も君には解らない。
 絶対に理解できない。
 病める魂は何処に行くのか。
「秋穂によろしく」
 遠くで。
 砂の海。
 こころも体も。
 永遠の今を、求める人々。
 ひしめきあって、溺れてるから……
 −−聞こえるのは、コンクリートの鼓動。
 冷たい灰色の塊が、脈を打つ。
 誰にも聞こえない。
 人工物が何を望むか。
 人には解らない。
 君には解らない。
 僕にも解らない。
 あれは、間違えだったのか。
 ただ一度の過ちを。
 忘れることすら出来ずに、海に溺れる僕が。
                                                      (またまた続くぞ)
                                                                アンゴラ




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