AWC 有限宇宙(4)         アンゴラ


        
#1314/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (QDA     )  88/12/15  20:26  ( 68)
有限宇宙(4)         アンゴラ
★内容


 ぱたぱたと、部屋のドアが音を立てて開閉する。今日は、風が強い。あまりに
もうるさくて、眠れないのでベッドから脱出した。
 時計の針は2時をさす。
 汗で、パジャマがしっとりと濡れている。
 涙で、頬がべたべたで、頗る気持ちが悪い。
 さっきまでの、浅い眠りの中。五島の夢を見てた。僕は酷いことをしたのだろ
うか。昼間の、柘斗の言葉が胸を刺す。
 だけど。柘斗は、親友面していて、ごまかしてるだけなんだ。見せかけの素直さ。見せかけの優しさ。もう、見飽きてしまった。
 なのに、どうして僕は泣けるのだろう。と。想うのだ。虚偽に満ちた柘斗のた
めに、どうして泣けるのだろう。
 ぱちん。ラジオを付ける。ざざ、と、雑音の波が僕を包む。
 何も見えなかったらよかったね。
 何も聞こえなかったらよかったね。
 何も知らなければよかったね。
 こころから、今は想う。僕は、人の偽善に飽き飽きしてるところ。
「今日の……は……松岡英……以心伝心で…」

                       ☆☆
「おい、李下」
 柘斗が、朝一番に話しかけてきた。
「なに?」
「物理のレポート、早く出せよな。宮原がカンカンだったぜ」
「げろげろっ」
 僕は、慌ててばたばた動き始めた。鞄の中をごそごそ探して、レポートを鷲掴
みにした。
 どうして、僕は柘斗と話せるんだろう。
 どうして、柘斗は何事もなかったようにいられるんだろう。
 僕に、人間の言動は理解できない。
「宮原なら、理科室だぞ」
「さんきゅ!」
 廊下を一直線に駆け抜けて、3階の理科室を目指す。
 秋穂。
 僕には解らない。
「先生っ!3−4の李下、レポート持ってきましたっ」
 窓際で、静かに外を眺めていた宮原が、振り向いた。「ああ、李下」そう言っ
て、微笑む。
「昨日、諸井先生の事、困らせたんだって?」
 怒りもせずに聞いてくる。少し拍子抜けした、語りかけだったので、ちょっと
がっくしきた。
「ダメだぞ、李下。諸井先生だって人間だから。おまえもね」
「先生まで、人間、人間って、うるさいよっ……」
 宮原は、足を組んだ姿勢で机に腰掛けている。
「純粋過ぎるんだよ、おまえは」
 汚れを知らない。透明なこころ。
「だけど、誰も、そのままのこころで大人にはなれないんだよ」
 百も承知。いつか、醜い大人になるということは。
 だけど、それでも耐えられなかったのだ。
 誰もが迎える、大人になると言う、形式だけの儀式に。
 大人は醜い。
 大人は汚い。
 大人は悲しい。
 大人は寂しい。
 そして、大人は子供よりも脆い。
  だけど、僕らは拒めないのだ。
 大人になると言うことを。

                                    (まだまだ、折返し地点までは遠い!)
                                                                アンゴラ
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こんにちわ。アンゴラです。
「有限宇宙」、行き当たりばったりですが、がんばってます。
(10)で、ver.1は完結です。
今回は、惑星Σの設定を活かし切れそうになくて、残念です。
ぐすん。でも、ver.2は、がんばります。ラヴ・ストーリーを書くんだい!
一見暗そうなこの小説も、実はものすごいオチが控えてる……かもしれない。




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