AWC トゥウィンズ・2 六章 ( 4/ 5) (34/43)  あるてみす


        
#1248/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (VLE     )  88/11/13  13:28  ( 99)
トゥウィンズ・2 六章 ( 4/ 5) (34/43)  あるてみす
★内容
「嫌いじゃないよ。嫌いじゃないけどさ……、でも好きとか嫌いとかいうの、
ちょっと違うんだ。そりゃ、昔っからいろいろと助けてもらったりしてさ、
とっても有難い存在だったし、今でも良い友達だと思ってるけど、でも、好
きかって聞かれると、ちょっと判んない……。それに……今は、そんなこと
言う気分にもなれないよ……。」
 これだけ言うのも、まだ苦しい。喉の奥が痛くて……。
「そうか。いい友達か……。」
 健司は、そう呟いて、ため息一つ。そのあとは、無言のまま歩き続ける。
 そのとき胸の奥でチクンと痛みが走る。
 喉が痛いのは泣き過ぎのせいなんだけど、この胸の痛みは、そのせいじゃ
ないみたいだ。
 なんか自分でも訳が判らないまま、ミコちゃんのことを考えていたら、ま
た涙が出てきて止まらなくなってしまった。
「なあ、いい加減に泣き止めよ。なんか俺が泣かしてるみたいだから。」
「うん、ごめん。」
 そうは言ったものの、なかなか胸のつかえは取れず、涙はあとからあとか
ら湧いてきて、結局、家に帰るまで泣き通してしまった。

 その夜、僕は夢を見た。皆と一緒に遊ぶ夢。もちろん、ミコちゃんも一緒
に。
 夢の中で楽しい思いをして、ふと夜中に目を覚まし、ミコちゃんのことを
思い出して、少し涙を流し、また寝入ってしまった。
 どれくらい経ったんだろう。なんかちょっと息苦しくて、目が覚めてしま
う。と、目の前に白いものがフワッと……。
「……!」
 最初は目の錯覚かとも思ったんだけど、違う。明らかに異質なものが漂っ
ている。
 ビクッとして……いや、ビクッとできなかった。
 か、体が動かない!
「うわあ!」
 って声を上げそうになって……、こ、声が出ない!
 そして、その異質な白いものが目の前にフワフワと漂ってきて、それとと
もに息苦しさが増して、だんだん、酸素不足の苦しさが……。
 た、助けて! 誰か。
 息が……できない……。
 か、体が動かない!
 頭が割れるような感じで目玉が飛び出しそうになり、もう駄目かと思った
とき、ふっと体に力が入った。そして、手足がピクッと動く。
 反射的にガバッと起きあがると、息苦しさも消え、ハアハア言いながら座
っていた。
 辺りを見回すと、街灯の灯が窓からもれて、天井を白く染めている。夏向
きの白いカーテンが、開け放した窓から入ってきた微風で揺らいでいる。
 そして、さっきまで目の前に見えた白いものはない。
「ふう……。」
 思わずため息をついたあと、しばらくは怖くて震えていたんだけど、やが
て横になると、いつの間にかまた眠ってしまっていた。

「う……。」
 く、苦しい……。息が……。
 体は動かず、声も出せず、ただ死にそうな苦しみを味わいながら、必死で
手足を動かそうとする。
 しばらく悪戦苦闘していると、やがて手や足の指先が動いて、ほっとして
いると、また動かなくなっていく。また必死で動かそうとして、やがて手や
足の全部が動くまで必死で悪戦苦闘する。
 そして再びガバッと起きあがって……。
「ふう……。」
 ガックリとして両手に顔をうずめ、再びため息。
 こんな死にそうな体験は初めてだった。さっきだって怖かったのに、それ
が二度も起きてしまって、もう怖くて寝ることができない。
 結局、布団の上に座ったまま、うたた寝をしながら夜を明かした。
「ちょっと、いつまで寝てるの。さっさと起きなさい。」
 お袋がドアを開けたとき、ハッと目が覚める。しばらくウトウトしてたら
しい。
 ほうっとため息をついて、眠い目をこすりながら、ノロノロと着替えをす
る。
「ちょっと、博美。どうしたのよ。夜更しでもしたの?」
 僕が目をしょぼつかせていると、一美がさっぱりした顔で聞いて来る。
「ううん、寝たのは一美と同じ頃だと思うんだけど、でも夜中に変なことが
あったから……。」
 そして、夜中に起こったことを話す。
「なあんだ。金縛りかあ。あたしも前は結構起きてたわよ、そう言えばこの
ごろ起きないなあ。」
「へ? 一美もあんな怖い目に遭ったことあるの?」
「やーね、皆、結構体験してるわよ。」
「そうか。でさ、どうしたらいいのかな。」
「よく判んない。でもね、寝るときに変に緊張してると駄目みたいね。あ、
そうそう、息苦しいときってさ、胸の上に手を置いてない?」
「よく判んないけど、でも言われてみれば、そうしてたような気もする。」
「胸の上に手を置いたりすると、結構息苦しくなるみたいよ。」
「なあんだ、そういうことかあ。」
 まだちょっと不安はあったけど、でもとりあえず安心。

 ところが、これで安心してはいけなかった。自分では緊張しているつもり
なんかなかったんだけど、なんとなく夕べのことを覚えてて緊張してたらし
い。
 手を胸の上に置くのも充分注意してたんだけど、それでも寝てる間の事は
判らない。
 で、夜中に息苦しさを覚え、手足は動かず、目の前には白いものがフワフ
ワと漂い……。
 苦しんで苦しんで苦しみぬいて、やっと手足を動かせるようになって……。
 慌ててガバッと起きあがって、
「ふう……。」
 ため息一つ。昨日の夜とまったく同じ目に遭ってしまった。
 で、意識だけははっきりしていたから覚えてるんだけど、絶対に手は胸の
上に乗せてなかった。
 それなのに、息が苦しくて、呼吸が止まりそうな恐怖感があった。
 結局、この日もまた、その後一睡もできずに朝を迎えてしまった。

−−− まだあるよ −−−




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