#1244/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (VLE ) 88/11/13 12:57 ( 37)
トゥウィンズ・2 五章 ( 3/ 3) (30/43) あるてみす
★内容
そして健司さんは机の前の椅子から立って、私の隣に座り直すと、
「だからさ、俺、絶対にお前の記憶を取り戻してやるつもりだ。そうしない
と、俺、自分が許せねえんだよ。」
そう言って、私の肩に手を置く。
健司さんが私のことを好きだというのを聞いてちょっと驚いていたのと、
健司さんがキスをして、それで私が驚いて逃げだそうとしてガケから転落し
て記憶喪失になったという事実を聞いたせいで、ちょっと呆然として健司さ
んを見つめてしまった。
と、そこで、階下からかすかに電話の鳴る音が聞こえた。そして、誰かが
それを取って、少しだけ言葉を交わし、
「一美、電話よー。」
と叫ぶ。
「はーい。」
隣の部屋から返事があり、次にドアを開けて、階段をトコトコと降りて行
く音がする。
少し話をしていたようだったけど、慌てて電話を切ったような音がして突
然、
「た、大変!」
という声と共に階段を駆け上がってきて隣の部屋のドアを開ける音。
「ちょっと! 康司くん、こっち来て!」
かなり慌てたような声。そして次に私の部屋のドアが乱暴に開かれる。
「ちょ、ちょっと大変! ミコが危篤だって。」
「なにっ! お嬢さんが!」
「そうなの! だからすぐ来て欲しいって!」
そう言いながら、一美さんは息を弾ませている。
「わかった。急ごう。」
健司さんも康司さんも慌てて部屋を出ようとして、
「ほら、博美、お前も早く来い!」
その緊迫感に、思わず、
「は、はい!」
って答えて、一緒に部屋を飛び出す。
そして、このとき慌てたのが良くなかった。
急いで階段を駆け降りる三人のあとについて行こうとして、ツルッ!
途中で階段を踏み外し、そのあと一気に下まで滑り落ちた私は、お尻や背
中を強く打ち、最後の仕上げに頭をぶつけて、そのまま目の前が暗くなった。
−−− 五章 終わり −−−