AWC トゥウィンズ・2 四章 ( 3/ 4) (26/43)  あるてみす


        
#1239/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (VLE     )  88/11/ 9  20:36  ( 97)
トゥウィンズ・2 四章 ( 3/ 4) (26/43)  あるてみす
★内容
「お、おい……。」
 健司が戸惑う。麻里ちゃんはクスッと笑って、
「あら、いいじゃない。健司くんの好きな人って、健司くんの気持ち、知ら
ないんでしょ? だったら、その人が健司くんに振り向いてくれるか、それ
とも健司くんがあたしの方に振り向いてくれるか、いい勝負じゃない。」
 そこで、軽くウィンク。
「悪いけど麻里ちゃんの気持ちには応えられないぜ。俺はその娘を振り向か
せる自信があるから。」
「わあ、言ってくれるじゃない。でも、いいわ。その前に健司くんに好きに
なってもらうもん。」
 麻里ちゃんは、あくまでも屈託がない。そして、健司と組んでいた腕を離
すと、そのまま健司の腕にしがみついて、そのまま抱き締める。
「こ、こら、離せっての。」
 健司は麻里ちゃんの胸が肘に当たって少し焦ったのか、慌てて麻里ちゃん
から離れる。
「やだ、そんなに焦らなくたっていいじゃない。でも、健司くんて可愛い。」
 その言葉の最後にはハートマークが付きそうな感じ。
 健司は、どう対応していいか判らないようで、何かブツブツ言いながら麻
里ちゃんからなるべく離れるように、僕をはさんだ反対側に来て歩く。
 すると、麻里ちゃんは僕の前を通って健司の前に出て向かい合い、後向き
に歩きながら、
「ま、いいわ。まだ始まったばかりだもんね。健司くんの好きな人と、明日
から競争だ。」
 そして、クルッと前に向いて小走りに走って行き、少し行ったところでま
たこちらに振り返って、手をピストルの格好にして、
「明日っから覚悟してね。」
 と言って、またクルッと前に向いて、白樺林の中を走り去って行った。
 健司は呆然として、目を点にしながら、それを眺めていたが、しばらくし
て、
「ふう、なんなんだ、あれは……。ったく、もう、まいったな。」
 と呟いて、ようやく前に歩き出す。
「へっへっへ。まったく、モテる男はつらいねえ。」
 背中をドンと叩いて、からかってやったら、
「バーカ。いくらモテたって、好きな娘に振り向いてもらえなきゃ、意味ね
えだろが。」
 バン!
 背中を叩き返された。そして、
「ほれ、こっち来い。」
 と言って、僕の腕を引いて雑木林の中に入って行く。
 しばらくは、腕を引かれて付いていくのも必死で、何度かコケそうになり
ながら、林の奥の方に進んでいった。
「ちょ、ちょっとちょっと、一体、どうしたんだよ。」
 って言っても、聞く耳を持たないかのように。そして、
「さて、ここらでいいかな。」
 雑木林のかなり奥の方まで入って、いくつか分かれ道を過ぎて、もう絶対
に誰とも会わずに済むだろうと思われるあたりまで来て、ようやく手を離し
てくれる。
「どうしたのさ。急に、こんなとこまで人を引っ張ってきて。」
 健司の前に出て向かい合って尋ねると、
「いや、やっと博美と二人きりになれたからさ。誰にも邪魔されないような
場所に来たんだ。」
「何か、人に聞かれちゃマズい話でもあるの?」
「い、いや、特にそういうワケでもないんだけど……。」
「じゃあさ、僕なんかじゃなくて、もっと他に二人っきりになりたい人がい
るんじゃないの?」
「いや、いないよ。他には。」
「あれ? だって、さっき、好きな人がいるって言ってたでしょ?」
「だから、その娘と二人きりに……あ、あれ?」
 健司は、突然、僕の肩越しに一点を見つめ始め、そのまま視線が釘付けに
「えっ?」
 僕も振り向いて、健司の視線を追って、その先を見ると、あ、あれ?
 遥か向こうの方に、どこかで見たようなピンク色の服。どこかで見たよう
な二人の姿。
 偶然、一美と康司の二人の近くに来てしまったらしい。
 思わず「おーい、一美」って声を掛けようとして、すぐに躊躇する。
 あの二人、一体、何やってんだ? 健司と二人、思わず呆然としてしまう。
 まず、康司と一美、しっかりと抱き合ってキスをしてた。
 そりゃ、康司と一美は長いこと付き合ってんだから、実際にその場面を見
るのは初めてにしても、まあ、そんなことくらいは当然だろうと思っていた。
だから、ただそれだけなら呆然となんかせずに、さっさとその場を立ち去る
くらいのことはするさ。だけど、こんな場面を見ちゃうとねえ……。
 そのとき康司の手が一美の後ろに廻されて、一美の服の背中のボタンを外
してたんだ。
 でもって、そのあと、康司は一度一美から離れると、一美の肩紐を肩から
外して、そのまま腰のあたりまで下ろした。
 今、一美は僕と同じタンクトップのピンクのワンピース、この前、海でも
着てたやつなんだけど、それを着てるから、康司が今やったみたいなことを
すると……。
 そのあと康司はまた一美をまた抱きしめて、今度はそのまま木の陰に倒れ
込んだ。
「あ、あいつら、何やってんだ?」
 健司が半分かすれたような声でつぶやく。
 もちろん、何をしてるかくらいは健司にも判ってるんだろうけど、実際に
こんな場面を見ちゃうと、やっぱりショックだったんだろう。しばらく呆然
としていた。
 しばらくして我に返ったあと、すぐにきびすを返して僕の手首を掴んで来
た道を引き返した。
 そして、康司と一美のいた位置が見えなくなるあたりまで来ると、急に立
ち止まった。
 訳が判らぬままに健司に引っ張られていた僕も、必然的にそこで立ち止ま
ることになる。
 と、健司が振り向いて僕の顔を見つめだした。
「な、なに? どしたの? いったい……。」
 健司の手が、いきなり僕の首筋にかけられ、そのまま引き寄せられてキス
されてしまった。

−−− まだあるよ −−−




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